この冬は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行の懸念が高まっています。
新型コロナウイルス感染症の第7波は、10月に入ってようやく落ち着き始めましたが、また最近になって増え始めています。
一方、季節性のインフルエンザは、日本と季節が反対の南半球のオーストラリアでは、例年7~8月が流行のピークだったのに、今年は5~6月にピークに達したことから、日本でも早い時期からの流行が懸念されています。
また、過去2年間、日本では季節性インフルエンザが流行していなかったことにより、抗体を獲得していない人が多いというのも不安な点です。
さらに海外からの水際対策の緩和、行動制限のない年末年始休暇を迎えることもあります。
こうした点を踏まえて、新型コロナウイルス感染症の第8波と季節性インフルエンザの同時流行の可能性があるのです。
どうする、インフルエンザと新型コロナの同時流行。医師が教える今からできる「4つの備え」
この2年流行していなかった季節性インフルエンザだが、今冬は流行の懸念が高まっている。新型コロナウイルス感染症がまだまだ予断が許されない中、どんなことに備えておくべきか、ウチカラクリニック代表の森勇磨医師にうかがった。
インフルエンザの流行の時期が早まる!?

新型コロナとインフルエンザの違いはあまりない
季節性のインフルエンザは流行性があり、いったん流行すると短期間で多くの人に感染します。日本では例年12月~3月が流行シーズンで、毎年1千万人が感染しています。
インフルエンザの症状は38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、風邪と同じような喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳、下痢などを伴うことがあります。
小児はまれに脳症を発生することもあり、高齢者や免疫力が低下している人、心臓など呼吸器などに持病がある人は肺炎を伴うなど重症になることも。
発症後3~7日間は鼻や喉からウイルスを排出するといわれているので、その間は、外出を控える必要があります。
新型コロナウイルス感染症との違いは味覚・嗅覚障害があるかどうかでしたが、現在、流行しているオミクロン株ではそういった症状は少なくなっている傾向です。
また、その時に自分の周りでどちらが流行っているかなどが一つの基準にもなりますが、
症状だけでの診断は難しく、やはり検査を行う必要があるのです。
新型コロナの検査キットは購入しておく
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症と季節性のインフルエンザの同時期流行による多数の発熱患者が生じる可能性を想定して、受療行動のフローを示しています。
それによると、重症化リスクが高い人が発熱や症状がある場合は、すみやかに医療機関を受診し、発熱外来やかかりつけ医などで検査し、医師の診断に応じて治療薬が処方されます。
一方、重症化リスクの低い人が発熱した場合、まずは自分で医療用の抗原検査キットを使って新型コロナに感染しているかどうか確認します。陽性の場合は健康フォローアップセンターに登録し自宅療養することになります。
ただし症状が重く、受診を希望する場合は発熱外来やかかりつけ医を受診します。
陰性の場合は、かかりつけ医、オンライン診療、電話などで受診し、インフルエンザに感染しているかどうか確認し、陽性の場合は抗インフルエンザ薬を医師が処方し、自宅療養となります。
インフルエンザは陰性、陽性に関わらず、受診できるようなら受診しましょう。
現在、政府はインフルエンザなどの体調不良により受診を希望する患者の電話診療・オンライン診療体制の強化、健康フォローアップセンターの拡充や自己検査キットの確保などの対策が進められていますが、今後の対策や受療行動のフローについては変更があるかもしれないので、住んでいる地域のウェブサイトなど新型コロナウイルス感染症対策を確認しておきましょう。
新型コロナとインフルエンザの同時流行で備えて、今やっておくことは、
・インフルエンザのワクチン接種をして予防する
・接種対象者は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種をする
・新型コロナの医療用の抗原検査キットを購入しておく
・解熱鎮痛剤、風邪薬などを購入しておく
などです。
特に新型コロナの検査キットは、重症化リスクが低い人なら、自己検査をしてまずは新型コロナが陽性なのか確認しないといけないので、購入しておいたほうがいいでしょう。
検査キットは、「研究用」ではなく国が承認した「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」を選びましょう。
「医療用抗原検査キット」は、すべての薬局で購入できるわけではないので厚生労働省のウェブサイト(1)を確認してください。
さらに、インターネットで購入も可能な「一般用検査薬」については、令和4年8月24日以降、順次承認されています。承認情報(2)(3)についても、厚生労働省のウェブサイトで確認することができます。
(1)医療用抗原検査キットの取扱薬局リスト(厚生労働省)
(2)【医療用検査薬】新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報(厚生労働省)
(3)【一般用検査薬】新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報(厚生労働省)
10月末現在、インフルエンザはまだ流行しているといえるほど出現していませんが、気温が低くなり、空気が乾燥してくると流行のリスクは高まります。
手洗い、うがい、人混みや会話をする場合はマスクを着用する、密の回避、換気するなど基本的な感染対策は季節性インフルエンザにも有効なので、今後も続けましょう。

40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」
(ダイヤモンド社)
森 勇磨

2021年9月29日
1,650円(税込)
328ページ
4478113459
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