災害後の「ショック状態」を狙う詐欺師たち

火災保険とは、火災などが原因で建物や家財が損害を受けた際に、その被害に応じて補償する損害保険のこと。持ち家・賃貸問わず、すでに加入している人がほとんどだろう。しかし契約内容によって補償範囲が異なるため、自分がどんな火災保険に加入しているか、いまいち把握できていない方も多い。

そんな火災保険の複雑性に付け入る犯罪が「火災保険詐欺」だ。

「火災保険詐欺は大きく分けて2つのパターンがあります。1つ目は、人が受け取った保険金を奪い取ろうとするパターン。過去に大きな災害が起こった地域などで、壊れた跡のある家の家主に近づき、その保険金を何らかの形で奪い取ります。

2つ目は、保険金を請求する権利がないのに、保険金が受け取れると嘘をつくパターン。『保険金を使えば、自己負担なく住宅修理ができますよ』と言って不要な家屋修理の契約をしたり、『火災保険が受け取れるので代理申請しますね』などと言い、手数料と生じてお金を奪い取ったりする方法があります」(八木さん。以下略)

近年増加しているのが、後者のパターンだ。国民生活センターの調査資料によると、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスを受けたという相談件数は、2010年より増加の一途。災害が多かった2019年度は、2,684件と急増している。

「保険金が下りるから修理させて」はワナ! 多発する火災保険詐欺の実態と対策_1
出典:独立行政法人国民生活センター「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」図1

火災保険詐欺で最も狙われやすいのは、災害が起きたあとの現場だ。例年、台風シーズンである夏から秋にかけて、詐欺被害や詐欺に関する相談が増加するという。

「災害によって被害を受けた方は、身近な家族を失ったり、大切な家が流されたりと、心身ともに大きなダメージを受けています。そんな茫然自失としている状況では、普段よりも判断する力が落ちてしまいがち。そんなタイミングで詐欺師に狙われたら、つい怪しい話に乗ってしまうかもしれません」

メンタルにダメージを受けているときに狙ってくる卑怯な詐欺師がいる。この事実を知っておき、これからの災害シーズンは特に注意しておくべきだ。