超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A〈ベア〉」を展開する「Be-A Japan(ベア ジャパン)」は、生理セミナーだけではなく、福祉・教育団体への吸水ショーツの寄贈などを「Girls be ambitious project」という活動の一環として行なっている。
同社のCEOである髙橋くみ氏は、「この取り組みは、女性だけに向けたものではない」という。
「Girls be ambitiousというキーワードは、私たちがブランドを運営する上で掲げる大きなテーマ。女性たちが、生理を理由に何かを諦めたり我慢したりするようなことがなくなってほしいという思いを込めています。
Bé-A〈ベア〉というブランド名も、“Be”と“Ambitious”の頭文字から取っています。Girlsの“G”を入れなかったのは、このメッセージは女性以外の異性にも向けたものだから。生理で我慢しなくていい世界を作ることは、全ての人にとって意味のあることだと思っています」
生理中だとバレたくないから、ナプキンをトイレに流してしまう。“生理が恥ずかしい”小学生のためにできることとは
生理を話題にすることはけっしてタブーではないし、男性も生理についての知識を持っておいた方がいい。「Be-A Japan」は、中高一貫校での生理セミナー、航空会社とのコラボ、大学への出張授業など、生理に関するさまざまなセミナーや講演を行ってきた。そこで見えた課題や目指すべき社会を同社CEOに訊いた。
生理を知ることは、全ての人にとって意味のあること

セミナーでは生理用品に触れるなど、生理が身近ではない人にとっても生理のことがイメージしやすい内容になっている。
男性も関心を持って聞いてくれる、でも……
上記のような理念のもと、2022年は中高一貫校での生理セミナー、航空会社とのコラボ、大学への出張授業など、数多くの場で講演を行なってきた。聴講する人の中には男性も多い。そのときの様子はどうだったのだろうか。
「これまで子どもから大人まで多くの方にお話をしてきましたが、男性も関心をもって聞いてくれることに時代の変化を感じました。多くの男性は生理について詳しく知らない状態で話を聞いてくれるのですが、説明すると関心をもって素直に聞いてくれ、茶化したりふざけたりという姿はほとんど見られません」
興味をもって聞いてくれる姿勢に感動する反面、生理への理解の溝が大きいと感じることもあるという。
「以前、ある企業での生理セミナーで『生理中、特に経血量が多い日の女性は、1日に何回ナプキンを替えると思いますか?』と男性に尋ねたところ、『1、2枚くらい?』という回答がありました。
もちろん個人差はあるので一概に不正解とは言えませんが、多くの女性は『その3、4倍は使うよ!』と思うのではないでしょうか。これが現状の溝なんですよね。私たちの活動はこの溝をいかに埋めるかということ。ここがクリアできると、生理で我慢しなくていい社会に近付くのではないかと思います」
生理に困難を抱える知的障がいの人々
多くの女性が約40年間付き合っていかなければならない生理。そんな生活の一部とも言える生理で、大きな困難を抱えている人は決して少なくないという。
「弊社の吸水ショーツを愛用してくださっている方には、知的障がいをもった方もいます。障がいをもつ方は、想像以上に生理の過ごし方に苦労されています。例えば、羽付きナプキンの羽を広げて使うことが難しく、肌に粘着部分がついてしまったり、自分で『そろそろナプキンを替えよう』という判断が難しかったり。
それが吸水ショーツに出会って、生理への不安や過ごしにくさがかなり軽減されたとおっしゃっていました。社会から見えにくいところに、生理の困難さを抱えている方はたくさんいらっしゃいます」
「友達に知られたくない」ナプキンをトイレに流す子どもたち
また、「東京都では、毎日どこかの学校のトイレが詰まっている」ことと、生理とのあいだにも意外なつながりが。
「小中学生の中には、ナプキンをトイレに流してしまう子も多いそうです。水回り工事の業者の方から聞いたのが『学校のトイレ詰まりの原因に、ナプキンはかなり多い』ということ。
流してしまう理由は様々で、友達に生理が来たことがバレたくない、自分のナプキンが汚くてなるべく触りたくないなど。まだ生理との付き合い方が確立していない、初潮を迎えた子が珍しいという環境の中では、こうしたことが起こってしまうようです」
吸水ショーツをナプキン、タンポンと並ぶ選択肢に
生理を含めた性教育の充実はもちろんだが、髙橋氏は、彼女たちのそうした思いを理解してあげる方法として、吸水ショーツなどの選択肢が必要だと話す。
「『今後ナプキンやタンポンをなくす』という話ではなく、ナプキン、タンポンなどに並ぶ選択肢として、吸水ショーツが挙がってほしいなと思います。『生理は恥ずかしくないんだよ』と教えることも大事ですが、同時に今の彼女たちの思いに寄り添うことも大事。心身ともに快適に、清潔に過ごせる方法を、私たちの活動や商品で知ってもらいたいですね」
知的障がいをもっている人、生理が恥ずかしい小学生、一見すれば全く異なる困り感をもつ人々だが、どちらも同じ方法で解決する可能性だってある。髙橋氏とBé-A〈ベア〉の取り組みは、世代やハンディキャップを超えて「生理で必要以上に我慢しなくていい」ことを伝えている。

Bé-A〈ベア〉の吸水ショーツ。最大150mlの経血を吸収する商品もあり、1日中履きっぱなしでも安心
「生理のために、しなくていい苦労をしないで済む社会」を目指して
最後に、髙橋氏に改めて「生理に関する取り組みを通して目指す社会」をうかがった。
「こういった活動をしていますが、声を大きくして生理を語りたい、みんなに語ってほしいというわけではないんです。『生理は当たり前に起きること』『生き物として自然な現象』ということが、全ての方に知識として浸透している社会になってほしい。
そうすればこれまで以上に互いに助け合えますし、子どもたちが過剰に生理を恥ずかしいと思ってしまうこともないでしょう。制服やユニフォームなどの“従来の当たり前”にも疑問をもち、見直すこともできるようになると思います。
毎月来るとわかっているものだからこそ、全ての人が『生理のために、しなくていい苦労をしないで済む社会』にしたいですね」
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