『死都調布 ミステリーアメリカ』残念ながら来世にSNSはない。命そのものを地球に映えさせろ!【来世で使いたいマンガ名言|劇画狼】_a

親愛なるUOMO読者の皆さ~ん! 今日も楽しくイン〇タやってますか!? マジ? やってる? おしゃれな食べ物の写真載せたり? 充実した生活を…友達に自慢? そしてあわよくば異性へのアピールを…? ダメダメ、お互いもう大人なんだから! うまそうな食い物いくら並べたって誰もこっち振り向いてくれないの! じゃあどうするか。その答えは斎藤潤一郎が描く最狂のハードボイルドコミック『死都調布 ミステリーアメリカ』に問答無用な形ですべて描かれている。そう、われわれ令和の成人男子がいかにしてSNS時代を生き抜いていくのか、そのすべてが。

『死都調布 ミステリーアメリカ』残念ながら来世にSNSはない。命そのものを地球に映えさせろ!【来世で使いたいマンガ名言|劇画狼】_b

答え、「ヘビを食う」。死体から出てきたヘビを日本刀で突き刺し、生のまま嚙みちぎる。全裸のまま南米大陸から渡米し、北米大陸を横断する、シトウ・チヨの生き様、もっと言うとこの作品自体が、周りの評価をいっさい気にしない「生き方」そのもの。誰かに少しでも好意的に見られたくて生きていたら、全局面こうはならない。普通の漫画家が「みんなに愛される人気作品を作ろう」と考えたときに思いつくであろう努力・友情・家族愛などの共感要素をすべて排除した、マンガの形をした切っ先であり銃口。

愛だとか夢だとか絆だとか、そういう心がポカポカするもの、すべて捨て去ってしまったユーザーフレンドリーの対極が本の形を成したものが今ここにある。なろう、シトウ・チヨに。めちゃくちゃにすごいことはわかりきっているが、何がすごいのかわからない人間になろう。何がどうすごいのか、その理由は誰にも説明できなくていい。表面上のかっこよさや美しさ、交友関係の広さ、豪邸、スポーツカー、ホームパーティ、かわいらしいスイーツ、その他すべての「たまたま現世でキラキラしているもの」を他人に自慢して満足するためにわれわれはこの世に生かされているわけではない。このマンガが好きな人は、圧倒的な自我でしか世の中とかかわれないかもしれないが、でもそれでいい。

SNSにうまそうな食い物を上げて褒められる時代は今世で終了! どうせ来世にSNSはない。映えるかどうかなんて気にせずに、まずそうにヘビを食え!

『死都調布 ミステリーアメリカ』残念ながら来世にSNSはない。命そのものを地球に映えさせろ!【来世で使いたいマンガ名言|劇画狼】_b

『死都調布 ミステリーアメリカ』
斎藤潤一郎/リイド社

前作『死都調布 南米紀行』にて南米制覇を果たしたシトウ・チヨが、相棒とゾンビや悪人をぶちのめしながらアメリカ横断を決行、各界絶賛のアウトサイダーコミック第三弾。

©斎藤潤一郎/リイド社


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