1月3日未明、男女数人を引き連れて自転車に乗ったまま「トー横」のコンビニに侵入、「おい、カス。ここにいるのは全員仲間だぞ」などと店員を脅して店の業務を妨害した疑い。
ハセベ容疑者は昨年10月、他店舗で買った惣菜を同店の電子レンジで温めようとして咎められ、「出入り禁止」を通告されたことに腹を立て、それ以来何度も同店に入店しては「頭にきた。殺すぞ」と暴言を吐くなどの騒ぎを繰り返していた。調べに対し「店員の態度が気に入らなかった」と容疑を認めているという。
逮捕の一報を受け、集英社オンラインニュース班がトー横で取材を始めるとあっという間にインフィの情報が集まった。
愛称はA V男優としての芸名「インフィニティK」に由来しており、かつてはホストをしていた。意味不明の奇行の末の逮捕にも「インフィはダサいところがいいんだよ。そういうところが好き」という声が上がるなど、だらしない愛されキャラのようだ。
キッズだけでなく、昼間から路上で缶チューハイやワンカップの日本酒を煽っている中高年「トー横ミドル」とも仲が良かったという。
「日系ブラジル人なんだろうけど、白人とのハーフで背が高く、派手で見栄えはよかった。もともとは歌舞伎町の有名ホストクラブで『葵』って源氏名で働いていたんだけど、とにかく話が下手クソで、ほかのホストの客にヘルプでついてもべたべた触ってくるので、評判悪くてクビになったはず」(当時のホストの常連客)
「おい、カス!」トー横“歌舞伎町卍會”副総長インフィが店員脅して逮捕! 元男優・出張ホストの過去「ハウルが逮捕されてからおかしくなった」広場で酒盛り・泥酔・立ちション…迷惑行為の常習犯に
新宿・歌舞伎町のコンビニエンスストアに自転車で突入したなどとして警視庁新宿署は9日、ブラジル国籍のハセベ・フェルナンデス・マルコス容疑者(36)を威力業務妨害容疑で逮捕した。ハセベ容疑者は居場所のない若者やホームレスが集う通称・トー横(新宿東宝ビルの横)で炊き出しなどの活動していたボランティア団体「歌舞伎町卍會」(既に解散)で副総長を務め、「インフィ」の愛称で慕われていた。

インフィの愛称で慕われていたハセベ容疑者

現場となったコンビニ
ホストを辞めてからは、AV男優と女性用風俗店(出張ホスト)として生計を立てていたようだ。
「インフィニティKという芸名でナンパもののA Vによく出ていました。ナルシストの二枚目キャラで有名で、人気女優と絡んでいた作品もありました。ただ、親友のハウルが死んでから完璧におかしくなって、酒だけじゃなく処方薬を乱用して最近は常にラリっていましたね」(トー横の仲間・20代女性)
ハウルが逮捕され、死んでからおかしくなった
「ハウル」とは、歌舞伎町卍會のリーダーで、「ハウル・カラシニコフ」を名乗ってキッズたちに慕われていたが、昨年6月に18歳未満の家出少女(当時16歳)に淫らな行為をしたとして東京都青少年健全育成条例違反容疑で逮捕、起訴され、初公判を待つ同11月15日に東京拘置所内で突然死した小川雅朝被告(33)のことだ。「インフィ」は卍会のナンバー2として「ハウル」を支えていた。

ハウルとインフィ (本人SNSより)
「とにかく、ハウルが逮捕され、死んでからおかしくなった印象が強いです。トー横のコたちのツイッターをチェックしてると、毎日のように『今日のインフィ』と彼の奇行が上げられていて、腰が痛いからと回転いすに座って広場でぐるぐる回ったり、広場に布団敷いて寝たり、哺乳瓶に焼酎のストレートを入れて一気のみしたり。最近は、庇護していたはずのトー横キッズたちの『おもちゃ』になっているようで、見てられなかったです」(かつてトー横にタムロしていた10代男性)

ハウルが死亡した日キッズたちが歌舞伎町で供えた花
キッズたちがここ3ヶ月ほど「報告」していた奇行を列挙すると、こんな具合だ。現場はいずれも「トー横」である。
・広場に布団を敷き横になり、掛け布団にくるまって寝る。
・「出所祝い」と称し仲間たちと酒盛り。
・すのこのような板を持ち、ヘルメット姿で新宿東宝ビル内をうろつき、注意する警備員に「お前の言うことなんて聞かねえよ」「お前何言ってるかわかんねえよ」と悪態をつき、口論の末に駆けつけた警官2人に追い出される。
・銅像に乗り、音楽に合わせて焼酎のボトルをラッパ飲み。
・元日に通行人に喧嘩をふっかけ、警官に制止される。
・路上で立ちションをしながら「おい! 鬼ころし(日本酒)買ってこいよ!」と怒鳴る。
・泥酔し倒れて救急隊を待つ間、3人の警官に囲まれながら「おしっこさせてよお」とわめく。
とにかく、女であれば年齢や容姿に関係なく『女扱い』する
こんなヤカラに何度も自転車で「アタック」されたらコンビニもたまったものではない。それでも、「トー横」の「住人」たちはまだインフィを見捨てていないようだ。
歌舞伎町の飲食店でバイトをする40代女性はこう話した。
「私個人の印象としては、感じのいい人です。ハウルが逮捕された後、昨年の8月ごろに一緒に飲んだことがあります。半年近く歌舞伎町に住んで、キッズとは一切、仲良くなれなかったのですが、『トー横ミドル』の面々とはよく広場で酒を酌み交わしてました。
インフィはその中にいて、有名人だから存在は知っていたし、話だけはずっと聞いていましたが、一緒に飲むのは初めてでした。彼は『支援していた』キッズだけではなく、シニア男女とも仲が良かった。夏は常に上半身裸で、その日も上半身裸でしたが、私がスーツ姿だったから恥ずかしくなったのか、おつきの少年に新撰組が着てそうな、派手な法被を持ってこさせて肩に羽織ってました。
印象的だったのは、とにかく、女性に優しいこと。その日は、ホームレスのおばあちゃんも一緒に飲んでいて、本人もベロベロなのに、終始、そのおばあちゃんを労って『気をつけな』と声をかけたり、ちょっとよろめくと支えてあげたりしていた。あと50歳くらい歯のないお姉さま、この方は朝飲みの常連なんですが、インフィは彼女にも徹底的に紳士で『これ、かわいいね』と彼女が頭につけていた妙な造花をほめて、自分もつけようとするんです」

キメポーズのインフィ
ホストの習い性というところなのだろうか。この女性はこう続けた。
「私とはあまり話さなかったのですが、私が帰ろうとしたら、握手するように手をさしのべてきて『愛してるよ』と目を見つめるので、とにかく、女であれば年齢や容姿に関係なく『女扱い』するんだな、と妙に感心したことを覚えています。
その後も広場で半裸で飲むインフィの姿はよく見かけ、その度におばあちゃんに優しく接したりしていた。だからなのか、彼を慕う子分みたいな若い男の子がいつも一緒でした。でもハウルがいたときは炊き出しをしたり『守る側』だったのが、最近は炊き出しも仕事もほとんどしない半分ホームレスの『守られる側』になった。繰り返しになりますが、本当にハウルさえ生きてれば、こんなにおかしくならなかったんじゃないかな」

2022年年11月のトー横
最近話題の連続強盗犯のような凶悪犯とは遠い存在に見える「迷惑犯」インフィ。彼や彼の周囲にいる「キッズ」たちが、凶悪犯の手足として引き込まれないことを祈るばかりだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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