映画にもなった伝説的な医師

みなさんは、「パッチ・アダムス」ことハンター・ドハーティ・アダムス氏(以下、パッチ)をご存知でしょうか。

パッチは、1998年に上映されたロビン・ウィリアムズ主演の映画「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」のモデルとなった世界的に有名な医師であり、クラウン(道化師)です。

そのパッチが2022年6月下旬、対面イベント「MEME of PATCH ADAMS」のために来日。体感型ワークショップなどを通して、今を⾃分らしく豊かに⽣きるためのヒントを届けてくれました。

まずは簡単に、パッチがどんな医師なのか、ご紹介しておきましょう。

パッチは、精神的な不調から回復した自らの経験を通して、「人が精神的不調に陥らないためには、社会からの孤立を回避することが重要である」と考えていました。そんな中、あの有名なキング牧師の演説を聞き、「人生は自らの選択によって作っていくことができる」と確信。そして自分を大切にしない行動を選択してしまう日、すなわち自らを不幸にしてしまう日はもう二度と作らないと決意したそうです。

その後、パッチは孤独が原因でメンタルに不調を抱えてしまう人々を癒すために、医師として「ウェルビーイング(Well-being)」の意味を伝えるクラウン活動を開始。また2001年のアメリカ同時多発テロ事件を契機に、世界中でウェルビーイングや愛を伝えるワークショップなどを実践し続けています。

ウェルビーイングを実践する医師に学ぶ 「人生100年時代」を生きる3つの秘訣_1
映画「パッチ・アダムス」のモデルにもなったパッチ・アダムス医師

さまざまな社会的な活動を通して、多くの人々に影響を与え続けているパッチ。眼科医・社会医である筆者にとっても、彼の存在・思想は、現在の道を志す大きなきっかけとなりました。

昨今、日本でもSDGsなどの文脈で「ウェルビーイング」という言葉をよく耳にします。しかし、直接的に感情を表現しない傾向にある日本人にとって、「ウェルビーイング」や「愛」という言葉は、実感が少ない言葉と言えるかもしれません。筆者は日々さまざまな患者に会い、対話を繰り返していますが、コロナ禍においては人間関係が希薄になり孤独になる人や、「幸福のロールモデル」を見失う人が増加しているように感じます。

多くの人々が混迷する現代。我々には、パッチが伝えるウェルビーイングの意味を理解し、自分なりの言葉で解釈する時間と機会が必要です。

そこで筆者は、パッチを日本に招致するイベントを開くことを決意。今年3月と6月の2回に分けて、医療、福祉、教育などの各業界でウェルビーイングな社会の実現を目指すトップランナーとのオンライン対談や、中高生や医学生向けのワークショップ、その思想や行動指針(Meme)を体感するリアル講演会、パッチが道化の姿で児童施設や福祉施設などを訪問するクラウンツアーなどを企画・実施しました。

ウェルビーイングを実践する医師に学ぶ 「人生100年時代」を生きる3つの秘訣_2
2022年3月20日〜26日、そして6月23日〜26日に開催された「MEME of PATCH ADAMS」。6月にはリアルイベントとして、実際にパッチが来日し、講演会などが開かれました