「膣活」や「膣トレ」といったワードが一般用語となって久しいが、女性の膣に関する医療も年々、進化。コロナ禍で“おこもり美容”なんて言葉が流行ったが、この間、膣ケアに勤しむ女性も少なくないのだとか。そんな中、今、婦人科形成の分野で注目されている施術が、膣のアンチエイジングだという。
――膣のアンチエイジングとは、いったいどういうものなのでしょうか?
大きくわけてふたつあります。まずひとつが書籍『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』で登場人物のビシュネルが受けたレーザー療法の「モナリザ・トリートメント」。日本では「モナリザ・タッチ」と呼ばれ、炭酸ガスレーザーで膣内を照射し細胞を活性化することで、膣内のコラーゲン生成を促す治療法です。
そしてもうひとつが、当院で取り扱っている超音波療法の「ウルトラヴェラ」です。これは皮膚を切らずに顔のシワやたるみをリフトアップできると人気のHIFU(ハイフ)の膣バージョンですね。
感度を高めたい女性が殺到中! 記者が体験した最先端の「膣アンチエイジング治療」
シリーズ最新刊『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』で50代独身女性が“膣のアンチエイジング治療”を受けたシーンが描かれるなど、にわかに注目されつつある婦人科形成の施術。その最新事情を産婦人科医で美容医療も手がける、新宿ピルクリニックの宮本亜希子院長に伺った。
超音波療法で膣をアンチエイジング

宮本亜希子院長。産婦人科医として分娩の現場に立ち会った後、東京美容外科に婦人科医として勤め、今年4月開院の新宿ピルクリニック院長へ。東京美容外科のYouTubeでは“あっこ先生”として、NGなしの軽快なトークで親しまれていた

このカートリッジに超音波ジェルを塗って膣内に挿入。一見「太っ! 長っ!」と思うが、先端の黒い小窓部分から超音波が出力されるので、奥まで入れるわけではない

分娩台のような台に乗り、宮本先生にカートリッジを挿入されて施術が行われる

カートリッジは左から1.5mm、3.0 mm、4.5 mm。膣のそれぞれの深部に超音波を当てていく。当てる回数はシングルコースが45回ずつ、ダブルコースが90回ずつとそれぞれ選べ、所要時間は20~30分
――レーザー療法と超音波療法…これらは一体どう違うのでしょうか?
レーザー療法の「モナリザ」は膣上皮に照射し、潤い不足による性交痛や匂い、痒みを改善します。超音波療法の「ウルトラヴェラ」は「モナリザ」よりもさらに深い筋層にも照射して膣内を引き締めるので、尿漏れや湯漏れ(膣内に湯が入り、お風呂上がりに膣から湯が流れ出ること)にとても効果的であると言えます。
――先生が「モナリザ」ではなく「ウルトラヴェラ」をクリニックに導入した理由は?
実は私自身も3人の子供を出産し、湯漏れに悩んでいました。あと、くしゃみをした時に少量とはいえ“ジュワッ”と尿漏れする嫌な現象も改善したかったんです。
「モナリザ」は膣のタイトニング(引き締め)効果はほぼなく、「ウルトラヴェラ」は尿漏れや湯漏れに即効性があったので、迷うことなく「ウルトラヴェラ」を導入しました。ま「ウルトラヴェラ」の機器の方が「モナリザ」よりもだいぶ高いのですが、そこは奮発しました(笑)。


先端部分の黒い小窓部分から超音波が照射される。先生がこのようにカートリッジを1目盛りずつ回転させることで膣内に超音波がまんべんなく照射される

超音波の照射力や照射回数はこの機器で確認しながら行われる
――「ウルトラヴェラ」で改善されるのは尿漏れや湯漏れだけなのでしょうか。
いえ、主に更年期障害で現れる膣の不調も改善されます。
――更年期障害で現れる膣の不調とは?
およそ以下の5つの不調が現れると言われています。
① 膣の萎縮による乾燥や痒み
② 膣壁が薄くなり擦れて傷つきやすくなり出血しやすくなる
③ 尿路感染症になりやすくなり、時には排尿回数が増えることも
④ 膣内の酸性バランスの変化による臭い
⑤ 膣の伸張や膨張(骨盤部の筋肉の緩みから子宮などの臓器が膣口にまで下がったり、膣口から出てきてしまう現象)
この中でも特に①②⑤の症状を改善しつつ、そもそも膣内の弾力性を良くする効果が「ウルトラヴェラ」にはあるのです。
――膣内の弾力性が良くなると、どうなるのでしょうか。
膣内の弾力性の低下には膣の萎縮が関わってくるのですが、そうなると当然ながら性行時に男性器を受け入れにくくなり、性行為が痛くてできない=性交痛が引き起こります。弾力性が高まれば痛みは改善されるでしょう。
――どういう仕組みで改善されるのでしょうか。
皮下組織や筋層に超音波が照射され、約1週間ほどで膣内のコラーゲンの変性を促します。さらに3週間ほどで自己のコラーゲンを形成し始め、膣内の引き締まりや弾力性が増強し潤いを取り戻します。その効果は約半年から1年ほど持続します。
「感度を上げたい!」と受けにくる女性も
――主に膣の不調の改善を求めた女性が受けにくるのでしょうか。
いえ、実はこれは私自身も感じていることですが、「ウルトラヴェラ」を受けた後は性交時の感度が格段に上がります。その効果を求めて「感度を上げたい」という目的でいらっしゃる方もいます。
――なぜ感度が上がるのでしょう。
それは先ほど説明した弾力性が良くなることと通じます。施術前後に膣内に指を入れるとより実感するのですけど、施術後の方が膣内の感触がフワフワしていて、明らかに施術前よりも膣内が狭くなったような感触がします。まるで、ヘタったクッションに綿を詰めてフワフワ感が増したような。膣内がフワフワになると、男性器が膣内の性感帯に当たりやすくなり、それで感度が増すのでしょう。
――ちなみに施術のデメリットは。
顔のHIFUでは熱傷トラブルなどの報告が上がっていますよね。HIFUの機器は皮膚に密着させて使うのですが、当て方が悪く、皮膚から機器が浮くとその部分に火傷を起こす場合があります。でも膣内は棒状の機器を入れて当てるので浮きようがなく、火傷の心配はほぼありません。つまりメリットしかありません。
強いて言うなら自由診療なので1回につき5万円〜10万円ほどかかるので、その料金をどう感じるかですね。効果は約一年持続しますが、それでコスパは良いと思うかどうか。
――施術を受ける年齢層は?
30代~50代の経産婦の方が中心ですが、20代で「感度を上げたい!」という方や、「彼から“緩い”と心無い言葉を言われて傷ついた」という20~30代の方もいたりと様々です。
アンチエイジングで膣の“不快”がなくなれば、締まりも感度も上がって“快”が増えます。膣の潤いは心の潤いですから(笑)、「ウルトラヴェラ」をより多くの方に知っていただきたいですね。

記者(45歳・2児の母)は、今回、取材時に「ウルトラヴェラ」の施術を受けて、現在、約3週間ほど経過。今のところ、「膣の状態がめっちゃ改善された!」という感覚はないが、普段から膣内の“ギュギュッと感”が高まったような気がし、ギューッと締めると、以前よりも力が入りやすくなったような気も。セックスの感度の変化は、術後まだいたしてないので不明!
「膣HIFUは欧米ではすでに膣のアンチエイジングとして広く知れ渡った治療法です。日本でも周知したいし、女性のQOLが格段に上がると声を大にして言いたい!」と宮本先生。
膣の不調にお悩みの方、将来に向けて膣力をアップさせたい方は、“こんな対処法もある”と覚えておいて損はないはずだ。
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