2022年2月、集英社の関連会社「集英社ゲームズ」が設立された。集英社ゲームズが何をしている会社なのかを語ってもらった前編に続き、後編は集英社ゲームズの成り立ちや、同社が運営をサポートする「集英社ゲームクリエイターズCAMP」などについて聞いていく。話をしていただくのは前編に引き続き、集英社ゲームズで執行役員を務める森通治(みちはる)さん・山本正美さん。

聞き手=藤縄優佑/撮影=和田篤志

集英社ゲームズのキーパーソンは「小島さん」?

――集英社ゲームズが生まれた経緯を教えてください。

 集英社ゲームズは、集英社の新規事業開発部から生まれました。新規事業開発部は名前の通り新規事業を手がける部署で、3年くらい前からゲーム事業立ち上げの準備をしてきました。

――なぜゲームに着目したのでしょうか。

 僕自身がゲーム好きなのもありますが、純粋にゲーム市場が大きいこと、そしてエンタメとしての総合力、インタラクティブ性が高いことが魅力的だと思っており、集英社としてこのノウハウは積極的に得ていくべきだと思っていました。とくに近年のゲームはさまざまな領域で体験としての価値が高まっていて、そういった領域にチャレンジするのはエンタメ総合会社になっていくためにも正しい姿勢だろうとも思っています。

「集英社ゲームズ」がタイトルづくりで最も大事にしているものとは?_7

――ゲーム市場といっても、いろいろな切り口があります。

 企画検討時は海外のイベントにも積極的に足を運びながら、ゲーム事業の方向性を2年ほど探り続けました。今の方向に固まったきっかけは、Googleさんが主催するインディーゲームコンテスト「Google Play Indie Games Festival」です。初回開催時から集英社が協賛し、「少年ジャンプ+賞」などを設けていて、当時から僕も手伝っていました。

同イベントで何人ものゲームクリエイターさんと会っているうちに、ゲームクリエイターさんを発掘することと漫画家さんを発掘することは、根が似ているように感じまして。イベントに一緒に来ていた「少年ジャンプ+」の細野編集長から「俺も同じこと思ってたんだよ!」と盛り上がってから「ゲームクリエイターを発掘する」という想いが頭の中に残り続け、今の事業へとつながった背景もあります。本当に何がきっかけになるかわからないですよね。

2019年に「集英社少年ジャンプ+賞」を受賞した『ペルセポネ』の制作チーム「Momo-Pi Game Studio」は、受賞特典として『Captain Velvet Meteor: The Jump+ Dimensions』の企画・制作をジャンプ+編集部と共同で開始し、集英社ゲームズのタイトルとして発売される

――それから集英社ゲームズが設立されたのでしょうか。

 いえ、いきなり会社を作ったわけではなく、その前の準備段階で山本さんに合流していただいて、「集英社ゲームクリエイターズCAMP」というゲームクリエイター支援サービスを立ち上げました。