アメリカ初の有人宇宙飛行を支えた女性たち

みなさま、こんにちは。ヨガ講師やセラピストなど女性のカラダとこころの健康にまつわる活動をしている、仁平美香です。

今回は、NASAによるアメリカ初の有人宇宙飛行成功を人知れず支えていた、黒人女性計算手たちをモデルに描かれた映画『ドリーム』(2016)を紹介します。

逆境に負けない勇気とパワーをもらいたい人、1960年代アメリカのレトロモダンなファッションが好きな方にもおすすめの映画です。

逆境に立ち向かう最大の武器は知性。映画『ドリーム』に学ぶ聡明な女たちの闘い方_1
右から3人目がタラジ・P・ヘンソン演じる主人公のキャサリン。その右隣がジャネール・モネイ演じるメアリー、左隣がオクタヴィア・スペンサー演じるドロシー
Photofest/アフロ
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この映画の見どころはふたつ。
ひとつめは人種差別や性差別に負けずに、明晰な頭脳で道を切り拓いていく、実在した女性たちの功績を知ることができるところ。

アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争をしていた1961年。ロケットの打ち上げに必要不可欠だった計算を担っていたのが有能な黒人女性グループでした。

その中のひとり、キャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)は計算手の中でも天才的な数学の才能を持ち、宇宙特別研究本部の計算係として抜擢されますが、同僚はエリート白人男性ばかり。コーヒーポットも白人のものは使えず、同僚からは同じチームにもかかわらず、機密文書だからと計算に必要な資料を黒塗りで渡され、最小限の情報しか与えられません。

印象に残っている場面のひとつは、トイレにまつわるシーン。
有色人種は白人と同じトイレが使えなかった時代、キャサリンは自身が働く建物のトイレは使えず、日に何度も資料を片手に、往復1.6kmと遠く離れた有色人種用トイレに走って行かなければなりません。

そんな日々が続いていたある日、何も知らない上司のハリソン(ケヴィン・コスナー)から、いつも長い時間席を外していることについて叱責を受け、キャサリンは声をあげます。

「用を足すのに地の果てまで遠征。自転車も使わせてもらえないんです。服装規定もひざ丈のスカート、真珠のネックレスのみ。真珠なんてない。黒人の給料で買えるわけがない。昼も夜も身を粉にして働いているのに誰ひとりわたしのコーヒーポットに触れない」

この出来事をきっかけにハリソンが白人専用と書かれたトイレの看板を壊し、肌の色で分けられていたコーヒーポットも撤廃。同僚たちにも変化が出ていきます。
その後、キャサリンは重要な会議にも出席できるようになり、会議中にその場でロケットの落下地点を計算して予測してみせ、チームの同僚のみならず、宇宙飛行士からの信頼も得ていきます。