ジャニーズの人気アイドルグループ“King & Prince”(以下、キンプリ)のメンバー、平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太の3人がグループを脱退し、事務所を退所することが発表された。
キンプリといえば、故ジャニー喜多川氏が最後に手掛け、デビューさせたグループで、デビューシングル「シンデレラガール」がスマッシュヒット。ドラマ、映画、バラエティ、舞台などメンバー個々での活躍も目覚ましく、これからのジャニーズを背負って立つグループとして注目されていた。
それだけに今回の騒動にショックを受け、絶望の淵に立つティアラ(キンプリファンの総称)もいる。
様々な憶測を呼ぶ中、彼女たちは悲しみに暮れ、早くも“キンプリロス”に陥っている。
“キンプリロス”に絶望するファンたち…「推しロス解消」に必要なこと
人生を捧げてきた推しのアイドルが脱退や引退を宣言…そのときどうすればいいのか? 『沼にはまる人々』(ポプラ新書)の著者で、“推し活”に詳しい沢木文さんに、彼女が出会った“推しロス”した人やその解消への道のりについて聞いてみた。
私生活への影響は計り知れない“推しロス”

「ファンの中には、キンプリのメンバーを自分の家族や恋人、あるいは夫同然だと思っている方もいるかもしれない。例えば、身内が亡くなったときはやはり悲しみ抜くしかない。推していた方々が何らかの理由でいなくなるとき、ファンはそれに近い傾向にあるのだと思います。
わたしの友だちはSMAPが解散したときに、ショックで食事が喉を通らず、15キロも痩せてしまいました。ならば、ライブ映像やテレビなどを見ずに過ごせればいいのですが、なかなかそういうわけにもいかないですよね。
グループ推しの場合、メンバー同士がワチャワチャしている雰囲気を好む傾向があるので、グループの解散はすごくダメージが大きいでしょう」(沢木文氏、以下の「」内も同様)
推しのロスによってどんなことが起こるのか? 私生活への影響は計り知れないようだ。
「仕事が手に付かず、会社を休むファンもいます。ショックが大き過ぎて身の回りのことがどうでもよくなってしまうのでしょう。あるアイドルグループが解散したことがきっかけで、彼氏と別れてしまった人もいます」
悲しみから怒りへ、ロスを受け入れるまでの道程
そんな悲しみの中をどう過ごせばいいのだろうか?
「一般的な見解になってしまいますが、まずは1~2ヵ月アイドル断ちをするのはどうでしょうか。その後あらためて目にすると、少し俯瞰=引いた状態で見ることができます。
冷静になって見てみると、これまで見えなかったものが見えてくるものです。
例えば、ライブDVDを見て、それまでは推しのアイドル自身にしか関心がなかったのに、ふと彼らが身に付けていた衣装にも目が行くようになり、衣装作家さんの仕事っぷりに関心を持ったり。これまでと違う視点で見ることができるようにもなるでしょう」
今回のような事態を受けて、当然、悲しむファンが多いが、ネットでは怒りを隠さないファンもやはり目立つ。
「怒りの矛先はネット上での誹謗中傷となって現れる傾向があります。推しの脱退や引退の騒動の裏には必ず要因があるのですが、そのことを想像できないので冷静さを失い、脱退や引退のきっかけを作った犯人探しを始めるのです。
SNSは負の意見が負を呼び込むもの。自分と同じ意見を書いている人を見つけ、同調し、リプライなどをつけ、書き込みなどをしていくうちに、過激な意見を発信してしまうこともあります。
また、想像で脱退や引退のきっかけとなった犯人を一方的に決めつけて制裁を加えているうちに、ゆがんだ正義感を振りかざし一刀両断するようになりがちです。それではまるでコロナ警察と同じです。そうなってしまうと本来の目的が何だか分からなくなってしまったり……。
過去にも尾崎豊さんが亡くなったときは、奥さんが随分と責められたり、三浦春馬さんのときも母親が悪く言われた。仮想の敵というか、怒りをぶつける相手=犯人が必要なんでしょう」
好きなモノを3個だけ手元に残し、祭壇へ
ところで、推し活中に必死で集めまくったグッズは、その後どうなっていくのだろうか……。

「2.5次元アイドル沼にハマったあるファンは、推しの引退後に、トレーディングカードやバッジを推しが生きていた証として祭壇に飾っています。本当に好きなモノを3個だけ手元に残して、あとは全部処分したり、あるいはメルカリに出品したりなど好きな子にあげることで、その沼から抜け出すことができたといった例もあります」
ファンが沼を抜け出した後は、どんな展開が待っているのだろうか?
「また次の推し、沼を探す人が多いですね。人間の趣味嗜好はそうは大きく変わらないので、似たような存在を探しがちです。ただ、違うジャンルにいくと、以前の推しのほうがよかったとダメ出しも多くなってしまうようです。
だから原点回帰で自分が幼い頃、何が好きだったかを思い出してみる手もあるかもしれません。似たモノを愛することで、以前と同じような気持ちになる可能性があります」
人生を捧げてきた推しのアイドルが引退、卒業、退所による、 “推しロス”は辛いものだが、その絶望の淵から立ち上がれることを願いたい。
取材・文/集英社オンライン編集部
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