グロリア・イップ、我が家に4泊!

駆け出しの映画ライターだった頃から、企画ページやスターのインタビューをたくさん書かせていただき、「ロードショー」は私にとってありがたい<修行の場>でした。そしていま振り返ると爆笑&冷や汗エピソードが数え切れないほど浮かびますが、とりわけふたつの “スターが我が家にやってきた!”が忘れられません。

まずは、日本・香港合作映画『孔雀王』(1988)で人気爆発した香港アイドル、グロリア・イップ。当時「ロードショー」の表紙を飾り写真集も出版し、来日も頻繁。そんなおり、当時の本誌編集者H氏に紹介されたのが、グロリア担当の女性マネジャー。彼女とは同世代ということもあって意気投合し、グロリア同伴で食事などもご一緒するようになりました。

スターが我が家にやってきた! グロリア・イップ&マシュー・モディ―ンをウチでおもてなし!?_a
表紙を飾った可憐なグロリア・イップ。大特集されるほどの人気だった
©ロードショー1989年6月号/集英社

そしてあるとき、グロリアが「ご主人は何歳? 職業は? お家は何部屋あるの?」と私の身上調査を開始し、それに答えると「じゃぁ、私が泊まる部屋はあるわね」とにっこり。聞けば、久しぶりの休日を日本で過ごしたいけれど、ご両親が「未成年のうちは、ひとりでホテルに泊まってはダメ。身元のしっかりした大人の家に泊まるなら、許す」とおっしゃっているとのことでした。まぁ、我が家が身元のしっかりした大人の家庭かは別として、とにかく”スターが我が家にご宿泊“することに。それも4泊ほど(笑)。

空っぽの大きなスーツケースを2個も携えてやってきたグロリアは、到着するとまずご両親に電話をし、私も「お預かりいたします」のご挨拶をさせていただいて”手続き“完了。すると休む間もなくショッピングアニマルと化した彼女に連れられて原宿・渋谷・青山めぐり。彼女のハマっていた原宿ブランド「MILK」には日参し爆買いでした。

ちなみに、毎夕食時には前出の編集者H氏と、多くの香港映画を日本に配給していた東宝東和の宣伝マンK氏などのおじさんたちが我が家を訪れ、”ご機嫌伺い“という名目の酒盛りが始まります。当然、ショッピング疲れの未成年はご飯を食べながら今日の出来事などをお話した後は、さっさと寝室に引き上げてしまうのですが(笑)。

いや〜、本当にグロリアはかわいかったです。お行儀もよくて、明るくて。おじさん軍団の一員と化した我が夫も、グロリアに懐かれて、甘えられて、もうとろけっぱなし! まるで愛娘のようでした。