自己肯定感は高めなくてもいい!『「左ききのエレン」が教えてくれる「あなたらしさ」』とは?【著者・辻秀一インタビュー】_01
著者・辻秀一氏
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『左ききのエレン』を通して「あなたらしさ」を伝えるワケ

――辻先生と『左ききのエレン』の出会いを教えてください。

もともとマンガを読むタイプではないのですが、娘(辻愛沙子)や周囲の人から「読んでほしい」と言われて読み始めました。それで、読んでみたところ、働くこと、生きることについてうなずけることが多くあり、ハマってしまったんですよね。生きることのリアル感があって、メッセージが伝わってくるなと思いました。

――今回『「左ききのエレン」が教えてくれる「あなたらしさ」』を出版することになったのは、なぜなのでしょう?

『左ききのエレン』のエレンを何度も繰り返しながら読む中で、ぜひいろんな方に本作の魅力を伝えたいと思うようになりました。それで、僕の専門である人間の心と脳にフォーカスして解説したいなと、原作者であるかっぴーさんにDMをしたところ「ぜひ!」とお返事をいただき、このたび出版することになったんです。

――『左ききのエレン』を題材にした本ということで、働き方に焦点を当てたものを想像していましたが、生き方そのものに焦点を当てた内容になっていますね。タイトルに「あなたらしさ」というワードを採用した経緯も気になります。

僕は“働く”というのは、その人を表現する方法の1つでしかないと思っており、日常と働くことをそんなに分けて考えていないんです。つまり、働くを論じることは生きるを論じること、生きるを論じるということはその人の思考や脳みそを論じること、すなわち、その人らしさであると考えているので「あなたらしさ」という言葉を使いました。

それに『左ききのエレン』を通して僕が感じたメッセージは働き方そのものではなく、働くことを通してどう生きたらいいのかを考えること、それらを通して自分を振り返ることで「自己存在感」を育んでいくことなんです。人と比べる必要のない、あるがままの自分に気づいてもらえたらいいなと思い、担当編集さんと何回も議論し「あなたらしさ」という言葉にたどり着きました。