前編
脳動脈瘤を克服! DJ KOO流、心と体を若く保つコミュニケーションの習慣はこちら

1995年の大晦日。人生で初めて、小室哲哉さんが走る姿を見た夜_1

後輩のエネルギーで自分をアップデートさせる
後輩と話すときほど自然体で

DJ活動も40年を迎え、多くの後輩もできました。1990年代から活動している、Every Little Thing、Hitomi、相川七瀬ちゃんは、後輩というか同志と言えるかもしれません。彼女たちの姿は刺激になりますし、これからも一緒に頑張っていこう、という思いがあります。最近ではお互いに家族のことを話すようになったりして、昔のギラギラしていたころとは距離感は変わってきていますが、みんな、TRFをすごく立ててくれる存在です。

一方で、平成生まれの若い世代はちょっと違います。いい意味でTRFの実像を持っていなかったりするので、私からすると逆にそれが心地よかったりするんです。当たり前ですが、若いエネルギーを持っているのは、若いときだけです。そのエネルギーに触れると、帰るときには自分が元気になっていたりします。

若い世代と話すときに気をつけたいのが、彼らに寄せないこと。「若い世代の話も知っているんだぜ」と若い世代に話したところで、何も生まれません。あくまで自然体で話す。わからないことは、「それ、わからないんだ。教えて!」と頭を下げることですね。SNSのDMも、後輩だからと偉そうにすることも、かっこつけることもなく、通常運転の「DO DANCE!!」と送っています。

後輩の前ではかっこつけない。
エネルギーをいただく姿勢で接しよう!!

自分の個性は誰かに見つけてもらう
初心者ならまず、自分をさらけ出せ

アーティストとしてのキャリアは重ねていたものの、52歳にして踏み入れたバラエティ番組の世界では右も左もわからない状態。そんなころに、ネプチューンのホリケン(堀内健)さんが『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)の深夜のコーナーで、いきなり絡んできて相撲を取ることになったんです。

「やめてくださいよ」でやり過ごそうかと思ったのですが、思い切って相撲を取ったら、スタジオが盛り上がって。その後、CMが明けたらまたホリケンさんが来て、わけがわからなくなって規定破りの逆サソリ固めで返してしまいました。翌年の同じ番組でも相撲が恒例になってしまって、「何をやっていいかわからないし、恥ずかしいですよ」と泣きついたんです。

「KOOさんはそんなこと気にしなくていいから。恥ずかしくなったら俺がもっと恥ずかしいことやってあげるから」

そのホリケンさんの一言に、すべてを委ねてみようと気持ちを切り替えることができました。そして、ホリケンさんとの相撲がバラエティ番組での立ち位置を確立したのだと、後に博多華丸・大吉さんから聞かされたんです。「『TRFの人にあんなことしてどうなの?』って芸人も引いていたんですけど、そこでKOOさんがじゃれ合ってくれましたよね。それで『この人はそういうふうにしていい人なんだ』と芸人が認識して、距離が縮まったんですよ」

思い返すと、バラエティという戦場に出るのにかっこつけていたんです。でも、それが一番かっこ悪い。そんなすかしている人間がいたら、いいチームワークができるはずがありません。プロの言葉を拒否しないで、身を任せたことが現在のDJ KOOにつながっています。