ヴァカンス気分を味わえる名作たち

『みんなのヴァカンス』(2020)が公開中のギヨーム・ブラックは、劇場デビュー作『女っ気なし』(2011)で夏のリゾート地での出会いと別れを繊細に描き、注目を集めた。ヌーヴェルヴァーグの一角を担ったエリック・ロメールも、幾度となく海辺のヴァカンスの人間模様を見つめてきた。そう、フランスが舞台となる映画には、ヴァカンスを描いた名作がいっぱい。そして、ヴァカンスはたんなる休暇ではなく、ときに自分自身を見つめ直す時間にもなる。外国人監督が捉えるとさらに際立つ美しい風景も必見の映画で、フランスでのヴァカンス気分を味わって。

『ボンジュール、アン』Paris Can Wait 上映時間:1時間32分/アメリカ・イギリス

見れば瞬時に心はフランス!麗しのヴァカンス映画5選_1
Photofest/アフロ

アメリカ人映画プロデューサーの妻アン(ダイアン・レイン)が、夫の仕事仲間であるフランス人ジャック(アルノー・ヴィアール)とカンヌ映画祭からパリに向かう帰路で、人生の喜びを再発見していく。

7時間のドライブのはずが、食通で博識のジャンの提案で寄り道ばかりの旅に。高級店の美味しそうな料理をはじめ、サント・ヴィクトワールやサント=マドレーヌ大聖堂などの名所旧跡がふんだんに登場。

それだけでも素敵だが、アンが心躍る瞬間を撮ったスナップ写真がまたおしゃれ。なにしろ、監督はフランシス・フォード・コッポラの妻エレノア。全編に溢れる趣味の良さは、一流を知り尽くしている彼女ならでは。スナップ写真のセンスは、近頃の旅の楽しみであるインスタ映えの参考にしたくなるはず。