人とAIロボットとの魂のふれあいを描く
『アフター・ヤン』(2021)After Yang  上映時間:1時間36分/アメリカ

ロボットの恋心、自尊心、人間との触れ合い……切なすぎるAI映画5選_1
左からジェイク(コリン・ファレル)、カイラ(ジョディ・ターナー=スミス)、ミカ(マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ)、ヤン(ジャスティン・H・ミン)
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気鋭の韓国系アメリカ人監督コゴナダの新作『アフター・ヤン』(2021)が描く世界は、“テクノ”と呼ばれる、人間そっくりの高度なAIロボットが一般家庭でも導入されるようになった未来世界。

コリン・ファレル演じる主人公ジェイクは、妻のカイラ、中国系の養女ミカと暮らしていた。ミカのベビーシッター用に、大金を払って中古のAIロボットであるヤンを購入。ヤンは家族の一員としてミカを慈しみ、その成長を見守ってきた。

映画は、そのヤンが突然、故障したところから始まる。お兄ちゃんのように慕っていたヤンの不在にふさぎ込むミカを見かねたジェイクは、修理業者に相談するものの、再起動は無理とわかる。そして、ヤンの体内に毎日数秒間だけ動画が保存される特殊なメモリーが組み込まれていたことを知り、それを再生することでヤンが何を記憶に留めてきたのかを追体験する。

ヤンの“記憶”の中には、両親の実の子ではないと友達に言われて動揺したミカを、接ぎ木の例えを用いて優しく説明する姿や、ジェイクたちに買われるよりも前に、いくつかの世帯で、何世代か前の人たちと過ごした記憶も保存されていた。

そして、ヤンがめぐり合った謎の若い女性の姿が。それは、ヤンの“心”の中に生じたある感情を示唆するものだった。

なんと言ってもヤンを演じたジェスティン・H・ミンの抑えた演技が素晴らしく、失ってしまって初めて知るジェイクとヤンとの心の絆に感動させられる。AIであるヤン自身に生じていた“感情”に、切なくなること必至だ!