2006年4月にデビューし、「永遠のロリータ」として人気を博したつぼみさん。長らくトップ女優として活躍するも、2022年4月末に現役を引退。その後は『週刊プレイボーイ』で連載コラムを執筆していたが、こちらも2022年で終了となった。そんな彼女は今どんな暮らしをして、何を思っているのか。最後の最後に、話を聞いた。
──16年間の現役生活、お疲れさまでした。2022年2月に突如として引退を発表して業界を驚かせました。改めて、やめようと思ったキッカケは?
あれは2021年の12月末だったんですが、夜中にふっと思ったんです、セクシー女優をやめようって。その前日まで「20周年まで続けられたらいいな」って考えていたくらいなので、自分でも明確にわからないんです、なんでやめようと思ったのか。
ただ、私はせっかちな性格だから、思ったら止まらなくて。すぐにマネジャーさんにLINEで引退したい旨を伝えました。
──マネージャーさんは焦ったでしょうね。
本心でいうと、その年のうちにやめたかったんですが、さすがにそれは無理だろうなと。いろいろと話し合った結果、翌2022年の4月末で引退することになりました。
──どんな16年間でしたか?
始めた頃は自分でもすぐにやめると思っていたんです。ホント、怒濤の16年でしたね。
──デビューから2年は単体女優、その後5年間がキカタン(企画単体女優)、そして現在に至るまでの9年間が単体女優として活躍されました。トータルの出演本数って何本くらいなんでしょう?
まったくわからないですよね(笑)。キカタンのときは年間170~200本くらい出演していて、過去作品をまとめたものも入れると、たぶん3,000本近くは作品が出ていると思います。
──これまでにやめようと思ったことはなかったんですか?
実は一度だけあるんです。デビュー5年目の頃かな。ザーメンぶっかけ作品の現場だったんですが、事前の打ち合わせではぶっかけシーンが一気に終わるはずだったんですよ。ところが汁男優さんのスタンバイなどの関係で、一旦休憩することになって。私は裸で、どろどろの状態のままで、周りのスタッフさんはお昼ご飯を食べたりしている。え、話が違う!って。
さらにその後、パッケージ撮影があったんですが、動画撮影から3時間は必ず空けるっていう話だったのに、メイクルームに戻ったら「まだですか?」ってスタッフさんに何度も急かされる。
そのとき、もう絶対にやめてやると思っていたんですけど、なぜかすべての撮影が終わった後、スッキリした気分になっていて。結果として数時間くらいでしたね、本気でやめようと思ったのは(笑)。

「猫と二人、田舎の一軒家で幸せに暮らしてます」現役時代のギャラや田舎での生活、結婚の噂の真相まで。全てに答えた、元セクシー女優・つぼみの現在
デビューから16年、一線でキャリアを築き続けてきたつぼみは、2022年の4月に突如引退した。突然過ぎた引退劇、そして初めて語られる引退後の8ヵ月の生活。元セクシー女優、つぼみのラストインタビュー。

3,000タイトル以上に出演したが、突如として引退

底辺だから、ちゃんとしなくていいと思えた
──生々しいお話ですが、現役時代、ギャランティはどれくらいもらっていたんですか?
建前でも何でもなく、最初の頃はギャラがいくらなのか聞いていなかったんです。ただ、キカタンのときは撮影本数も多かったので、月収にすると約300万円くらい振り込まれていました。
途中から明細を聞くようになったのですが、打ち合わせをしてから撮影までけっこう時間が空くので、その作品のギャラがいくらか忘れちゃうんですよ。でもそれでよくて。「この作品、ギャラが○○円だから」って思いながら撮影したら楽しくないじゃないですか。
──女優を続けていたのはお金のためじゃなかったんですか?
ノーギャラでやってくださいって言われたら、絶対にやらないですが、お金のためだけにやっていたら、16年も続かなかったと思います。
もともとこの業界に入ったのは、興味本位でしかなく、裸を世界へ向けて晒したけどお金はもらえないんだろうな、事前にいいことばかり言っていたけど騙されるんだろうなって不信感しかありませんでした。
仕事を続けるうちに、ちゃんとお金を払ってくれて、守ってくれるということがわかった。安心感が生まれて、ここにいても大丈夫なんだ、ここが私の居場所なんだって思うようになったんです。
──今は俗にいう「新法」ができて、業界は混乱しています。
一時期、セクシー女優がアイドル扱いされたり、世間的にフィーチャーされたりしていたじゃないですか。私は傍から見ていて、ちょっと違うんじゃないかなって思っていました。本来、業界は目立ってはいけない所ですから。新法ができたのは、悪目立ちした部分も影響したのかなって。
──セクシー女優の仕事は偏見をもたれやすいですよね。
私もデビュー前はそうでした。セクシー女優という仕事を見下していた側なので、単体からキカタンになったときも周囲から「落ちた」って言われることもありましたが、自分では特に何も思わなかったですね。
底辺の仕事の中でランクが多少上下しようが、ほかからみたら底辺なのは一緒。ただ、私は底辺にいるんだって考えたら、すごく気持ちがラクになった。ちゃんとしなくていいんだって思って(笑)。

田舎の一軒家で二人暮らし
──今後、つぼみ作品がどんどん世の中から消えていくと思います。16年の足跡がなくなることに対して思うことは?
特に何もないです。切なさもない。いつかは自分がつぼみだったことも忘れちゃうかもしれないですし。
──引退後の現在は都心を離れていると聞いています。どんなところに住んでいるんですか?
東京から3〜4時間のところにある、のどかな町で暮らしています。まわりは畑ばかりで、若い人はそんなに住んでいないですね。
──ゆかりある場所だったんですか?
いえ、まったく(笑)。私はピアノが趣味で、数年前にグランドピアノを買ったんですよ。引っ越すにあたってそれがかなりネックで、普通のマンションだとピアノが弾けないですし、重量もあるから床を補強しないといけない。
一軒家でも住宅密集地だとダメで…って探していったら、今の畑の真ん中にあるポツンと一軒家がちょうどよかったんです。
──もしかして、ご結婚されたとか?
引退するときに沢山それを言われたのですが、そもそも私、結婚願望がまったくないんです。もしも子供ができて、そのほうがいいんだったら結婚はしますけど…。
今は静かに、猫とふたり暮らしをしていて、とても幸せです。
──寂しくはならないんですか?
寂しいなとか、ネガティブになることはないんですけど、あまりに声を発しない日が続くと、現役時代にネット配信とかでファンの皆さんと話していたのが楽しかったなぁって思い出したり、誰かと会話してみたいなって思ったりすることも。
──ほとんど会話のない日々なんですか?
回覧板が回ってきたり、町内会の方とお話をしたりはあります。後はピアノ教室や歯医者、美容院に行くために、定期的に東京に来ていますし、親友ともお茶しているので、そのときにたくさんしゃべっています。
──1日のタイムスケジュールを教えてください。
寝室のカーテンをちょっとだけ開けているので、そこから入ってくる陽の光で9時頃に起きて。その後、歯磨きをしながら家中の窓を開けて換気して、ゆったりと朝風呂に入ります。家事やご飯を食べた後は、気の向くままピアノを弾いていますね。最近体の調子がすごくいいんです。毎日自然と眠れて、自然に目が覚めて。
夕方にはセールになる時間帯を狙ってスーパーマーケットまで歩いて買い出しに行って、毎日自炊。以前は夜にウォーキングをしていたんですが、真っ暗すぎて懐中電灯と反射板をたすき掛けにしないといけなかった。その姿を見たご近所の人がビックリすることも多くて、段々とやらなくなっちゃいました(笑)。
金髪になった理由と、ファンへの感謝の言葉
──今回取材のために上京していただいたんですが、金髪になっていてビックリしました。
現役時代、一度も髪の毛を染めたことがなかったんです。事務所から強制されていたわけじゃなくて、私、髪の毛を触るのが癖なんですよ。そのときに髪の毛が傷んでいたら悲しいんじゃないかと思って。今は髪の毛が傷んでいても切っちゃえばいいので、思い切って金髪にしてみました。
──ファンの皆さんもきっと驚くと思います。ちなみに今の収入はどうなっているんですか?
引退して以来、『週刊プレイボーイ』さんのコラムが唯一の収入でした。でも、それも年内で終わってしまったので、今は貯金を食い潰している状態ですね。このまま働かずにいけるところまでいこうかと…。
5年くらいはなんとかなると思って、気楽に生きています。
──もしも働くなら何をしたい?
う~ん、何でもいいですね。コンビニやスーパーマーケットなど、徒歩圏内で働けるところなら。あ、でもこの前コミケで初めて売り子のアルバイトをしたんです。知り合いのモデルの子が、私がお金に困っているんじゃないかと心配して「バイトあるよ」って誘ってくれたんです。
でも、繰り返しますが、まだちゃんと働くつもりはありません(笑)。
──数年後、どこかの街でレジ打ちをしたり、働かれているかもなのですね。なんだか映画みたいです。最後にファンへのメッセージをお願いします。
ファンの皆さま、関係者の皆さまには、本当に感謝しかありません。特にファンの皆さまの存在は大きく、つぼみを見てくれていたことが大きなモチベーションになっていました。
これまで16年間、ありがとうございました。

取材・文/高篠友一 撮影/峠雄三 スタイリスト/深澤勇太 ヘア&メイク/小園ゆかり
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