《M-1敗退後、最速インタビュー》金属バットにとってM-1グランプリとは何だったのか? 「僕らずっと、人気ない、影の方の芸人やって…」【ノーカット掲載】
M-1準々決勝で一度は敗退するも、動画再生回数1位となり、ワイルドカードで復活。しかし、準決勝で惜しくも敗退。15年間のM-1挑戦が終わった金属バットに、M-1準決勝後、「おつかれさま会」として都内の居酒屋で話を聞いた。(5回分の3回目)
金属バットのM-1ラストイヤー #3
15年間のM-1グランプリ挑戦を終えて…
友保 落ちたのに、こんな、ええ飯食わんでも。
小林 (笑)
――準決勝が終わって、これが最速インタビューですか?
友保 あーそうっすね。なんかあったっけか?
小林 はぁはぁはぁ。ないないない。
友保 ないよなぁ。
友保 飯食ってするのは最速ですよ。
小林 最高ですわね。
――とりあえず、おつかれさまでした。

金属バット:小林圭輔(左)と友保隼平(右)
友保 ねぇ、終わっちゃいましたね。さらっと終わっちゃいました。
――揺さぶられましたね。
友保 ねえ。いろいろありましたねぇ。えぇ。
――友保さんのコロナ隔離から、準決勝当日の復帰とドラマチックな展開で。
友保 いやぁねえ、これで勝ちならドラマチックなんですけど、負けたら意味ないじゃない。
小林 こんなドラマは観たくないな(笑)
――今日はその15年の日々をたっぷりお話いただきたいなと。
小林 取材1時間半て言うてましたけど(笑)
――ちょうど飲み放題の時間までですね(笑)。
友保 え、みなさん飲まないすか? せっかくなのに。
小林 暴れたりしないなら飲みましょう。
――担当編集は(大阪府・)堺市の出身なんでちょっと酒癖が・・・。
友保 あぁ、やめたほうがええかもしれん。堺の奴は酒飲んだらあかんからなぁ。
「僕らずっと、人気ない、影の方の芸人やって」

――前回のインタビュー、すごく読まれたみたいです。
友保 ダサいっすね、あれで負けたんわ。タイミングもダサかったですね。負けた日に出てね。
小林 あ、そうか。(笑)
友保 めっちゃダサかってんあれ。
――でも復活したじゃないですか、ワイルドカードで。
友保 いや、まぁまぁまぁ。
小林 あぁあー、はい。
友保 また負けましたけどね。
小林 (笑)
友保 もうええって。もぉええわほんと。
――今の率直なお気持ちは……。
友保 ねぇ、負けて。なんすかね、どうなんすかね、なんにもないすね、今。これからなにしてくかもわからないんで。
――ネットでの反響がとにかくすごかったです。ずっとトレンド入ってました。
友保 ねぇ、なんや言うてくれはって。えぇ。エラいマネージャーが言うてくれやって。「金属さん大人気ですよ」言って。やっぱねぇ、なんか変や思ってたんすよ。僕らずっと、人気ない、影の方の芸人やって。急にこんな言われて、完全に死亡フラグが立ってたんですねあれは。もう負ける流れができてましたね、段取りが。
小林 段取りできてたんだ(笑)。
友保 エラい上に持ちあげて。
小林 そっかー。
友保 「よいっしょー」の。
小林 なるほど。引き立て役か。
――こわいですね芸能界。
小林 かませ犬ですわ。
ゲソゲソのロン毛と分身したハゲの高速漫才

――ワイルドカード進出者のルールなので仕方ないですが、準決勝Aブロックの一番手はきつそうです。
友保 終わりですよ。ただ、やっぱ人間欲が出てきたりするので、行けるかもって思ったりして(笑)。あそこで、とんでもなくうけりゃ、プラスですからね。いきなり盛り上げた感じになるんで。
――確かに。
友保 まぁわしは病み上がりゲソゲソのロン毛で、小林は死ぬほど震えて(笑)
小林 けっこう(笑)
友保 病院出と、分身したハゲが、
小林 (笑)いいじゃん。
友保 高速で漫才して。
――当日のスケジュールって、どんな感じだったんですか?
友保 わしがコロナのホテルにいて、で、だいたい出してもらえんのが1時とかなんですよお昼の。だから、前日に保健所に電話して「すんません~」「ちょっと明日どうしても行かんといかんのですわ〜」言うて。「なんちゃなんないすか?」言うたら保健所が「あぁちょっともう、できるだけ早く、出しますんで」みたいに言うてくれはって。で朝の9時にもう出ていいよってなって。
――すごい。
友保 で、朝の9時に出るときにその、保健所の人がいっぱい集まってくれはって、ホテルの人も。えらいお見送りしてくれはって。「頑張って下さーい!」っていう。こっちも「勝ってきます」って言って。そんで出て負けたっていう(笑)
小林 (笑)めっちゃはずかしいな。
友保 うわ、いやや、めっちゃくやしい。
――記憶がよみがる。
小林 「勝ってきます」も今思えば、もう、負ける感じのやつ。
友保 いや、そやねん。負けるやつやねん。
小林 (笑)
友保 やっぱり。恥ずかしい。ドラマは仕上がったな思てけど(笑)。
――みんな思いましたよね。
友保 ドラマじゃなかったですね、4コマ漫画ですね、あれ(笑)
小林 (笑)
隔離期間中に励まされた3人の芸人

――ホテルではどんなふうに過ごしていたんですか。
友保 ちょろちょろ電話くれてたんですよ、いろんな先輩が。なにわプラッチックの三輪さんとか「大丈夫か」みたいな。
――いいですね。
友保 べろべろに酔ってたんですよ。
小林 それ常にやから。
友保 おんなじ話を何回もして。おもろいな思て。あともう最終回かっちゅうぐらいLINEきましたけどね。いろんな人から。
――最終回(笑)。
友保 やっぱ布川さんが、トム・ブラウンの。一番エグくて。「頑張ってねー!」みたいなん言うて。お尻の穴を全力で広げてる写真を送ってきて。なんて醜い写真。めちゃめちゃおもろかったですね。
――エールの仕方が独特ですね。
友保 で、ランジャタイの伊藤ちゃんなんかははもうめちゃめちゃ、ちゃんとアツいこと言ってくれて。で国ちゃん(※国崎)は、体温計の写真送ってきて。「見て僕の体温」って。39.4度ぐらいの(笑)。
――待ってる小林さんも不安ですよね。
小林 そうそう、いや僕も自宅待機やったんで。だから久々に外出て、あの日。めっちゃプルッてました。
友保 いや、でもお前、普通んときも震えてる小林は。
小林 普通んときも震えてますね。
友保 ただでもやっぱ、見たことないぐらい震えてましたね。噴火すんのかいてゆうぐらい。
小林 緊張ですよ。
友保 やっぱ気ぃ張りますしね、ひさびさやし。うん。ていうか、これめっちゃうまいっすよこれ。噛めば噛むほど味出るやつ。

小林 うま。
友保 うま。最高やなぁ。負けてんねんで、わしら。勝ったヤツの飯でしょこれ。
小林 だからもう(取材は)決まってたから。勝とうが勝つまいが、これ食うのは決まってたから。
友保 あ、決まってたんか。ほうか。ちょうどよかったっすね、それ。準々決勝の結果発表で負けたタイミングで記事あがったのが、一番おもろかったもんな(笑)。未来のことをしゃべってて。
小林 (笑)
友保 もう、死ぬのにこいつら。
小林 のんきにな(笑)
M-1に挑戦し続けた15年間

――15年間を振り返ってどうですか?
友保 いやクソでしたねぇ。クソな人生ですよ。
小林 15年。
友保 長い。
――何年目からM-1に挑戦されてたんですか。
小林 最初からっすね。
友保 ケツたたかれて。
小林 うん。
友保 でまぁいったん、終わるじゃないですか。M-1(2011年~2014年までは未開催)。あのいったん終わるとき(2010年)に3回戦行けたよな、初めて。
小林 あぁ、そうやんな、
友保 そんときわしがネタを飛ばしたんですけど。めっちゃへらへらして。なんやねん、なんも緊張せんなぁ、言うて。へへへーん、っていって、マイクの前に行ったらバチ、ネタ飛んでもうて。
小林 多少、緊張せなあかんねんな(笑)
友保 うーん、そやな。気ぃ張らなあかんねんな。
――せっかく3回戦まで行けたのに、M-1が1回終わってしまった。
友保 終わってもうて、で、THE MANZAIが始まったんですけど。あんとき、もう死ぬほど気ぃ抜いてて。出んかったんかなぁ? しばらく。
小林 んー。最初は出たんやったかな? 1回だけ。
友保 ほんまに? なんか、先輩に言われたんよな。「お前ら、THE MANZAIエントリーしたんか」みたいな。そんで「あ、はぁ、してないっすわ」みたいな。「早よせぇよ」言われた日が、その、申し込みの最終日やって。そうよ。で、なんかだるいで行かんかったんやっけ。
――やっぱり芸人をやってるからには賞レースに出ないといけないという空気感がある。
小林 (質問を無視して)おぉー。仕上げたなぁ(※担当編集が3種類のお通しをすべて同じ器にぶっこみだす)。これやるの金岡(※担当編集の出身地名)だけっすわ。
友保 怖いて、金岡のヤツ。なんか昔、追いかけられてたよなぁ?
小林 えぇ?
友保 なんか夜中、急にあれ、競馬始まるときの曲鳴らされて。車が後ろから追いかけてきて。
小林 あったわ。あれそうか、金岡らへんやん。
友保 競馬の始まるファンファーレ鳴って「なんや?」って振り返ったら車が追いかけてきて、歩道入ってきたねんな。
小林 そうやそうや。
――いつぐらいの話ですか?
友保 もう20年前ぐらいですかね。わしらが高2くらい。
つづく
取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春
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