【マッチングアプリで結婚したある男女の末路】高学歴、ブランド志向…条件による結婚は続かない場合が多い理由。「結婚は終わりではなく始まり…」
2009年以前の使用状況は0%だった「マッチングアプリ」が、2022年の調査によると、結婚した人の出会いのきっかけの22.6%にまで上った。元NHKアナウンサーで作家の下重暁子氏の新著『結婚しても一人~自分の人生を生ききる~』(光文社)より「婚活で結婚したある男女の末路」についてお届けする。
結婚しても一人#2
マッチングアプリの普及で結婚は「条件」になった
結婚はそもそも「条件」でするものではない。
気が合うから一緒にいたいとか、価値観が合うから共に暮らしたい。そうした延長に、結婚が現れるのではないか。つまり「中身」が大事だと私は思うが、最近は、結婚が「条件」重視になっていると感じる。それは「婚活」が一般化したことと関係があるだろう。
婚活の手段として、ネットやスマートフォン上で好みの相手を探す「マッチングアプリ」を使用する人が増えているという。

2022年の調査によると、結婚した人の出会いのきっかけの22.6%が「マッチングアプリで年々増加している(明治安田生命)。ちなみに1位は「職場の同僚・先輩・後輩」(29.3%)、次いで「知人・友人の紹介」(24.3%)である。
このマッチングアプリ、2009年以前の使用状況は0%だったというから、この十数年で急激に普及したことがよくわかる。ここ数年は新型コロナの感染拡大で、リアルな出会いを求めにくいという事情もあっただろう。
マッチングアプリを使ったことがあるという知人女性によると、顔写真、年齢や年収、趣味や家庭に求めるものなど、細かい条件で希望の相手を選ぶことができるという。アプリ上でマッチするとメールのやりとりをし、その後、実際に会うようになるようだ。
無料のアプリから有料のアプリまで、さまざまな種類があるというが、アプリから入ると、「条件」によって結婚相手を「選ぶ」、あるいは「選ばれる」という感覚が普通になっていくのだろう。
実際に会って付き合うようになれば、条件ではなく、相手の中身を見るようになるのかもしれない。しかし、入り口はどうしたって、条件から入らざるを得ないのが現代の婚活のようだ。
ブランド志向の男性か朴訥とした男性か
こうした婚活は、無理やり相手を探しているようで、私だったら恥ずかしくてできない。なぜそこまでして結婚するのか。無理やりめぐりあって楽しいのか。
そう問うと、知人女性は、「自然に相手が見つかるに越したことはないが、婚活をしないと相手が見つからないのでするのだ」と言う。「見つからなければ結婚しなければいい」と私が返すと、「いや、結婚はしたい」と応える。
つまり相手がいるから結婚したいのではなく、結婚したいから相手を探す。私には順序が逆のように感じられるが、この順序が現代の婚活なのだと知る。結婚を望む人は、相手より先に、結婚というかたちを求めているのだ。
昔も結婚相談所はあって、結婚の世話を焼くことを職業にしている人はいた。「そういう人に頼み込んでまで、誰かと一緒にいなければいけないの?」と私は不思議に思っていたし、いまも思っている。そういう場所でいい相手とめぐりあえる人もいるのかもしれないが、私は疑っている。
そう感じるのは、私の身近にも婚活をして結婚した男性がいたからだ。つれあいの教え子で、就職ではマスコミ何社からも内定をもらうような優秀な男性だった。就職後、彼はほどなくして婚活を始めた。そしてマッチングアプリで出会ったという婚約者の女性を、つれあいと私との食事会に連れてきた。
女性と少し話して、「絶対にやめたほうがいい」と思った。相手の女性が、明らかにブランド志向だったからだ。着ているものや持ちもの、そして話す内容で、外見を重視する人間であることが伝わってきた。

一方、教え子のほうは、見栄えがよいわけでもおしゃれでもない朴訥とした男性だ。率直に言って女性にモテるタイプではない。仕事熱心で優しいところを私とつれあいは好んでいたが、そういう内面の美徳よりも、彼の会社名や学歴を、彼女がより好んでいるだろうことは容易に想像できた。
マッチングアプリで結婚したある男女の末路
もちろん、結婚を決めたわけだから、彼自身も彼女をいいと思ったのだろう。若く、お嬢様風の女性だったから、惹かれたところがあったのだろうか。私の教え子ではないので、私は余計なことは言わなかったが、内心、結婚は続かないだろうと予想していた。つれあいも思うところがあったようで、「大丈夫か?」と声をかけていたようだ。
はたして結婚から2年後に二人は離婚した。

職場や学校といったリアルな場で、自然に惹かれ合い、仲良くなっていくような男女ではなかっただろう。年齢や会社名、年収といった条件によって出会い、結婚するのが婚活の場なのだと知らされた。
しかし、条件による結婚は、続かない場合が多いのではないか。結婚は終わりではなく、始まりだからだ。もちろん、条件から入ったとしても、互いの内面を尊重し、歩み寄ることができれば、その限りではないだろう。
構成/砂田明子
『結婚しても一人~自分の人生を生ききる~』(光文社)
下重暁子

2023年8月18日
¥924
200ページ
978-4-334-10017-9
しょせん、夫婦は他人――。
大事なことは「求めない」「期待しない」etc.
夫婦がストレスなく暮らしていくためのヒントとは。
「つい」「うっかり」結婚してしまった著者が、
50年続いた結婚生活と
87年の人生を振り返りながら綴る。
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