最速200キロ投手と1イニング最強投手の継投!

集英社の野球マンガでスタメン組んでみた(前編)最速200キロ投手、天才勝負師、智将、琉球の大砲、さすらいの賭博師_1
©桑沢プロダクション/集英社

■先発投手:『緑山高校』より、二階堂定春
※「週刊ヤングジャンプ」1984年21号~1987年50号連載(全20巻)/桑沢篤夫

投手は特別に2人を選抜。先発は『緑山高校』から、主人公・二階堂定春だ。緑山高校野球部は新設校で全員が1年生。にもかかわらず、創設1年目で甲子園出場を果たし、全国の強豪校とも互角に渡り合っていく。

二階堂は、高校1年生にしてすでに身長198㎝、体重100キロ超え。恵まれた体格のサウスポーが繰り出すストレートは最速200キロに迫る超剛速球! まぎれもなく超高校級の怪物だ。

「高校野球マンガ界における規格外選手。気分が乗っているときのストレートは圧倒的で、どんな大打者とも対峙できます」(ツクイ)

夏の県大会決勝では延長16回を1人で投げぬくなど、スタミナ面も文句なし。プロ野球編では初登板初先発で完全試合(しかも全員三振)を達成し、東京ドームの天井に穴を空ける豪快ホームランも。現実世界でも大谷翔平、佐々木朗希が160キロ超え豪速球や二刀流、完全試合投球で話題を集める今こそ、改めて注目したい怪物といえる。

ちなみに、『緑山高校』は野球マンガとしては珍しく、いわゆる「野球どころ」ではない福島県が舞台の作品だ。作者の桑沢篤夫は福島県の古豪、学校法人石川高等学校出身。桑沢は学法石川高校に入学した年に初めて甲子園出場が決まったときの「感激や熱量が忘れられない」とインタビューで語っている。それがまさに作品の熱量に転化されている。

集英社の野球マンガでスタメン組んでみた(前編)最速200キロ投手、天才勝負師、智将、琉球の大砲、さすらいの賭博師_2
©甲斐谷忍プロダクツ/集英社

■抑え投手:『ONE OUTS』より、渡久地東亜
※「ビジネスジャンプ」1998年24号~2006年18号連載(全20巻)/甲斐谷忍

先発・二階堂は「かなりの気分屋で、気が乗らないと露骨に棒球を投げて失点を許す」という弱点が玉に瑕。ならば、抑えにはその対極に位置づけられるピッチャーを用意したい。

その選手は、万年Bクラスの弱小プロ球団「埼京彩珠リカオンズ」で革命を起こした天才勝負師、渡久地東亜。ワンナウト単位の完全出来高制「ワンナウツ契約」という投手不利の契約にもかかわらず、どんな場面でも無失点に抑えこんでいく姿は痛快だ。

渡久地の持ち球は平均120キロ台のストレートのみ。だが、狙ったところに正確に投げこむ制球力と、投球の回転数を自在に操ることで打者の手元で微妙に変化させる妙技、そして、長年のギャンブルで磨いてきた鋭い洞察力を駆使して相手打者のウラをかき、ときには球場全体、球界全体までも手玉にとっていく。

「渡久地の唯一の不安材料はスタミナ面。抑えで短いイニング限定ならば間違いなく無双できるはず」(ツクイ)

物語後半では、「ワンナウツ契約」で手にした莫大な資金をもとに、前代未聞の選手兼球団オーナーとなる渡久地。弱小球団の選手たちの意識改革を促し、チームを優勝に導いていく手腕もチームにとって欠かせない能力だ。