楽しくて気持ちいいことができる場所

5月8日に「日本最大級」をうたう渋谷のハプニングバー『Sleeping Beauty~眠れる森の美女~(通称SB)』が摘発され、一か月が経った。

その場で“行為”に及んでいた男女の客が公然猥褻の現行犯で、また、経営者と店員が公然猥褻幇助の疑いで逮捕されたこの事件。当時、Twitterのトレンドワードに「ハプニングバー」があがるなど、大きな話題となった。

ハプニングバーというと“アブノーマルな素人が集う場所”とのイメージもあるが、都内の一般企業で働く、ハプバー歴7年の坂田ゆうこさん(仮名、35歳)は「私にとって『SB』は楽しくてあったかくて、人に大切にされている感覚を得られる、かけがえのない場所だった」と話す。

目鼻立ちの整った清楚系美人の坂田さんは、自分のことを「セックスが好きってこと以外は何の特徴もない、コミュニケーション能力低めのOL」と自嘲する。

「地方出身で就職と同時に上京。そこからずっと昼職です。彼氏いない歴は7年で、友達も少ないので時間を持て余すんですよ。もともとセックスは好きなので、誘われて嫌じゃなければわりと簡単にしてしまうタイプで(苦笑)。

10年くらい前から、マッチングアプリで男性と出会ってはセックスするってことを繰り返してました。中には付き合いたいなあって思う人もいたけど、どうしてもそれ以上の関係になれない人が多かったですね」

渋谷のハプニングバー摘発から一か月。現場に居合わせた常連女性の「消えないハプバロス」_a
坂田さん(仮名、35歳)。昼は一般企業で働き、7年間、週末はほぼ毎週のように「SB」に通っていたという

彼女が初めてハプニングバーを訪れたのは7年前。マッチングアプリで出会った男性に誘われて、ノリで「SB」に行ったのだとか。

「スタッフさんもみんな真面目で良い人で、最初はただ飲んで、楽しい時間を過ごす場所でした。女性にとって嫌なことを無理やりされる場所じゃなかったし、なんなら“あの人としたい”って思う男性がいたら、スタッフさんも話に加わってくれて、なんとなーく盛り上げてくれるんです。万が一、強引な人が現れたら、スタッフさんが守ってくれました。

それでお互いが嫌でなければセックスまでできる場だったので、私にとっては楽しくて気持ちいいことができる、居心地が良すぎる空間でした。だからこそ7年も通っちゃって婚期が遅れたんですが(笑)」

ハプバー通いに一抹のうしろめたさを感じながらも、居心地のよさと、「開業から15年間、一度も摘発されずに営業を続けていた『SB』ならば大丈夫だろう」との安心感から、彼女はいつしか常連客となっていた。