日本で育てているからだけでは「和牛」とは名乗れない

日本中で愛されている和牛のお肉も、日本人の品種改良のたまものです。
「和牛」と「国産牛」のちがい、みなさんは知っていますか? じつは和牛を名乗るためには厳しい決まりごとがいくつもあるんです。和牛の定義は法律でしっかりと決められています。
「和牛」とは日本固有の牛の品種です。具体的には、日本で長い年月をかけて品種改良されてきた黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種の4品種と、それらの交雑種を指します。
日本で販売されている和牛の約98パーセントは黒毛和種です。但馬牛、神戸ビーフ、特選松阪牛、米沢牛などの有名ブランド牛も、黒毛和種になります。

和牛と名乗るためには品種のほか、生育環境の決まりもあります。日本国内で生まれ、日本国内で育てられた牛であること、さらにそのことを牛トレーサビリティ制度※1で確認できなくてはなりません。

日本産だからといって全て和牛とは名乗れない? 和牛を取り巻く品種改良のヒミツ_1
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逆に言えばそれ以外の牛は「和牛」ではありません。日本で育てている牛だからといって、和牛を名乗れるわけではないのです。
ちなみに「国産牛」は、品種や生まれた土地は関係ありません。生まれてから出荷までのあいだ、日本で飼育された期間がもっとも長い牛を指します。
牛は繁殖と肥育※2を分けておこなわれるのが一般的です。そのため、ニュージーランドで生まれて現地で8カ月育てた子牛を日本に輸入し、20カ月日本で育てれば国産牛を名乗ることができます。

※1 牛が生まれてから牛肉として消費者に届けられるまでの情報を追跡確認するためのシステム。BSE(牛海綿状脳症)のまん延防止措置を目的として作られた

※2 牛や豚などの家畜を食用とするために大きく育てること。