――(この取材日直前に配信が開始された)Netflix『トークサバイバー』、面白く見させていただきました。
あそこで話したことって、CBCラジオでやっている『#むかいの喋り方』で結構語ってたことなんですよ。リスナーにとっては、「あ、この話知ってる」っていうこともいっぱい出てきたので、喜んでくれるんじゃないかなと思いました。
ラジオをやってなかったら自分の引き出しに入ってなかったような話も多かったので……ラジオをやってたからこそ、あそこで戦えたんだなって思ってます。
――向井さんは、2018年にラジオ『#むかいの喋り方』を始めてからの現在に至るまで、ご自身に変化はありますか?

TBSラジオ朝の顔に! ラジオサバイバー・パンサー向井に聞く、シャープでフラットな喋り方とは (前編)
テレビでも数々の人気番組に出演し、ラジオ番組も週に4番組にレギュラー出演してきた芸人トリオ・「パンサー」の向井慧さん。それに加え、この春よりTBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』を、月〜木曜(※木曜は隔週出演)の毎朝8時30分から担当している彼の「声」を聞かない日はないだろう。そんな向井さんに、ラジオとの向き合い方や今の心境について語ってもらった。(この取材は『パンサー向井の#ふらっと』スタート前の、2022年3月12日(土)に行ったものです)
(前編)
向井慧が話してきたこと
ラジオでしゃべってきたからこそ、できた「引き出し」

実はラジオに関しては、レギュラーでやる前にも、お試しでやらせてもらったりもしてたんです。でも、ラジオリスナーとしての視点もあったんで、その頃の自分が出演したラジオに対して、「なんか違うな」って違和感を感じる部分があって。だから、「ラジオは聴く方でいいや」って思ってたんです。
そんなタイミングのときに、地元・名古屋のラジオ局から30分とか40分の番組はどうですかってお話をいただいたんです。radikoのエリアフリーで誰もが全国で聴けるとはいえ、まあ地元以外ではそんなに聴かれないだろうっていう気持ちもあって、それがよかったんですね。
あとやっぱり、新幹線に乗って東京から一時間ほど離れるので、東京とは違った気持ちで話せることとかもあって、思ってることが全部しゃべれたんですよ。はじめてラジオやって、楽しいって思えました。
――『#むかいの喋り方』では、どういうことを話してほしいとか、事前にリクエストはあったんですか?
まったくなかったです。僕、ずっと手帳にその日の反省とかを書いてるんですけど、それについてしゃべってもいいですかってところから始まりました。それまでは手帳に書いてるということすらも誰かにしゃべったこともなくて、地元の名古屋だから、そういうのも出してもいいかなって思えたんです。
――最初の反響はいかがでしたか?
やっぱり最初は名古屋の人からの反響が多かったんですけど、徐々にradikoのエリアフリーのおかげで、「お、この人の名前知ってる」っていうラジオ好きのはがき職人とか、有名なラジオリスナーの人からネタのメールが届いたりするようになりました。そういうことが積み重なって、だんだんと反響が広がっているんだなってことを実感しました。
――ラジオを始めて積み重ねてきたことが、他の場面で生かされた感じはありますか?
テレビの『あちこちオードリー』(テレビ東京)とかでも、(ラジオや反省ノートのことを)発表させてもらう場所になったというか。もともと僕が、オードリーさんの『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を長年聞いていて、出演のオファーもいただいてたんですけど、「好きすぎて出たくない」って言ってたんです。でも何度もオファーをもらったので、パンサーの3人で出て、その流れで『あちこちオードリー』にも呼んでいただいたんです。
そのときは、佐藤栞里ちゃんとパンサーの組み合わせだったんですけど、栞里ちゃんも反省ノートをつけてたんで、「俺もつけてるんです」っていう流れになって。
――『あちこちオードリー』は、アンケートや打ち合わせがないということですが、やっぱり事前に反省ノートのことを話してほしいという打ち合わせがあったわけではないんですか?

いえ、流れでその話になったんです。そしたら若林さんが、(自分も番組収録の帰り道で振り返って反省するとか)大きなくくりで自分と向井は「似てるよね」って言って受け止めてくれて。
それが『あちこちオードリー』のオンラインライブに繋がったりしたんです。
――反省ノートもそうですが、自分の弱さとか内面とかをさらけ出せたのがよかったのかなって思ったりすることはありますか?
人から見られた自分と、僕自身が考えていることに差があるなってずっと思っていたんです。僕は見た目的にすごい社交的にみられるし、人当たり良さそうにも見られるんですけど、全然そんなことないのになあと思いながら。
でも、みんながそう見てくれてたんだったら、そうしなきゃいけないなーって感じだったんですよね。
で、いつからか、「なんかもういいや」って、思うがままにしゃべってたら、劣等感や自己肯定感が低めな部分が出るようになってしまって。ただ、そういう弱い自分を出したいというわけでもないので、自分の出し方は考えなきゃいけないな、って最近は思っています。
――さらけ出すことが気持ちよくなってしまうと、それもよくないと?
弱さを武器にするとせこい瞬間が出てくるというか、弱いことで強くなってしまうことがあるなって。そんな風には弱さを使いたくないなっていうのがあります。
面白いって、ちゃんと認めてくれている人たちがいる
――さきほど「人からの見られ方と僕自身が考えていることに差がある」とおっしゃってましたが、私も10年くらい前に、無限大ホールでパンサーさんや、その頃の若手芸人さんがいろんなイベントされてるのを仕事で見に行っていました。その時、向井さんが男前ランキングによってアイドル的な人気ばかりが目立ってしまっていて、芸人として正当な評価をされていない空気は感じました。そういう状態から脱却するにはすごく時間がかかったように思いますが。
まあムカついてましたねえ…(笑)。「男前ランキング」がね、最初のほうはよかったんです。アイドルのようにふるまうことが「こいつやってんな」みたいなボケになると思ってたんです。でも、本当に自分に「キラキラ」とか「王子様」みたいな単語がくっついてきて、「あれ?」と思ったらもう引き返せなくなってたんです。
だから、その頃の雑誌の写真では本当に目が死んでいたり。写真を撮られるのも嫌いだったし、ランキングから外してほしいってマネージャーにお願いしたりもしていました。
でも、そんな時でも、周りの本当に仲のいい芸人が「まだ見せてない面があるのって強いよな」とか、「だからこそ、この後、全然いけるよ」って言ってくれて。その言葉でなんとか耐えられたって感じですかね。
――お聞きしてもよければ、どなたがそう言ってくれたんですか?
ピースの又吉(直樹)さんとか、チョコプラの長田(庄平)くんとか、ライスの関町(知弘)さんとかもそうなんですけど、「そこの部分のお前が面白いよな」って言ってくれて。
俺がちゃんと、面白いって思っている人たちがそう言ってくれてたってことは、幸せだなと思っていました。
――『トークサバイバー』では、そうやって認めてくれる人とは逆の人もいたともおっしゃってましたね。
やっぱり毛嫌いされることはありましたね。あいつ、顔がいいから売れてるんでしょ、とかって言われることもありましたし、その気持ちを反省ノートに全部書いてたんです。でも、そんなことを言ってた人はもういないので……ってこんなトゲトゲしいことばっか言ってていいんでしたっけ?
全然、ラジオで朝の顔をするって感じじゃなくなってしまってません?(笑)

――大丈夫です! 面白かったのが、あれだけ嫌だった「男前ランキング」が、数年のブランクを経て再開されたときには、向井さんはもうランクインしてなかったそうで…
そうなんですよ。男前ランキングで圏外になったこととかを話せるようになったってことがよかったし、今はいい環境でやらせてもらってるなって思います。
――結果的に、それが面白いエピソードになったということですね。それと、かまいたちの濱家(隆一)さんがan・anでグラビアをされてるのを見て、向井さんもやりたいっていう目標を立てた話をラジオでされてましたね。
今になって、年齢もおじさんに近づいてきた中で、そういうのを目指すのが面白いなって。TBSラジオも朝の顔になるし。だから『トークサバイバー』みたいにぶっちゃけた話もしてバランスをとっているのかもしれません。
(後編)へ続く
撮影 長谷部英明
取材・文 西森路代
TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』情報はこちら!
番組名:パンサー向井の#ふらっと
放送時間:毎週月~木曜日 午前8時30分~11時00分 ※初回放送:3月28日(月)
パーソナリティ:向井慧(月~木)※木曜日は隔週出演
パートナー:滝沢カレン(月) 、 田中直樹(火) 、三田寛子(水) 、髙橋ひかる(木)
木曜アシスタント:喜入友浩(TBSアナウンサー)※隔週出演
https://www.tbsradio.jp/flat/

TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』公式サイトより
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