世界中が注目したトムの新恋人

14歳で映画デビューし、40年以上も第一線で活躍し続けるニコール・キッドマン。1月20日公開のアクション大作『ノースマン 導かれし復讐者』では、中世のヨーロッパを舞台に、父王の復讐を果たそうとする王子の母親を貫禄たっぷりに演じている。そんなニコールが日本で広く知られるようになったのは、女優としてよりも“トム・クルーズの新恋人”としてだった。

オーストラリアでTVドラマや映画、舞台などで活躍していたニコールが、初めて出演したハリウッド映画『デイズ・オブ・サンダー』(1990)でトム・クルーズの相手役をゲットしただけでなく、トムとの結婚も決まり、世界中から注目を集めていた。1992年に公開されたトムとの共演作『遥かなる大地へ』(1992)ではふたりで仲良く来日し、そのあまりの美しさと気さくな人柄にトム・クルーズが惚れるのも納得だった。

しかし、2001年に公開された『ムーラン・ルージュ』(2001)のLAインタビューの現場に現れたニコールはひどくやつれていた。
取材が始まると、先にニコールが話し始めた。

「みなさんが記者で、私とトムについての記事を書きたいと思うのは当然だとわかっています。だからこんなことを頼むのは筋違いかもしれないけど、今日はトムとのことを聞かないでください。私自身まだまだ混乱状態で冷静に答えられないし、トムや子どもたちも関わっていて私だけの問題じゃないので、どうか聞かないでください…」と大粒の涙をポロポロ流したのだった。
ロードショー2007年5月号『ハリウッド外国人記者クラブ所属 中島由紀子のHOLLYWOOD STAR DIARIES』より
※過去の取材からスターの人となりを考察する連載企画。取材は2001年に実施。

この取材は、トムとの離婚が成立した直後だったため、記者たちの意気込みも相当高かったはず。ドタキャンしてもおかしくなかったのに、取材に応じたニコールのプロ意識には頭が下がる。