これまで、5000人以上の髪の悩みを解消してきて、気づいたことがあります。「育毛ケアをしている」とおっしゃる人の多くが、高価な育毛剤や特別なマシンで、頭皮のみに刺激を与えているのです。そして、お金と時間をかけても満足な効果が得られないと嘆いているのです。
つまり、結果が出ない理由は、「頭皮のみ」をケアしているから。これが、私が気づいた新事実です。髪を蘇らせるためには、幹の部分――体から頭へとつながる、肩、胸、首の血の巡りを改善し、頭皮に血流を促すことが重要なのです。
そこで「辻式育毛マッサージ」では、胸、肩、首をほぐすことからはじめます。淀んだ河川を清掃する際、川下から掃除をはじめないと淀みが流れていかないのと同じで、頭皮だけをケアしても、頭皮の血流不足は改善されないからです。
これから、わずか3ステップで「ほぐして」、疲労物質を「流す」ことで、頭皮をベストコンディションに「もどす」辻式育毛マッサージをご紹介しましょう。

試した95%が効果を実感! 頭皮を蘇らせる神ヘッドスパ直伝のすごいマッサージ
新型コロナに伴う「新しい生活様式」のひとつとして定着したマスク生活と外出自粛。人前に出る機会の減少を好機ととらえ、自宅で肌や髪などの美容ケアに励む人が増えているという。そこで今回“自宅でできるヘアケア”として、ヘッドスパ専門店「PULA(プーラ)」を運営する髪のスペシャリスト・辻敦哉氏の提唱する「辻式育毛マッサージ」を紹介。 “ヘッドスパのゴッドハンド”の異名を取る同氏の新著『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』(アスコム)から、一部抜粋・再構成してお届けする
辻敦哉氏最新著書『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』から抜粋
なぜ、辻式育毛マッサージで髪が蘇るのか
3ステップで「老け髪」の原因を根本から撃退!
最初に行うのは「大胸筋ほぐし」です。このマッサージは、頭部を含む上半身にたまった疲労物質を、上半身最大の「ゴミ捨て場」である腋窩リンパに流すことが目的です。頭、首、肩、胸部の老廃物を、わきの下にある腋窩リンパにスムーズに流すには、胸と腕をつなぐ、胸部の一番上にある大胸筋をほぐすことが重要となります。

1.人さし指と中指で鎖骨を挟むように手をあて、指をぐっと押し込む。肩甲骨から動かすイメージで、両腕を前方に1分間まわす。同様に、後方にも1分間まわす。
また、大胸筋は首の後ろにある僧帽筋(上部)と連動しているので、ここをゆるめないと首まわりの筋肉のこわばりを効果的にゆるめることができません。大胸筋は手の重さを支えている筋肉のため、起きている間は休まることがありません。

2.左手の親指を、右胸の鎖骨から指3本ぶん下の位置にあて、ぐっと後方に押し開くイメージで胸の中心から外側に向かってらせんを描きながら1分間マッサージする。親指で押すと痛い場合は4指でさする。反対側も同様に行う。
1日の終わりにマッサージで緊張をゆるめることで、副交感神経が優位になり、美しく豊かな髪を育てる質のよい睡眠をもたらす効果も期待できます。
頭皮に血流を促し、髪に栄養を届ける「胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし」
次のステップでは、「胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし」で、首をゆるめます。約5キロあるといわれる頭の重さを、首の前側から支えるのが胸鎖乳突筋、後ろ側から支えるのが僧帽筋です。この2つは連動して働く筋肉なので、「こり」や痛みを感じやすい首の後ろだけをマッサージしても、血の巡りを改善する効果は発揮されません。

両手は体の横に下ろしたまま、頭を前に倒し、そのまま時計まわりに1周する。頭が前にもどったら、反時計まわりでもう1周する。
このマッサージは、首まわりの筋肉をゆるめることで頭皮への血流を促すことが目的です。頭皮の血流不足は、すべてのタイプの薄毛、白髪、「老け髪」の原因となるので、髪に悩むすべての人に効果があるマッサージです。特に、「首こり」になりやすい、眼精疲労を感じている人は意識して行ってください。
老廃物を流し、血流をさらに促進する、「富士山ライン」マッサージ
「胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし」のマッサージで、首の前後の筋肉をほぐした後は、「富士山ライン」に沿って、胸鎖乳突筋の起点から僧帽筋の起点、後頭下筋と順に、後頭部にある首の付け根をほぐします。これは、筋肉のこわばりにより、頭部と首で滞っていた疲労物質を流すことが目的のマッサージです。ホルモンバランスを整えたり、代謝をよくしたりと、育毛の相乗効果が期待できるマッサージなので、朝晩と回数を限定せず、休憩時間などのリラックスタイムや、「目が疲れた」と感じたときにも行うといいでしょう。

机やテーブルにひじをつき、左の首と頭蓋骨の付け根(後頭部の際)に左手の親指をあて、頭の重みを利用して富士山ライン(画像吹き出し参照)のくぼみに沿ってマッサージをする。1分間マッサージしたら、反対側も同様に行う。
ただし、このマッサージは頭部に血流を促す効果がとても高いので、血圧が高いときや、お酒を飲んだ直後には行わないでください。血圧が高めで、富士山ラインのマッサージを行うことが心配な人は、富士山ラインをぐっと指で押し込むマッサージではなく、人さし指、中指、薬指の3本でさするようにうにやさしくマッサージをしてもいいでしょう。
「側頭筋ほぐし」で頭皮全体の血流不足を一気に解消!
頭部につながる筋肉のこわばりがほぐれたら、いよいよ「頭部」をマッサージしましょう。ほかの育毛法では「頭皮」をマッサージするものが多いので戸惑う人もいるかもしれませんが、辻式育毛マッサージでは「頭皮」ではなく「頭部」をマッサージしていきます。
ここで紹介する「側頭筋ほぐし・前頭筋もどし」は、頭皮のつっぱりを解消することが目的のマッサージです。引っ張られていた頭皮が元の場所にもどり、ふわふわと柔らかい状態になることで、頭皮をおおうように張り巡らされている、すべての毛細血管に対して血流改善の効果があります。頭頂部をもんで、側頭部をもんで、後頭部をもんで......と、ピンポイントで頭皮をほぐしていかなくても、一気に頭皮全体の血流が改善されるのです。

机またはテーブルにひじをつき、頭の重さを利用して力をかけ、もみあげと眼鏡のツルが交差するライン(奥歯を噛むとふくらむ、咬筋の位置)からまゆ尻までの側頭筋を30秒、円を描くように指でマッサージする。次に、こめかみから前髪の生え際に手根(親指の付け根)をあて、前頭筋を30秒ゆっくりと押し上げる。
頭皮のつっぱりが解消され、頭部全体の血流が改善されるので、育毛だけでなく、眼精疲労や頭痛の軽減にも効果があります。
頭皮の血流をさらに促進する「前頭筋もどし」
最後にマッサージするのは、頭部にある4つの筋肉の中で、唯一、頭蓋骨とつながっていない筋肉「前頭筋」です。ここが疲れると、まゆの位置が下がり、まぶたが重い「お疲れ顔」になります。反対に、緊張してこわばると、おでこに横シワを刻みます。しかも、この「老け顔」は、つむじまわりから、薄毛、白髪がはじまりそうですよ!という体からの危険信号なのです。だから、側頭筋をほぐすだけでなく、「前頭筋もどし」で前頭筋を本来の位置にもどすことが重要となるのです。

机またはテーブルにひじをつき、両手を組んで、まゆ毛の上に手根をあてる。頭皮と筋肉を中央に寄せるイメージで、頭の重さを利用してぐっと頭皮を中央に寄せながらつむじにむかってA字型にマッサージする。つむじまできたら、頭頂部をぐっとつかんで10秒キープし、パッと離す。
前頭筋も側頭筋も、疲労やこわばりに気が付きにくい筋肉です。今はまだ、前頭筋が、薄毛、白髪、「老け髪」という形でSOSを発信していなくても、「顔が疲れている」「老けて見える」と感じたら、辻式育毛マッサージのはじめ時です。血流ケアで、美しい髪と若々しさを取りもどしましょう!
※本記事で紹介するマッサージで体に異常が起きた場合は、ただちに専門医にご相談ください。また医師からマッサージを禁じられている人などは、事前に医師に相談をしてください。
また、効果・実感には個人差があります。
再構成/結城紫雄 画像/すべてアスコム
「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ
辻敦哉

監修:コッツフォード良枝
アスコム
2022年5月18日発売
1595円(税込)
単行本(ソフトカバー)/192ページ
9784776212119
白髪が気になり始めた。髪のボリュームが薄くなってきた。
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みなさんは髪が若返るようにと、いろいろな方法を試してきたでしょう。
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その理由は、あなたのやり方が間違っていたからです!