日本時間9月13日に行われたAppleの新製品発表会では、iPhone 15/Proシリーズとともに、Apple Watchの新モデル「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」、バンドの仕様を刷新した「Apple Watch Hermès」が発表されました。

Apple初のカーボンニュートラル製品「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」をひと足先に体験! 指先タップだけで操作できる画期的機能の実用性は?
Appleが2023年秋の新製品発表会をアメリカの本社・Apple Parkで開催。現地を取材した筆者は、2023年モデルである「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」のハンズオンを体験した。それぞれどんなスマートウォッチに仕上がっているのか、解説しよう。
Hermèsモデルのレザーバンドが廃止に
価格は昨年とほぼ変わらず。ますます地球にやさしくなった!

Appleの新製品発表会で披露された、2023年モデルのApple Watchシリーズ
ケースのサイズは、Series 9には45mmと41mmが、Ultra 2には49mmがラインナップされています。
本体のカラーとしては、アルミニウムケースには新色のピンクのほかに、スターライト、ミッドナイト、シルバー、(PRODUCT)RED。一方のステンレススチールケースには、Series 8と同じゴールド、シルバー、グラファイトが提供されます。
なお、Apple Watch Hermèsはシルバーとスペースブラックの2色展開です。

ステンレススチールケースの「Apple Watch Hermès」

Apple Watch Hermèsのバンドもカーボンニュートラルに。レザー素材が廃止となり、ナイロンファブリックとラバー仕様のバンドに選択肢が変更されている
Series 9の価格は、41mmのアルミニウムケースが5万9800円からと、Series 8から据え置かれました。こちらは従来同様、「GPS単体モデル」と「GPS+セルラーモデル」が展開されています。
一方の49mmのチタニウムケースを採用したApple Watch Ultra 2は、外観のデザインについては初代モデルとほぼ変わっていません。価格は4000円ほど値上がりして、12万8800円になりました。

Apple Watch Series 9のアルミニウムケースには新色のピンクが追加に
Series 9およびUltra 2において、特に注目なのが「Apple初のカーボンニュートラル製品」であるということです。
Appleは2030年までに自社製品のカーボンフットプリント(商品のライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量)の削減に取り組んでいます。
2023年には目標よりもひとあし早く、Apple Watchシリーズの一部ケースとバンドの組み合わせによりカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出が全体でゼロを達成した)商品を提供する、としています。

パッケージには、カーボンニュートラルなApple Watchであることを示すロゴが記載される
廉価モデルである「Apple Watch SE」は、ほかの新しいApple Watchと同様にパッケージのサイズをコンパクトに一新。スポーツループのモデルを選択すると、カーボンニュートラルになります。
なお、新製品発表に伴いApple Watch SEは値下げされており、3万4800円から購入可能に。Apple Watchの入門機として、さらに求めやすくなっています。

Apple Watch Series 9のNikeモデル
▽Apple Watch(2023年モデル)の日本価格一覧(すべて税込)
●Apple Watch Series 9
GPSモデル:5万9800円〜
GPS+セルラーモデル:7万5800円〜
●Apple Watch Ultra 2
GPS+セルラーモデル:12万8800円
●Apple Watch Hermès
GPS+セルラーモデル:18万8800円〜
Apple独自設計の「S9」チップによる革新が満載
今回発表されたApple Watchシリーズは、Series 9のアルミニウム/ピンクのモデル登場以外に、外観に大きな変化はありません。
一方で、内部構造としてはApple独自設計の「S9 SiP」を搭載することで、パフォーマンスの精度とスピードを向上。また機械学習に特化するNeural Engineがパワフルになったことで、音声入力の精度は最大25%アップしています。

最大2倍高速に機械学習のタスクを処理できる新しい4コアNeural Engineを搭載した「S9 SiP」(写真/apple.com)
また高機能なS9チップのおかげで、Siriがオンデバイス処理に対応。毎回クラウドにつなぐ必要がないため、ユーザーのプライバシーに紐づくデータを安全にやりとりできるようになりました。
これにより、アクティビティリングの進捗を聞いたり、前夜の睡眠時間を確認したりなど、Siriが健康やフィットネスに関わる質問にも答えられるようになります。

第2世代の超広帯域無線(UWB)チップを内蔵。HomePodのメディアコントロールにも対応する(写真/apple.com)
また、第2世代の超広帯域無線(UWB)チップが内蔵されたことで、同じチップを搭載するiPhone 15シリーズをApple Watchで探し出すことができます。
たとえばiPhoneが自宅のどこかにある場合でも、距離と方向に加えて、視覚と触覚と音声のガイダンスを提供しながら、iPhoneがある場所まで導いてくれます。
このように「中味の進化」は多岐に渡りますが、筆者が「もっとも大きな進化」として伝えたいのが、フィンガージェスチャーによる「ダブルタップ」機能です。
新しいジェスチャー操作「ダブルタップ」に注目
従来からApple Watchはハンドジェスチャーによる一部操作に対応していましたが、このたび新しく「ダブルタップ」のジェスチャーが追加されました。この機能は、S9チップを搭載する新しいApple Watchだけが利用できます。
Apple Watchを装着している手首側の親指と人差し指を、少し強めに、つまむような動作で2回叩くと「タイマーや音楽の停止」「アラームのスヌーズ」、watchOS 10の新機能「スマートスタック」の起動、ウィジェットのスクロール操作などが片手だけで行えます。

親指と人差し指による「ダブルタップ」でApple Watchを操作

ダブルタップが完了すると、画面に操作完了を示す青い指のアイコンが表示される
画面やボタンだけでなく、Digital Crownにも触れる必要がなく、「買い物袋で片手がふさがっているけれど、ここではSiriに頼む声を出しづらい」といったようなシーンでも、ダブルタップするだけでApple Watchの基本操作ができるので、大変便利です。
ダブルタップは新しいApple Watchの発売後、10月に予定しているソフトウェアアップデート以降から使えるようになります。
Ultraのディスプレイはさらに明るくなった
最後にUltra 2について触れておきましょう。
S9チップは電力効率が高く、その余力をディスプレイの最大輝度に使うことで、Series 9ではディスプレイ最大輝度が2000ニトまで明るくなっています。一方、Ultra 2では最大3000ニトに対応。強い陽射しの下でも、画面が見やすくなっています。
またバッテリー性能も改善され、Ultra 2は「低電力モード」を選択すると、従来の最大60時間からさらに伸びて、最大72時間のバッテリー持ちを実現しました。

画面がさらに明るくなったApple Watch Ultra 2。多くの情報を一度にチェックできる新しい文字盤「モジュラーUltra」が提供される
Ultra 2については、初代モデルで採用した非再生チタニウムのケースから、95%再生チタニウムに変更。再生素材を30%以上含むアルパインループとトレイルループを組み合わせると、カーボンニュートラルな組み合わせになります。
watchOS 10の新機能であるメンタルヘルスケアのセルフチェックなども含めて、ますます使いやすくなるApple Watch。2023年の新モデルは、その使いやすさが確実に実感できるスマートウォッチになったといえそうです。
新Apple Watchシリーズはすでに予約開始されており、9月22日(金)に発売となります。iPhone 15/Proシリーズと合わせて、その進化をぜひ味わってみてください。
文・写真/山本敦
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