きっかけはわずか500円のレッド・バロン

昭和懐かしの「アルミ弁当箱」が、令和にお宝になっていた!_1
マツド・デラックスさん。ライター、コラムニスト。近年はアルミ弁当箱芸人としてイベントのトークショーなどにも登壇している。日本アルミ弁当箱協会代表

──そもそもマツド・デラックスさんは、いったい何がきっかけでアルミ弁当箱を集めることになったのでしょうか。

まずはこれを見てください。「スーパーロボット レッドバロン」という特撮番組のアルミ弁当箱なんですけど、この作品はご存じですか?

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1973年に日本テレビ系列で放送された特撮モノ「スーパーロボット レッドバロン」。すべてはこのアイテムから始まった

──すみません……。今、スマホで調べたら、私が生まれる10年以上前の作品でした。

そりゃ知らないよね、ごめんなさい(笑)。ここに描かれているクルマは主人公が所属する科学秘密捜査隊の「アイアンホーク」というものなんですが、これは「オペル・マンタ」というクルマを改造したものなんです。じつは僕自身がオペル・マンタを所有してまして。

──自分が乗っていたクルマが番組に使われていたんですね。それは気になっちゃうかも!

こんなマイナーなクルマが番組に出ているとなったら、オーナーとしては「アイアンホークのグッズが欲しいな」って思いますよね。それで中古品を買ったんです。

──でも、なんで弁当箱なんですか? もっと他にもありそうなものですが……プラモデルとか。

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そう、プラモデルもあったんですよ。でもね、こんなちっちゃい模型が8,000円とかするわけです。こういう特撮作品って、すごく熱心なファンの方がいるでしょう。だから高値がつきやすい。

ところが、アルミ弁当箱はたったの500円(笑)。レッドバロンってロボットのグッズはたくさんあったけど、アイアンホークが描かれているものは当時、インターネットで調べた限りでは、この2つしかなかったんです。

──それはワンコインの方にしちゃいますね! でも、プラモデルはそんなに高いのに、なんでアルミ弁当箱は安かったんでしょう。

だって、どこかの知らない人が使い古したアルミ弁当箱ですよ。普通に考えたら「集めよう」って発想にはならないでしょう。そもそも売る人だって、もういらないと思って出品してますから。「捨てるぐらいなら、ちょっとでも値が付けばいいや」くらいの感覚で、フリマアプリやバザーなんかに出しているだけで。

──なるほど、言われるとそれは確かに……。

コンパスの芯で、前の持ち主の名前が彫ってあるものも出回っていますからね。作品のファンは傷があると買わないけど、僕はそういうのも喜んで買っちゃう(笑)。