女性向け風俗は、今や珍しいものではなくなっている。
「女性 風俗」で検索すると、多くのサービスがヒットする。「性感マッサージ」とズバリ書かれていることもあれば、「女性専用マッサージ」「男性セラピスト」「バストマッサージ」などと、やんわり匂わせていることもある。
何をしてくれるのかは様々だが、ざっくりと分類すると、恋人気分を楽しませてくれるサービス、アロママッサージの延長で性的なマッサージをしてくれるサービス、そして性感マッサージのみをしてくれるサービスなどがあるようだ。いずれも“男性セラピスト”がサービスを提供してくれる。
筆者は以前、取材で「アロママッサージでの性感マッサージ」を体験したことがある。男性セラピストが全身マッサージの延長でバストや局部の強ばりを、プロの“テクニック”でほぐしてくれるというもの。
担当してくれた男性セラピストは、もともと整体とリラクゼーションを目的としたマッサージを提供していたが、複数のリピーターからの要望を受けてバストや局部のマッサージを始めたらしい。サービスを開始するうえで、「女性の身体のメカニズムを勉強した」と言っていた。
そこで、友人らと比較しても性欲が強いことを自負しているし、性についての相談をされる機会も多い筆者の心が疼いた。
「女性が気持ちよくなるにはどうすればいいのか、なぜ女性たちが性サービスを利用するのか、知りたい…!」と。
そんなわけで、東京の目黒区某所で女性専用マッサージサロンを営む男性セラピスト・吉野さん(仮名)に取材。「なぜ女性たちが性サービスを利用するのか」、そして数多の女性たちにマッサージを行う中で得た「女性が気持ちよくなる方法」を聞いてきた。
女性が快感を得るためには? 女性用風俗の男性セラピストの意外な回答
「自分でも気持ちよくなれたら…」とか、「女性パートナーをもっと気持ちよくしてあげられないだろうか…」と思っている人はいないだろうか。日本の女性たちにもっと気持ちよくなってほしい(私もなりたい)! そんな願いを胸に、バストやアンダーのマッサージを行う男性セラピストに「女性が気持ちよくなる方法」を聞いてみた。
女性がより気持ちよくなる方法が知りたい!
「性的な欲求を解消したいから」だけじゃない
吉野さんのサロンには、一般的なボディマッサージのみのコースとバストマッサージ付きのコースがある。局部のマッサージはバストマッサージ付きコースのオプションで、希望者にのみ行うものだ。
バスト&局部のマッサージを付けると、ボディマッサージコースと同じように全身を揉みほぐしてもらったあとに、ソフトタッチでのバストマッサージと、局部の外側・内側の指マッサージをしてもらうことができる。“イク”という感覚を得られる方も多いだろう。
いったい、どんな人がこのサロンを訪れ、バストマッサージ(&局部)付きのコースを利用しているのだろう。
わざわざ性的なマッサージのある店を選んで行くのだから、「性的な欲求を解消したい」という気持ちでサロンの扉を叩くのだろう。そんなふうに思って取材を始めたのだが、返ってきたのは意外な答えだった。
―――利用される方は、どんな女性が多い印象ですか?
これが意外なことに特徴はなく、年代やお悩み、ニーズは本当にバラバラです。僕からすると、“癒しを求めてマッサージをしに来た女性である”という共通点しかないんですよね。
―――えっ? パートナーとセックスレスで悩んでいるとか、オーガズムを味わってみたいとか、そういう「性的な欲求を解消したい」という理由でみなさん来店されるのではないんですか?
僕もサービス開始当初はそのようなニーズがあるのだと思っていました。もともとバストマッサージを始めた理由も、複数のお客さまからご要望をいただいてのものでしたし、性的なモヤモヤを解消したい女性って多いのかな、と。
でも、バストマッサージ付きのコースを始めて6年になりますが、初めて来店される時から「このサービスを受ける」と決めている方って、すごく少ないんです。
―――HPの施術メニューにも「バストマッサージコース」って載せていますよね。このコースを初めから受けたくて来店される方が多いのかと思っていました。
もちろんそういう方もいらっしゃいます。特にリピーターの方は、予約の段階でバストマッサージ付きのコースを申し込まれる方も多いです。
でも初来店の方は、事前にメニューがあることを知っていても、カウンセリングを受けてからオーダーされたり、ボディマッサージコースの施術中に追加でオーダーされる方がほとんどなんです。
モヤモヤしていることに、だんだん気づいていく

―――敏感な部分に触れられるものだから、「セラピストを見て決めたい」という方が多いのでしょうか。
そうした方も、もちろんたくさんいらっしゃると思います。
でも実は、自分でも知らず知らずのうちに「性的な解放を得たい」「性的なモヤモヤを解消したい」という欲求を、心の奥底で抱いている女性が多いのではないかと思っています。
―――なぜそう思われるのですか?
当店はカウンセリングを大事にしていますが、疲れを感じて来られる方とじっくり向き合ってみると、身体はもちろん、マインドの部分が解放されていないことに気付きます。
そのような方は、最初のカウンセリングで疲れ以外の悩みを口にすることはほとんどありません。
しかし、コミュニケーションが深まったところで「何か悩みがありますか?」と聞くと、少しずつ仕事の人間関係や夫婦関係などの悩みをお話ししてくだいます。そこからさらに話を聞いていくと、「パートナーとセックスレス」「忙しくてセックスもマスターベーションもご無沙汰…」とお答えになる方がすごく多いんです。
―――表面的な悩みを打ち明ける中で、潜在的なニーズに気付くということでしょうか?
必ずしもそうだとは言えませんが、カウンセリングや施術の中でコミュニケーションを重ねてから「バストマッサージ付きのコースがある」とお話しすると、興味を持つ方が少なくありません。
周囲の人に仕事や夫婦の悩みってしづらいですよね。そうした普段言えない悩みを話すうちに、心がほぐれ、根底にあった性的な欲求に気付いたり、性的なモヤモヤを解消したいと思えたりするのかもしれません。「性の解放=心の解放」ですから。
自分で「気持ちいい」を高める方法
―――なるほど。そうすると、女性がセックスやマスターベーションで「気持ちよくなれない」と感じるのは、「心が解放されていないから」ということもあるのかもしれませんね。
それはおおいにありますね。心の強張りや緊張がほぐれないと、芯からのリラックスは得られませんから。
―――プロから見て、女性がマスターベーションで気持ち良くなるためにできることは何かありますか?
まず、マスターベーションをする際に一番大切なことは、自分で自分を気持ち良くすることは、恥ずかしいことでも悪いことでもないと肯定してあげることだと思います。
身体と心はつながっているため、身体の快楽を得るためには、心を心地良い状態にしておかなければなりません。
そのためにおすすめなのは、声が出るときは我慢せずに出してみること。声が出ることで、初めて自分で「気持ちがいい」と気づけることもあるからです。
自分で自分を知ること、ありのまま自分を認めることで、オーガズムは得やすくなると、接客をしていても思います。
あとは、「緊張と弛緩」を意識するといいですよ。リズムや強弱をつけてフェザータッチしたり強めに押してみたりと波をつけることで、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にすることにもなりますから。
パートナーを気持ち良くする方法は?

―――では、パートナーの女性を気持ち良くするためには、何をしてあげたらいいと思いますか?
まずは「相手の感情を捕まえる」ことを意識するといいと思います。
セックスの最中、「どうしたら相手の気持ちを盛り上げられるか」「どうしたら相手が興奮してくれるか」ということに集中するんです。自分ではなく、相手に集中することが大切です。
そのためにも相手のことをよく知っておかなければなりませんから、セックス以外でのコミュニケーションも不可欠です。セックスレスの人は、まずはコミュニケーションを取るところから始めなければ、お互いの本当の意味での気持ちの良さは得られないと僕は思います。
そして、まどろむような雰囲気づくりに徹すること。相手をよく観察して、相手が喜ぶようなスキンシップをすることも大事です。どうでもいい話など日頃からよく会話をしておくことが必要なのではないでしょうか。
相手をよく見て、知る
―――最後に、吉野さんが女性の心身を満たすために施術において心がけていることを教えてください。
まずは相手をよく見て、知ることです。彼女がどんなことに興味を持っていて、どんな悩みを抱えているのかなど、相手について知っていることを増やしていくようにしています。
また性的な解放を求めている方に対しては、性的な好みについてもお聞きします。
頭で考えて想像すると、性的な気持ちが高まりますよね。最初は緊張していても、気持ちが高まりリラックスしてくると自分から色々と話をしてくださる方が多いですし、心がほぐれることで身体もほぐれていきますから。
テクニックよりも、コミュニケーション

終始おだやかな口調でお話しする吉野さんは、どこか中性的で、女性にとって安心できるいい意味で「無害」な印象を与える柔らかさがある。それは、たくさんの女性と接し、丁寧に心と身体を解放し続けてきた努力の賜物だろう。
彼の話しぶりから、相手が女性であるからこそ余計に「テクニックよりもコミュニケーション」が大切なのだろうと感じた。
女性にとって(男性もだと思うが)、本当の性の解放はまず「心の解放」から。心身の健康を自身で見て、自愛することが気持ちよさを得ることの第一歩なのかもしれない。
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