本年のアカデミー授賞式は、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞を受賞する快挙。授賞式のトリを飾る作品賞に、聴覚障害者の両親と高校生の娘の葛藤を描いた『コーダ あいのうた』が受賞して、映画界における益々の多様性を印象づけた。

色々あった今年のアカデミー賞!! 祝!『ドライブ・マイ・カー』、スターカップルのあれこれ
今年で94回を数えたアカデミー賞とは、「映画芸術科学アカデミー」という親睦団体に属する映画関係者の会員、約1万人の投票によって決定する世界最大の祭典だ。2015〜16年に、俳優賞候補が全員白人だったことから批判が高まり、それまでの白人男性に偏っていた会員構成から、女性や非白人、外国人を数千人増やして改善をはかった経緯がある。その後の#MeToo運動により、アカデミー賞はジェンダー平等と多様性をいっそう重視するようになった。
石川三千花のシネマのアレコレvol.1
祝!『ドライブ・マイ・カー』
村上春樹の短編小説が原作で、すでに内外で多くの賞を獲得している本作。西島秀俊が演じる喪失感を抱えた演出家の家福が、地方で専属ドライバーとして雇われた運転手と交流するうちに再生に向かう物語。冒頭の家福と妻のセックスシーンに大いに驚いた私。妻が何やらミョーな物語を語りながら事に及ぶという官能の表現。そして彼女の突然の他界。ここまでは割にスピーディに進むが、残された家福と運転手の旅路は、長々と丁寧にその心の内を解き放つまで続いていく。両者とも、寡黙。画面に大写しになる運転手役の三浦透子など、あまりに口数が少ないせいで、タバコを喫う仕草の方が印象深いほどだ。
だが、この芸ある寡黙の表面に隠された彼らの心の機微を、観客はじっくりと味わうことになる。人は上辺や言葉で分かりあうものではない。反面、飾りを払った言葉、それは手話も含めてのコミュニケーションの大切さもある。なぜなら家福の再生もまた、そこから始まったのだから。観る人それぞれの受け取りがある懐深い作品だ。

平手打ち騒動の行く末が気にかかる
ウィル・スミス&ジェイダ・ピンケット=スミス

ウィル・スミス一家
2007年『幸せのちから』で主演男優賞にノミネートされたウィル・スミスは、作中でも息子役で親子共演した長男のジェイデンと妻のジェイダと共にレッドカーペットに登場。2002年の授賞式では、1歳だった娘のウィローの発熱で、本番中に帰宅したほど家族思いの夫婦であった。

本年のアカデミー賞授賞式の話題をさらった、ウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックを平手打ちにした騒動。ウィルの妻ジェイダの刈り上げ頭をクリスが笑いのネタにしたのが原因。クリスはジェイダが脱毛症だというのを知らなかったとか、バック・ステージでは警察がウィルの逮捕に動いたが、クリスが拒否したという情報も。ややこしいのは、その騒動の後に、ウィルが主演男優賞を受賞して涙のスピーチをしたことだろう。どんな理由にしろ、暴力があってはならないという世論もあり、授賞式を主催する映画芸術科学アカデミーは正式に調査し直すとコメント。まさに天国と地獄が同時にやってきたようなウィル・スミス。以前、授賞式の司会経験のあるジミー・キンメルが「会場にはスパイダーマンもアクアマンもキャットウーマンもいましたが、誰もクリス・ロックを助けませんでした」と自身が冠のトークショーでジョークにした。うまいっ! ジョークもこれくらいの力量がないとね。
スペインが産んだ安定のスターカップル
ペネロペ・クルス&ハビエル・バルデム

妹のモニカ(左)と(写真左)、 ハビエル・バルデムと(写真右)
2007年『ボルベール 帰郷』で主演女優賞にノミネートされたペネロペがレッドカーペットに同伴したのは、3歳年下で見た目もそっくりな妹モニカだった。妹は『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』(11)では、妊娠が発覚したペネロペのアクションシーンの代役もこなす影武者ぶり。

公私共に充実! 実生活でも幸せ夫婦
キルスティン・ダンスト&ジェシー・プレモンス

ジェイク・ギレンホールと(写真左)、 ジェシー・プレモンスと(写真右)
監督賞受賞のジェーン・カンピオン監督作品『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で夫婦役を演じた2人は、実生活でも夫婦だ。2003〜04年のオスカーパーティに同伴したジェイク・ギレンホールやギャレット・ヘドランド等のイケメン俳優との交際を経て、プレモンスとの幸せをつかんだキルスティン、2児のママでもある。

イラスト・文/石川三千花 写真/ Getty Images
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