かつてラブストーリーは連続ドラマの花形だった。

しかし、職業ドラマの台頭とともに、GP帯(19時~11時)を賑わせた恋愛ドラマは激減。『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)、『いま、会いにゆきます』(TBS系)といった2000年代中期の“純愛ブーム”を最後に、恋愛ドラマは冬の時代へと突入した。

それが今、大きく風向きが変わろうとしている。きっかけは、コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)やTVer再生数、Twitterトレンドといった、ドラマの新たな評価軸ができたことにある。

ドラマがヒットしたかどうかを測る指標は、長らく世帯視聴率のみだった。若者のテレビ離れもあり、中高年層の受けがいい刑事モノや医療モノといった職業ドラマが世帯視聴率を伸ばす一方、恋愛ドラマは苦戦を強いられることに。

しかし、各局がコア視聴率重視にシフトしたことで状況は一変。世帯視聴率が低くてもコア視聴率が望める恋愛ドラマに対する再評価の声がにわかに湧き立つことになったのだ。

さらに、TwitterトレンドやTVer再生数など、そのドラマがいかに世間の話題をさらったかを示す新たな指標ができたことが状況を後押し。日本のドラマで「Twitter世界トレンド1位」をいち早く謳った作品といえば、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)だ。平均視聴率は 4.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と平凡ながら、第6話、最終回と2週連続で世界トレンド1位を獲得し、視聴率だけでは測れないヒットドラマの形を提示した。

秋ドラマの話題を独占した『silent』(フジテレビ系)も平均視聴率こそ7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と平凡だが、第1話から第8話までのTVer塁計再生数が4600万回を突破し(2022年12月7日時点)、TVer塁計再生数の歴代最高記録を樹立した。

こうしたTwitterトレンドやTVer再生数は、ファンの主体的なアクションによって支えられている面もあり、熱烈なファンダムを形成しやすい恋愛ドラマとの相性は抜群。長かった冬の時代を脱する追い風となっている。

その勢いを加速させるように、冬クールは恋愛ドラマが急増。中でも注目は『星降る夜に』(テレビ朝日系)、『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)、『100万回 言えばよかった』(TBS系)の3作品。これらの作品が再び冬ドラマの話題をかっさらえば、いよいよ恋愛ドラマ復活の大号令となる。

それぞれどんなドラマになりそうか。期待と魅力を解説する。