――7月28日に「夏休み絵日記ドリル」(講談社)を出版されましたが、あきやま先生は夏休みの絵日記の宿題はなぜ出されるとお考えですか。
子どもたちの現時点の表現力を確認する指標として宿題に出されるのではないでしょうか。と同時に、それらを伸ばすトレーニングの働きもあるのだと思います。
絵日記の文章は、「いつ」「どこで」「だれと」「何をして」「どう思った」という、作文として最も基本的な要素で構成されますが、これを夏休み中に毎日トレーニングとして積み重ねていくことで、読書感想文や国語科の作文などを書く力をつけていくのだと思います。
絵に関しても同様ですね。毎日の1シーンを描くことで、絵を描く力を着実につけていくことができます。絵日記の絵がすらすらと描けるようになれば、図画工作の絵画なども苦労せずに描けるようになると思いますよ。
「夏休みの絵日記」が上手に見える3つのコツを“知育のカリスマ”に聞いた
夏休みも中盤を過ぎ、毎日コツコツと宿題を進めている子もいれば、なかなか手をつけられずにいるという子もいるのではないだろうか。後回しにすればするほど苦しむ宿題の一つが「絵日記」。知育絵本・ドリルの発行部数累計170万部以上を誇る「知育のカリスマ」である画家のあきやまかぜさぶろう氏に、小学校低学年の絵日記のコツをうかがった。
なぜ絵日記が夏休みの宿題として出るのか?
絵が苦手なのはなぜ? 上手く描くコツとは
――作文はなんとか書けても、絵が上手く描けずに苦労するという子も多いようです。
絵が上手く描けない理由は、単純に描き方を知らないからです。ポイントを押さえれば、人や動物、花などはすぐに描けるようになります。
例えば、動物園に行ったことをライオンの絵とともに表したいとしましょう。多くの人はライオンを描きたいと思うと、ライオンの「シルエット」だけが頭に浮かんでいる状態、つまり、ひとかたまりの形として捉えています。細かなディテールはぼんやりという場合が多いです。

絵を描くとき、私たちは対象物のシルエットだけを思い浮かべている。
シルエットだけをイメージしてしまうから、足はどこから生えているのか、耳はどんな形なのかなどが上手く表現できないんですね。生き物は主に頭・胴・足で成り立っています。これらをどう組み合わせると描きたいものに近付くのかをよく観察し、捉えることが大事です。
とはいえ、小学校低学年のうちから具体的に捉えることは難しいです。最初は頭を大きな丸、胴を大きな四角、足は細長い四角を4つというようにシンプルに捉えられるようにしましょう。そして、ライオンの最大の特徴のたてがみをつけてあげれば、ちゃんとライオンに見えますよ。

最初は対象物のパーツと特徴の把握から(「あきやまかぜさぶろうの夏休み絵日記ドリル」より)
低学年のうちはとにかく「パーツと特徴を捉える」ことを意識しましょう。それが身につけば、「お腹には丸みがあるな」「太ももは大きく張っているんだな」ということに少しずつ気づき、絵に反映させられるようになってきます。
絵日記が上手に見える3つのコツ
――パーツの把握が重要なのですね。そこからもう少しステップアップして、上手に見えるテクニックはありますか。
簡単なところで言えば、色はしっかりと塗ること。できれば紙の白い部分がなくなるように隅々まで塗ると上手な絵に見えます。好きな色で塗るのもよいですが、せっかく12色のクレヨンがあるのですから、いろんな色で表現しましょう。
あとは構図も大事ですね。絵日記は「自分がその日、何に感動したのか」を伝えるものですから、正確な縮尺はあまり気にしなくてよいです。朝顔が咲いてうれしかったことを伝えたければ、花と人が同じくらいの大きさでもよいのです。

楽しかったこと、心に残ったことを大きく(「あきやまかぜさぶろうの夏休み絵日記ドリル」より)
最後に、自分や家族など、人物を入れるとその時の雰囲気がより伝わります。人も先程のライオンと同じ、頭・胴・手足で構成されるので、最初は丸と四角で十分に表現できますよ。
「普通の日」の絵日記は、何をかいたらいい?
――ここまで絵の描き方のテクニックなどをおうかがいしましたが、特別書くことがない平凡な日の絵日記に苦しむこともあります。そういった日はどう乗り越えればいいでしょうか。
絵日記には楽しかったことを書こうとする子どもが多いですが、そんなに毎日楽しいことなんて起こりませんね(笑)。そんなときは、イベントのない普通の日の中にある「発見」を絵日記にするのもいいと思います。
例えば、毎日使っている鉛筆を描いて「こんなに短くなった鉛筆。僕は短くなった分だけ勉強してきたのかな」という日記だって素晴らしいと思います。
日常から日記の話題となることを探し出すのも一つのトレーニングです。自分の机の上、冷蔵庫、本棚をじっくり見つめて、絵日記のテーマを探してみるとよいでしょう。
逆に、お出かけなどのイベントがあった日ならば、どこを切り抜いて絵日記にするのかを考えることも重要です。何を一番伝えたいのかを考えて絵と文章を構成できるようになるといいですね。
子どものやる気を上げるor下げる親の言葉とは?
――低学年の子どもがいるご家庭では、保護者が絵日記の宿題をみてあげるということも多いです。保護者の姿勢として望ましいもの、そうではないものはありますか。
絵日記を褒めるときは、具体的に褒めてあげるとよいですね。特に表現方法を褒めてあげるのは子どもの自信につながります。「このときにドキドキしたんだね」「いろんな色を使って描いていて素敵だね」と、どこがいいと思ったかを伝えてあげるといいのではないでしょうか。
気をつけたいのは、描き上げる前に修正させてしまうことです。子どもが絵を描いている途中に「もっとこうしたら」「そんな色じゃなかったよ」などと言ってしまうと、子どもはやる気をなくしてしまいます。最後まで描かせてあげてから「この色も使ってみるとどう?」とアドバイスするのがいいと思います。
特に低学年くらいの子どもだと、好きな色ばかりを使って描くことも多いです。好きな色は認めてあげつつ、「こんな色も使うともっと楽しい絵になるよ」と伝えてみてください。せっかくたくさんの色があるのですから、色を使って楽しく描くということを経験させてほしいですね。

あきやまかぜさぶろうの 夏休み 絵日記ドリル/講談社
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