特別演技がうまい人だと思ったことはないけど…

オードリー・ヘプバーンが出演する作品は、いつも現実離れした夢の世界だし、ファッションもかわいかった。映画が公開されると、嬉々として劇場に見にいき、リピート鑑賞をしていました。彼女に似ているという女優は、その後も何人も出てきましたけど、やっぱり彼女ほどの人はいない。カリスマそのものですよね。

よく覚えているのは、「映画の友」という雑誌に載っていた『ローマの休日』(1953)のスクリーンテスト後の写真。セットのベッドから起き上がって、ほっとした表情で笑っている写真が本当にかわいくて、あの笑顔だけで「テスト合格」だったと思います。当時は無名でしたけど、なぜか強く印象に残っています。

『ローマの休日』もそうですけど、彼女はヨーロッパが似合う女優よね。『昼下りの情事』(1957)もパリが舞台だったでしょ。ゲイリー・クーパー演じるアメリカ人男性に恋するパリの娘役が、本当にチャーミングでした。フレッド・アステアと共演した『パリの恋人』(1957)も素敵でしたね。

特別演技がうまい人だと思ったことはないけど、彼女が醸し出す妖精っぽさや清潔感、おしゃれな雰囲気は別格。今も絶大な人気を誇る理由がわかります。