夏の睡眠で議論を呼ぶのが“クーラー問題”。古くは「クーラーをつけて寝ると体に悪い」なんてことを言われたりもしたが、最近では就寝時のクーラーはむしろ推奨されている。その根拠はなんなのか。また、クーラーがOKなら設定温度はどうしたらいいのか。正しい熱帯夜の睡眠について、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生が解説する。

脳の快適温度は22~24度。専門家が教える熱帯夜のエアコン設定の最適解_1

夏バテの原因は、脳と体の快適温度の乖離!

――暑い環境、つまり熱帯夜での睡眠は、健康に良くないのですか?

睡眠中、脳は活動を落とし、脳温度を1℃程度下げることで疲労回復を図ります。しかし、暑く寝苦しい室温では深部体温が上昇しないよう、吐息の温度を上げて放熱したり、発汗を促したりなど、自律神経が睡眠中も指令を出し続けることに。その結果、脳の疲労を回復させるべき睡眠中にも自律神経を酷使させてしまい、さらに疲労を蓄積させてしまうことになるのです。