1979年の表紙でひときわまばゆい輝きを放つのは、1月特大号のブルック・シールズだ。愛称ブルッキー。『青い珊瑚礁』(1980)と『エンドレス・ラブ』(1981)が立て続けにヒットしたことで、80年代の世界的なスターとなった。日本でも化粧品のCMなどに登場、アイドル的な人気を博していく。
「ロードショー」は一足早く、1979年に表紙に起用している。シールズといえば、ヌーベルバーグの先駆者ルイ・マル監督のアメリカデビュー作『プリティ・ベビー』(1978)のヒロインに抜擢、12歳の娼婦役を実際に12歳で演じ、センセーションを巻き起こした(現在なら、「児童ポルノ」扱いになっていただろう)。
シールズは1965年5月生まれだから、表紙を飾ったのは13歳のときである。

『ヤマト』に『999』…「ロードショー」がアニメを大フィーチャーした唯一の年!
70年代ラストイヤーには、ブルック・シールズがセンセーショナルに登場。一方、アニメブームの萌芽の年でもあり、「ロードショー」も2大作品を大特集した。
ロードショー COVER TALK #1979
ブルック・シールズをいち早く!

1月号/ブルック・シールズ※初登場 2月号/ファラ・フォーセット 3月号/シェリル・ラッド※初登場
4月号/リンゼイ・ワグナー 5月号/テイタム・オニール 6月号/オリヴィア・ハッセー
©ロードショー1979年/集英社
同じく13歳で「ロードショー」のカバーデビューを果たしたテイタム・オニールも、1979年には5月号と12月号の表紙を飾っている。「特報テイタム・オニールがやって来た!」(4月号)「T・オニールをあなたに!」(6月号)「アトランタのテイタム・オニール」(8月号)と特集も組まれている。
当時、テイタム・オニールは若き日のマイケル・ジャクソンと交際していたはずだが、「ロードショー」の取材でそのことについて語っているかは不明。
そのほかには、日本の少女漫画の金字塔的作品『ベルサイユのばら』(池田理代子・著)をジャック・ドゥミ監督、日仏合作で製作した同名実写映画(1980)のオスカル役に抜擢されたカトリオーナ・マッコール(7月号)、『カリフォルニア・ドリーミング』(1979)のグリニス・オコーナー(9月号)、そして、『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』のシェリル・ラッド(3月号)が初登場だ。
オタク文化到来の前に
元祖チャーリーズ・エンジェルのファラ・フォーセット(当時はファラ・フォーセット・メジャーズ)が2月号と8月号、フォーセットの降板にともないシーズン2から参加したシェリル・ラッドが3月号、『地上最強の美女バイオミック・ジェミー』のリンゼイ・ワグナーが4月号、10月号の表紙を飾っており、海外TVドラマが依然として高い人気を誇っている。
「『チャーリーズ・エンジェル』特報」(1月号)「TV洋画シリーズ番組ウィーク・ダイアリー」(4月号)「人気 TVシリーズの主役25人最新情報」(5月号)「別冊TVスター名鑑’80」(12月号)とTVドラマファンに向けた企画も充実している。

7月号/カトリオーナ・マッコール※初登場 8月号/ファラ・フォーセット 9月号/グリニス・オコーナー※初登場 10月号/リンゼイ・ワグナー 11月号/シェリル・ラッド 12月号/テイタム・オニール
©ロードショー1979年/集英社
この年のもうひとつの潮流はアニメブームだ。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が前年の1978年、劇場版『銀河鉄道999』が1979年に公開された。いずれも人気TVアニメの映画化であることから「ロードショー」も特集を展開。『宇宙戦艦ヤマト』に関しては、「ヤマト新聞」を1月号から連載開始し、「『宇宙戦艦ヤマト2』アンコール!」(7月号)を掲載。その一方、7月号では「『銀河鉄道999』カラー・ポート」(7月号)「『銀河鉄道999』特報!」(8月号)を掲載。そして、9月号ではついに「2大アニメ大作特集 『宇宙戦艦ヤマト』&『銀河鉄道999』」と合体企画を実現している。
ちなみに筆者は当時7~8歳。小学生男子の大半がそうだったように、宇宙SFアニメにどっぷり漬かっていた。アニメはその後、この年TV放送が開始された『機動戦士ガンダム』でブームが頂点に達し、オタク世代を生み出す。が、「ロードショー」はそことは一線を引いたようで、1979年がいちばんアニメを取り上げた年となったのだ。
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