フィービー・ケイツに押され気味だったダイアン・レインが、『ランブルフィッシュ』(1983)と『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)という新作2本を抱えて、トップに返り咲いた。フィービー・ケイツに並ぶ最多3回の表紙を飾っている。
一方、アイドル的な立場だったフィービー・ケイツも、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務める『グレムリン』(1984)でヒロインに抜擢。女優としてのキャリアを着実に築いていた。

『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』で人気子役となったキー・ホイ・クァンの、奇想天外なその後
ダイアン・レインVSフィービー・ケイツ人気拮抗! そして大ヒットした『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』の子役キー・ホイ・クァンを覚えているだろうか? その後彼がたどった数奇な人生を解説する。
ロードショー COVER TALK #1984
ジャッキー・チェンin武道館!?

1月号/ダイアン・レイン 2月号/ソフィー・マルソー 3月号/ジェニファー・ビールス 4月号/フィービー・ケイツ 5月号/ダイアン・レイン 6月号/ブルック・シールズ
©ロードショー1984年/集英社
若手男優に目を向けると、表紙にこそ起用されていないものの、編集部がマット・ディロンをプッシュしていたことが分かる。「独占インタビュー マット・ディロン」(3月号)を皮切りに、「BIGスター最新作どきどき情報」(6月号)「マット・ディロンの『テックス』」(7月号)「エキサイト・カラー特集 マット・ディロン」(8月号)といった特集が組まれている。フランシス・フォード・コッポラ監督の『アウトサイダー』(1983)と『ランブルフィッシュ』に起用されて注目を集めたのはダイアン・レインとまったく同じ。カリスマ的な雰囲気も含めて、次のハリウッドスターとしての資質はばっちりだ。10月号では『フットルース』(1984)のケヴィン・ベーコンと並べて、「キミはどっち派? 男の魅力くらべ マット・ディロン VS ケビン・ベーコン」という特集も組んでいた。
だが、当時人気絶頂の男性アイドルといえば、香港からやってきたジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーの3人組だ。ジャッキー・チェン人気はもともと高かったが、『プロジェクトA』(1983)と『スパルタンX』(1984)が公開されたことで、ユン・ピョウとサモ・ハン・キンポーにも注目が集まった。なにしろ、ジャッキー、ユン・ピョウ、サモ・ハンの3人で武道館コンサートを行ってしまうほどの狂騒で、「ロードショー」も「ジャッキー&『プロジェクトA』軍団スペシャル」(5月号)をはじめ、「ジャッキー・チェンinスペイン」(6月号)「ジャッキーひとりじめっ!」(7月号)「強力クンフー・トリオ大行進 ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポー」(9月号)「熱狂感激フェスティバル クンフートリオat武道館ナマ録だあ!」(10月号)「香港で大ヒット!ジャッキー最新作『スパルタンX』カラーハイライト」(11月号)などを掲載している。
ショーティくん、40年を経て映画にカムバック!
映画に目を向けると、1984年は『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』の年だった。「カラー特報『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』」(5月号)にはじまり、「夏の話題作カラーワイド『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』」(6月号)「必殺先取り夏のギンギン超大作『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』」(7月号)「夏の超大作カラーBOOK『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』」(8月号)「世紀のヒーロー インディ・ジョーンズ大特集」(9月号)、「『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』総決算」(10月号)とほぼ半年にわたって特集を展開した。
9月号はメイキング写真をそのまま表紙に採用しており、ハリソン・フォードは初めて「ロードショー」の表紙を飾ったことになる。

7月号/フィービー・ケイツ 8月号/ソフィー・マルソー 9月号/ハリソン・フォード&キー・ホイ・クァン※初登場 10月号/ダイアン・レイン 11月号/ロリー・シンガー(『フットルース』に出演)※初登場 12月号/フィービー・ケイツ
©ロードショー1984年/集英社
今回は、ハリソン・フォードの横に映った少年キー・ホイ・クァンの人生について紹介したい。ベトナム系アメリカ人の彼は『魔宮の伝説』のショート・ラウンド役(愛称ショーティ)に抜擢され、スピルバーグ監督が製作総指揮を務める『グーニーズ』にも起用。日本でも大人気となり、日本映画『パッセンジャー 過ぎ去りし日々』(1987)に出演している。
だが、その後、ハリウッドでアジア系俳優向けの役が少なすぎることから俳優を引退。南カリフォルニア大学で映画製作を学び、香港出身の映画監督で殺陣師のユン・ケイに師事。『X-MEN』(2000)『ザ・ワン』(2001)の武術指導や、ウォン・カーウァイ監督の『2046』(2004)で助監督を務めるなど、裏方として活動していた。
だが、ほぼアジア人キャストのハリウッド映画『クレイジー・リッチ!』(2018)が大ヒットしたことをきっかけに、役者への復帰を決意。Netflix映画『オハナ』(2021)を経て、『アベンジャーズ エンドゲーム』(2019)の監督ルッソ兄弟がプロデューサーを務める『Everything Everywhere All at Once(原題)』に出演。同作は批評家から絶賛され、低予算映画ながら全米興収1億ドルを超える大ヒットとなっている。
これがきっかけで、キー・ホイ・クァンはDisney+配信のマーベルドラマ『ロキ』来シーズンへの参加が決定。先日、米アナハイムで行われたディズニーファンの祭典D23 EXPOにおいて、『インディ・ジョーンズ5』の宣伝のためにやってきたハリソン・フォードと奇跡の再会を果たし、ツーショット写真を撮っている。
ロードショー COVER TALK

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