まず話を聞いたのは、UberEatsの配達員。スマホと自転車orバイクがあれば手軽に始められ、スキマ時間で稼げることから、副業としての人気も高い。都内で配達員として働く20代の、るーつ氏に今年の夏の状況を聞いた。
20㎏の荷物を持って4階まで20往復……配達員たちの猛暑戦争2022
全国各地で史上最速の梅雨明けを観測し、うだるような猛暑が続く今夏。この異常な暑さの中、誰よりも頑張っているのが、今や私たちの生活に欠かせない配達員の方々ではないだろうか。一体どれくらい大変なのか、配達員たちの夏の実情を大調査! 今夏を乗り切るヒントを探るべく、オススメの暑さ対策グッズも聞いた!
Uber配達員の真夏の苦悩。暑さは辛いが、儲かる夏は限界まで配達したい

「配達員歴3年目ですが、今年の夏は特に暑い! 暑いと外に出たくないからと利用者は増えますが、配達員は働きたくないから減る。だからこそ需要過多になり、お昼どきにはオーダーが止まらなくなるほど。つまり稼ぐには持って来いの時期でもあるので、僕は体力とお金を天秤にかけて結局配達しています。ついついすべてのオーダーを受けてしまいたくなるのですが、そこはグッと我慢して適宜日陰などで休憩をとることは忘れないようにしています。同じ配達員で、オーダーを受け続けた結果、『ハンガーノック』と呼ばれる極度の低血糖状態になり身体が動かなくなってしまった知人もいるんです」(るーつ氏)
ハンガーノックとは、長時間に渡る激しい運動で稀に起こる現象。日常生活ではほぼ起きないが、Uber Eats配達は激しい運動と同レベルということかもしれない。やはり体力がある若い世代だからこそできる仕事なのか?
そこで続いて話を聞いたのは、サンミュージック所属のピン芸人・TAIGA氏。『アメトーーク!』の「40歳過ぎてバイトやめられない芸人」にも出演していた、46歳、副業Uber配達員だ。コロナ禍で劇場での仕事が激減し、妻子を養うために配達員を続けている。
「Uber配達員を始めて3年目の夏。初年度は体力不足で足がつることもありましたが、徐々に鍛えられて今ではこの暑さの中でもバテることはなくなりました。ほぼ毎朝7時から17時までサラリーマンのように配達をしています。元々は夏の暑さにテンションが上がるタイプですし、日焼けも気にしません! ただ、それでも炎天下に長時間いると頭がボーっとしたり、身体が重くなったりするので、なるべく日陰を通るのが夏の配達ルール。普段は配達までより早いルートを選びますが、夏だけはたとえ遠回りでも日陰ルートを選んで配達しています」(TAIGA氏)
体力に自信があるからこそ、なんとか続けられると、日焼けで黒くなった顔で語る。そんなTAIGA氏は配達業務において、自身の熱中症よりも気にしていることがあるという。
「スマホの熱中症です。炎天下でアプリを起動しっぱなしなので、気が付いたらスマホが爆発しそうなくらい高温になってしまいます! アプリが開けなくなったら注文も受けられないので、スマホには保冷剤を当てながら走行していますね」(TAIGA氏)
涙ぐましい努力が垣間見える……!
女性Uber配達員ならではの悩み! 化粧はできず、紫外線で髪の毛はボロボロに
最近のUber Eats配達員には、女性の姿も目立つ。女性ならではの夏の辛さはあるのだろうか? ギャル雑誌『egg』にも出演経験があり、“ギャル配達員”として活動しているりょかぴろ氏に話を聞いた。
「今年は流石のギャルも化粧なんてしていられない暑さですよ。これまではフルメイクで配達していたこともありますが、すぐに汗で崩れてしまうので、今はスッピンです。紫外線のせいで髪の毛もちぎれるほど痛んでいますね。ただ、日焼けは大歓迎なので、サンオイルを塗って配達しています。辛いのは雨の時。今年は梅雨が明けてからも雨が続きましたよね? そういう時は雨対策と暑さ対策を同時にしなければならなくて、行き着いたのはカッパの下に水着を着る配達スタイル! 濡れても良いし、涼しいし一石二鳥! お客さんも配達員のことはじっくり見ていないので、指摘されたこともありません!」(りょかぴろ氏)

写真はイメージです
そんな彼女も、前述のTAIGA氏同様、暑さ回避のための“特別ルート”があると言う。
「遠回りしてでも都会の百貨店や大型ゲームセンターの前はなるべく通るようにしています。入り口から漏れる冷気が最高で、一気にクールダウン! 逆に踏切が多い住宅街などは地獄。踏切待ちは、時間を無駄使いしている感覚と暑さのダブルで辛くて、なるべく避けたいルートですね」(りょかぴろ氏)
車移動の配達員は、毎回の現場で熱中症寸前に!!
一方、車移動の配達員は今年の夏をどう感じているのだろうか? 引っ越し作業や軽貨物運送の個人事業主組合「赤帽」の組合員に話を聞いてみた。
「夏場の引っ越し作業は毎回熱中症寸前になりかける」と嘆くのは、赤帽ツインズムー エクスプレス配達員の村松茂樹氏。
「今年の夏は、水を飲んでも飲んでも汗をかかなくなることがあります。その後耳鳴りが始まってきたら危険なサイン。特に引っ越し作業はゴム手袋を着用しているので、手のひらから熱を逃がすことができないんですよ。でも、途中で作業を中断するわけにはいかないので、とにかく早く撤収することを心がけます」(村松氏)
中でも特に身構えてしまう現場があるという。
「最も気温が上がる12時~15時の引っ越し作業は地獄。でも、荷造りの関係でお客様の希望が一番多い時間帯でもあります。配達員にとっては早朝の時間帯だと嬉しいのが本音です」(村松氏)
仕事歴26年のベテラン配達員、赤帽シンザン・カーゴの伊藤元也氏も、今年の夏は異常だと口をそろえる。
「今年は雨も多く、ジメジメしていて東京なのに、まるで亜熱帯地方にいる感覚があります。当たり前のように毎日35度を超えていて明らかにおかしい。汗もたくさんかくので、仕事中に3~4枚は着替えをしています。もはや毎日『自分はアスリートで、これはトレーニングなのだ』という気持ちで仕事に挑んでいます」(伊藤氏)

まるでアスリートのトレーニングだという真夏の配達作業
赤帽マハエ運送の鍬守嘉明氏は、この夏、こんなキツい仕事を体験した。
「夏だからと言って仕事の種類は選べません。先日もエレベーター無しの4階まで20kgの荷物を持ちながら20往復もしました! たとえ喉が渇いていなくても荷物を一つ降ろすごとにひと口麦茶を飲むことを繰り返し、熱中症は回避しましたが、大変でしたね」(鍬守氏)
配達員厳選! 日常生活で使える猛暑対策グッズ
最後に、我々もこの夏を乗り切るべく、暑さのプロである配達員の皆さんに普段から愛用している猛暑対策グッズを聞いた。
「紫外線対策として夏でも長袖は必須。mont-bellの『クールライト ロングスリーブジップシャツ』は、長袖なのにとても薄くて軽い。しかも熱がこもらない構造なので半袖を着ている感覚です。また、同じくmont-bellのインナー『ジオライン クールメッシュ Tシャツ』もオススメ。メッシュ素材で通気性と速乾性に優れていて、長時間炎天下にいても汗のベタ付きがありません」(るーつ氏)
TAIGA氏からはコンビニで買える身近なあの商品。
「定番ですが、赤城乳業の『ガリガリ君』。冷たい飲み物やアイスクリームよりも体温を一気に下げてくれるので、1日3本食べることも。また、カバヤ食品の『塩分チャージタブレッツ』も常に持ち歩いて、汗をかいた時に舐めています。今のところ、どれほど汗をかいても夏バテにはなっていません」(TAIGA氏)
赤帽マハエ運送の鍬守氏は、車内熱中症対策グッズを教えてくれた。
「屋外との寒暖差が身体に悪いので、車内の温度を下げ過ぎないよう冷房の風量は弱設定にするのがマスト。その代わり助手席にマキタ社製の充電式小型扇風機を置いて、効率良く車内に冷風を循環させているので心地良い涼しさは保てます。マキタ社製品は電動工具用のバッテリーを使っているので、充電の持ちが良く、3日間は使い続けられます。また、仕事着は撥水性と通気性が抜群で寒暖差にも強い、国産アウトドアブランドのファイントラック社製で揃えています。身体の熱が上手く放出され、汗臭さやベタベタ感もなく、快適に過ごせます」(鍬守氏)
様々な工夫を凝らしながら、私たちのために日々頑張ってくれている配達員さん。全ての配達員の皆さんにエールを!
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