Q.6 中原先生の作品を読んでいると、いつもいつの間にか明るい気持ち、楽しい気持ちになります。以前インタビューで「私は追い詰められるとストーリーから笑いが一切消えてめちゃくちゃ暗い雰囲気を漂わせてしまうという癖があり(心理状態がそのままお話に現れてしまう)」とおっしゃっていたのですが、笑いや明るさのある物語にしよう、と意識されている、ということでしょうか。また、いつか逆に「めちゃくちゃ暗い雰囲気を漂わせる」作品を描く可能性もありますか?
ありがとうございます!
私自身が生まれつき陰キャなので、明るいもの楽しいものへの憧れが強くあります。
そもそも漫画を描くのが大好きというわけではなく、陰キャゆえに、誰にも会いたくないし誰とも喋りたくないし出かけたくもないので、最低限人間であるための社会奉仕活動および修行としてこの仕事を続けています。
他に出来ることが何もなく、漫画を描かないということは人間でなくなるということになりますから必死です。なので、気を抜くと必死感が出過ぎて我の陰キャ人格が漏れることが多々あります。
一生懸命隠すため陽キャを描き、自分も明るく楽しい人になったような気持ちになり、読者さんにも同じようにハッピーになっていただきたい、という思いで漫画を描いています。
陰キャのままめちゃくちゃ暗いお話も描けるんですけど、いっこもおもしろくないんですよね! うんこみたいなお話にしかならないことを知っているので暗いお話は描かないです。
Q.7 「ココハナ」で連載中の『狼に鈴』で、特に重点を置いて描かれていることをお教えください。主人公の鈴ちゃんと狼谷くんの関係が気になるのはもちろん、がんばっている鈴ちゃんを応援したくなる作品です。会社のみんながいい人たちであることも今作のやわらかな空気感を作る要因のひとつのように思います。また今後の展開で話せることがあればお願いします。

【漫画あり】「嫌なことを全部忘れられるような漫画にしたい」キュンが止まらないラブコメディ漫画『狼に鈴』作者・中原アヤが、ハッピーな世界を描き続ける理由
本日5月12日より、2019年から2021年にかけて漫画誌「ココハナ」にて連載されていた『おとななじみ』の実写映画が全国公開される。原作者の中原アヤ氏にQ&A形式で、現在連載中のラブコメディ漫画『狼と鈴』の制作秘話や、読者との関係性について自らの言葉で回答してもらった。
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#4(後編)
「明るいもの楽しいものへの憧れが強くあります」

『狼に鈴』より。キャラ雑貨メーカーに勤める鈴と、社長代理としてやってきた狼谷との恋を描く
ありがとうございます!
『狼に鈴』はコロナ禍に生み出したものなので、とにかく読んでくださった方々が明るく笑えて嫌なことを全部忘れられるような楽しい漫画にしたいと思いました。
関西弁で吉本新喜劇のようなノリにして、カラーイラストなども派手で楽しくなるように意識したりしていました。
作中に出てくる会社も、現実ではこんなに仲良くて飲み会も楽しい会社なんてあまりなさそうですが、あれば楽しいねという気持ちで描いています。
今後もどれだけ笑ってもらえるか、それだけ考えてハッピーな漫画にしたいと思っています。先のことはノリと勢いで!
「『別マ』にいたことは、今でも私の誇りです」
Q.8 「別冊マーガレット」で『ラブ★コン』などヒット作を生み長く描いてこられた後、「YOU」で『ダメな私に恋してください』、「ココハナ」で『おとななじみ』『狼に鈴』と場所を変えて連載してみて、どんなことを感じましたか? また、「別冊マーガレット」を振り返ってあらためてどんな雑誌だと感じていますか?
笑いを描くために漫画を描いているような私なので、大人向けの少女漫画誌ではその加減が難しすぎるな、と思います。私の作る笑いが小学生並のアレなので、ほら、うんことかすぐうれしがって使うでしょ、そういうところがもうアレです。
もうちょっと大人向けの笑いを考えないといけないと思うんですが、好きな笑いがソレなので仕方ないです。
「別冊マーガレット」は私の中で少女漫画の神雑誌であり、憧れの先生方がいらっしゃる神聖な場所だったので、綺麗な少女漫画を描かなきゃいけない!という気持ちが強く、ずっと私を苦しめ続けました。描けもしないのに。なので、担当編集さんに「好きなように描いてください」と言われないと何も描けなくなったりしました。
『ラブ★コン』は少女漫画かって言われるとそうでもない気がします。あれはわざわざ「好きなように描いてください」と言ってもらえて初めて好きに描けた漫画で、少女漫画であることをあまり意識せずに描けました。だからたくさんの男性読者さんにも読みやすいと思っていただけたのかなと思います。
「別冊マーガレット」にいた間はそうしてしんどいことも多かったですが、今でも私の誇りです。

『ラブ★コン』より。キュンとして、笑って、元気になれる作品
Q.9 ここ数年で、作画環境や読書環境のデジタル化が進み、漫画というメディアが大きく変わってきているように思います。そのような変化をどのように感じていますか? ご自身がデジタルで描くようになって感じたこともお教えください。また、縦スクロールなど新しい形式の漫画を読んでみて感じること、描き手として興味をお持ちかどうかについてもお教えください。
『おとななじみ』の途中で急遽アナログからデジタルにしたのはコロナ禍で仕方なくでしたが、作業はすごくラクになりました。
個人的に描くのが好きな服の模様のバリエーションが増えたり、小物の装飾を凝ったり出来るのがいいです。完成データをすぐに送れるのもありがたいです。
漫画のデジタル化に抵抗があったのは初めだけで、一生懸命描いたものがほとんど無料で配信されるとかエー!と思ったりしましたが、紙の本がなかなか手に取ってもらえない昨今、デジタルで過去作も目にしていただける機会が増え、今ではいいものだと思っています。
縦読み漫画もいいと思います。私も漫画のグローバル化は素敵だなと思うので、さまざまな国の方に読んでもらえるよう、進化についていきたいです。

『狼に鈴』1巻トビラ絵。小物の装飾など細部にもこだわりが
読者さんによろこんでもらえる瞬間=私が生きていることを許される瞬間
Q.10 連載でお忙しいかと思いますが、今、もしくは今後やってみたいと思っていることがあれば、お教えください。
暇ですよ!!! 今後やってみたいことたくさんあります。
いま海外に興味津々で外国語も勉強しているので(寝転がってアプリ触ってるだけですが)、海外の方にも伝わりやすいような漫画を描きたいです。
もっと言うと老若男女、国籍問わず、幅広い層に楽しんでいただける漫画ですかね。そんなのを描きたいです。今までの作品もありがたいことに海外版としてさまざまな国の言語に訳して出版していただいているので、もっと頑張りたいと思った次第です。
仕事以外だと、先日コロナ禍以降で初めて声出しOKのライブに行ったら楽しくて、やっぱり私は現場でのライブが好きだなと改めて思ったので、ライブに行きまくりたいです。
Q.11 中原先生にとって、ファンの方たちはどんな存在ですか? 『ラブ★コン』読者など学生時代から共にしてきたファンの方、そして『ダメな私に恋してください』以降の大人になってからファンになった方など、さまざまな読者の方がいらっしゃると思います。
さっきの質問にも繋がりますが、海外の方からメッセージをもらうことがあったり、『ラブ★コン』のときのお手紙は小中学生の方が中心だったり、今は自分より年上のお姉さん方から感想をいただいたり、本当に幅広くいろんな方に作品を読んでいただいてうれしい限りです。
私にとって漫画を描くことはギリギリ人間の形を保つためのただしんどいしんどい作業なのですが、読者さんによろこんでいただけた瞬間だけは本当に楽しいです。
大袈裟ではなく私が生きていることを許される瞬間です。なにしろ陰キャなもので……「生きていてすみません」の気持ちが常にあるので……。
読者さんが私を生かしてくださっていると言っても過言ではありません。今後もひとりでも多くの読者さんに楽しく笑ってもらえるよう頑張ります!!
『おとななじみ』第2話を読む
漫画の続きは下のボタンから!

質問文作成/門倉紫麻
『おとななじみ』(集英社)
中原 アヤ

2019年7月25日発売
484円(税込)
新書判/176ページ
978-4-08-844228-0
漫画の購入はコチラから
弁当屋で働く加賀屋楓(24)は小さいときから近所の青山春とおさななじみ。楓は春に片想いしているが、鈍感な春は振り向いてくれない。けれどいつでも楓を助けてくれる「騎士」の春。そんな中、春にアタックしてくるゆるふわ女子や別のおさななじみ男子・伊織も参戦して、やっと恋が動きだす──!?
『狼に鈴』(集英社)
中原 アヤ

2022年4月25日発売
528円(税込)
新書判/184ページ
978-4-08-844643-1
漫画の購入はコチラから
桜川鈴は日々仕事を頑張るアラサー女子。忙しい朝の癒しは同じ電車に乗ってくる「イケメンなあの人」を見ること!…だったのだが、「あの人」が××××になったり、「惚れてまうやろ!!」な事件が起き、毎日がドキドキの日々に様変わり!?
関西弁男子にキュンが止まらないラブコメディ開幕!!
【収録作品】おとななじみ番外編。
マーガレット・別冊マーガレット60周年

【漫画】アイドルグループ・風男塾の愛と絆を描く『風男塾物語』が待望の電子化! 「描かせていただいたことが人生の宝です」作者・種村有菜
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#5(前編)

【漫画あり】「世界一のイケメンになったつもりで、読む人をエスコートしたい」––少女漫画界のカリスマ・種村有菜の描くラブシーンがとびきりロマンチックな理由
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#5(後編)

【漫画あり】井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)&久間田琳加ダブル主演で実写映画公開! 『おとななじみ』原作者・中原アヤが断言。「今年一カワイイ映画に決定しました!」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#4(前編)

【漫画あり】「最も多く発行された単一作者の少女漫画コミックシリーズ」として『花より男子』がギネス世界記録に。作者・神尾葉子「花男はマーガレットだから描けた」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#1(後編)

【漫画あり】リアルな“大人の三角関係”にハマる、タワマンが舞台のラブストーリー『200m先の熱』の作者・桃森ミヨシ「本作は集大成だと思って描いています」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#3(前編)

【漫画あり】「説明するんじゃなくて絵で表せ、と鉄骨にはよく言われて」『200m先の熱』作者・桃森ミヨシが明かす、漫画家・鉄骨サロとの共同制作秘話
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#3(後編)

【漫画あり】「君に届け展 “すき”のちから」が9月より開催決定! 漫画家・椎名軽穂が振り返る『君に届け』へ込めた想い「爽子はこれまで描いたことがないスーパーヒロインでした」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#2(前編)
関連記事

【漫画あり】井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)&久間田琳加ダブル主演で実写映画公開! 『おとななじみ』原作者・中原アヤが断言。「今年一カワイイ映画に決定しました!」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#4(前編)

【漫画あり】「最も多く発行された単一作者の少女漫画コミックシリーズ」として『花より男子』がギネス世界記録に。作者・神尾葉子「花男はマーガレットだから描けた」
「マーガレット・別冊マーガレット60周年」特別インタビュー#1(後編)




新着記事
両津勘吉、驚異の肉体
「現役JKが、あらゆるグラビアの中で最強だと思っています」現役女子高校生グラドル、鈴原すずの野望


【三上悠亜vs元・文春記者】「昨年の年収で世田谷に家が建つ」「母にはデビュー告知の15分前に連絡」最後の直撃インタビュー! 今だから語れる辛すぎて泣いた日
セクシー女優・三上悠亜ラストインタビュー#1