『エルヴィス』『コーダ あいのうた』『ウエスト・サイド・ストーリー』…年末年始に目と耳で堪能したい、2022年を熱狂させた傑作音楽ムービー

その名を聞いたことがない人はいない音楽界のスーパースター、エルヴィス・プレスリーの実話を『ムーラン・ルージュ』（2001）のバズ・ラーマン監督が映画化。

どれだけ体調が悪くても音程を外したことがないと言われているエルヴィスの伝説的な歌唱力と、ファンの心と体を熱くするダンスの足さばきを、オースティン・バトラーが見事に再現！　悪名高い強欲マネージャーの“パーカー大佐”を怪演した、トム・ハンクスにも注目。

両親と兄の４人家族の中で、自分だけ耳が聞こえる主人公のルビーが“通訳”となって家業の漁業を手伝う中、歌の才能を開花させていく、第94回アカデミー賞で作品賞に輝いた感動作。

アカデミー賞受賞女優のマーリー・マトリンら、実際に耳の聞こえない俳優たちがルビーの家族を演じ、父親役のトロイ・コッツァーも本作でアカデミー賞を獲得。

思いがけない方法で娘の才能に父親が気づくシーンには心を揺さぶられます。音楽の力は、たとえ耳が聞こえなくても感動を与えると教えてくれる傑作。

世界的な指揮者が、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開く企画に挑む物語。実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団に着想を得た作品です。

対立しながらも合宿で寝食を共にするうちに、音楽という共通言語で結ばれた若者たちが、互いの音に耳を傾け、心をひとつにして演奏する姿が素晴らしいです。「ボレロ」や「カノン」など、誰もが聞いたことがあるクラシックの名曲が満載。

1961年にロバート・ワイズ監督がブロードウェイ・ミュージカルを映像化し、大ヒットした不朽の名作を、スティーヴン・スピルバーグ監督が新たに映画化。

プエルトリコ系とヨーロッパ系移民という敵対するグループのそれぞれに身を置く男女のロマンスを、名曲の数々と華麗なダンスが彩ります。

スピルバーグに見出された新人のレイチェル・ゼグラーの歌声が美しい！　本作でアカデミー賞を獲得したアリアナ・デボーズは、一気に注目度が上がり、第75回トニー賞の司会に抜擢されました。

ジェラール・ドパルデューの主演映画『シラノ・ド・ベルジュラック』（1990）で広く知られる同名戯曲の、ジョー・ライト（『プライドと偏見』2005）監督によるミュージカル映画版。

容姿に自信がない騎士で詩人の主人公シラノを、大ヒットTVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジが演じていますが、彼の低音ボイスの歌声が秀逸。ヒロイン・ロクサーヌ役のヘイリー・ベネットの歌唱力も抜群で、ラップ曲も斬新です！

潰れかけた劇場を立て直すために開かれた歌のオーディションに集まった、さまざまな悩みを抱えた動物たちの夢と人生を描いて大ヒットした『SING／シング』の続編。

今度は、ラスベガスをモデルにしたような“レッドショア・シティ”でのショーに挑戦。エルトン・ジョンやビリー・アイリッシュなどのヒット曲が満載で、U2のボノやホールジー、ファレル・ウィリアムスといった有名アーティストも動物たちの声を演じています。大人も楽しめるアニメ作品。

ジェニファー・ロペスが彼女自身のような役を演じる、ロマンティック・コメディ。現実にはあり得なさそうだけれど、「こんなラブストーリーが見たかった！」と思わせます。

人気シンガーのカット（ジェニファー）が年下の婚約者に浮気され、さえない数学教師チャーリー（オーウェン・ウィルソン）に衝動的にプロポーズ。属する世界が違うはずが、お互いに影響を及ぼし、不思議なケミストリーが生まれていきます。ジェニファーによる楽曲はダンサブルで盛り上がれるものばかり！

韓国を代表するダンスボーカル・グループEXOのチャンヨルが、人前に顔を出せず、箱の中に入らないと歌えない天才ミュージシャンを演じるミュージック・ロードムービー。

EXOでは主にラップ担当のチャンヨルが、素敵な歌声とドラム、ギター、ピアノ演奏を披露し、エンディングテーマ「Break Your Box」も担当。ジャンルもロック、ポップス、ヒップホップ、ジャズなど盛りだくさんで、音楽に浸りながら、主人公の切ない物語に共感できる秀作。


文／清水久美子