物語に登場するのは、女の子のほうが男の子よりも2歳年上という幼なじみの二人。小学生の頃、女の子にとって弟のように可愛かった男の子は再会したら身長が伸びてカッコよくなっていたり、昔はなんとも思わなかった間接キスにドキドキしたり……。
2枚の絵によるビフォーアフターで時間を経て変わった二人の関係性や気持ちを表現し、その変化にキュンキュンする人が続出。描き下ろしエピソードを収録した単行本も大人気となっている。
【漫画あり】間接キス、手を繋ぐ…小学生の頃は気にしてなかったのに。SNSで大バズり中の幼なじみ男女のビフォーアフターマンガとは
2歳の年の差がある男女の幼なじみのビフォーアフターを2枚のイラストで描いたTwitterで話題のマンガ『2歳差の幼なじみ』。作者のイトノコ氏に創作したきっかけや物語を考える上で大切にしていることについて伺った。
夫の転勤がきっかけで、マンガ家に転身⁉︎
――『2歳差の幼なじみ』を創作したきっかけは?
子どもの授業参観に行った時、身長155㎝くらいの小学6年生の女の子と小学4年生の小さい男の子を見かけたことがあったんです。『2歳差の幼なじみ』は、そんな二人の体格が将来逆転する可能性があるのかなと思ったところから想像をふくらませていきました。

――イトノコさんは、もともとマンガを描かれていたのですか?
全然描いてはいませんでした。元々私はピアノの講師をしていたんですが、5年前に夫の転勤があって仕事をやめてついて行って。それで転勤先で少女マンガを読みふける毎日を過ごしていたある日、少しでも収入を得られないかなと思ってマンガの感想ブログとTwitterを始めたんです。
――そこからマンガを描くようになったのは?
そこでつながった少女マンガ好きさんたちのマネをして、私も好きな作品を模写したイラストをSNSに投稿するようになったんです。その後、いろんな方向や角度から描くマンガに挑戦すればイラストの技術も向上するんじゃないかと思って、練習の意味でマンガを描き始めました。
そしたら、イラストよりも「いいね」がいっぱいもらえて、出版社の方からも「連載をしませんか?」というお話をいただいたのがマンガ家としての始まりですね。
ビフォーアフターを2枚で表現した
きっかけはBLだった
――『2歳差の幼なじみ』は2歳の年の差がある男女の幼なじみのビフォーアフターを2枚で描かれていますが、この着想はどこから得たのですが?
マンガやイラストを描いてTwitterに載せているうちに、自分に自信を持つためにも、より「いいね」をもらうにはどうすればいいのか――? そんなふうに考えていた時、BLマンガ描きさんたちが投稿していたビフォーアフターを並べた2枚マンガが「いいね」をたくさんもらっているのを見て、なるほどと思ったんですよね。

Before

After
――作中の登場人物の男の子と女の子には名前がつけられていません。どのような意図があるのでしょうか?
名前をつけないと決めていたわけではなかったんですけど、こんなに長く続けるつもりはなかったので、最初のほうは名前がなくても描けたんです。ただ、名前ってイメージが限定されてしまう感じもして、3~4つ目の投稿作品を描いているあたりからはこのままなしでやっていくのがいいのかなと思った気がします。今でも、名前があればすごく助かったのにと思う場面はたくさんあるんですけどね(笑)。
――ほかにも物語を考える上で気をつけたことはありますか?
少女マンガの中だと幼なじみ同士の恋愛とか結婚ってよく描かれますし大好きなんですが、私自身のまわりにはひと組もいないんです。大人になって自分が結婚して子どもを産んでからは特に、幼なじみ同士のカップルというだけでかなり特別だなと感じるので、それ以外にスペシャルなイベントやアイテムはあまり出さないようにしています。
そうすることで、フィクションなんですけど、読者の方が自身の経験と重ね合わせられるところがあればと思いながら。あとは、自分の子どもがいつか恋愛をする時、こういう感じだったらいいなというラインを探したりしながら描いている部分はあります。
需要がある限りは頑張りたいです
――単行本化にあたって20ページを描き下ろされていますが、大変だった点はありますか?
単純に量を描くことに慣れていなかったので、物理的には大変でした。でも、男の子と女の子が中学や高校で再会する第1章のエピソードは、3~4つ目に投稿するマンガを描きながら二人のことについて掘り下げておこうと思った時に考えていた内容なんです。なので、単行本のお話をいただいた時にはやっと描けるんだって、すごくうれしかったですね。
第5章の結婚後の二人の話も、自分が妊娠していた時や子どもが幼稚園に通っていた頃を振り返って、子どもがどういう時に泣き止むか思い出したり、夫と「折り紙ってけっこう難しいよね、忘れちゃってるよね」なんて話した思い出から生まれたエピソードだったので、わりとスムーズに描くことができました。

書き下ろし部分は2コマではなく、通常のマンガのようなストーリー仕様に
――今後はどのような作品に挑戦したいですか?
『2歳差の幼なじみ』に関しては、よく読者の方から「結婚するまでの二人が見たい」と言っていただくので、需要があるのであればそこは絶対に描きたいです。もともとTwitter主体で描いてきたこともあって、悩んだ時や迷った時は読者さんのコメントに流されながらも(笑)、すごく参考にさせていただいてます。
SNSにはステキなマンガがあふれていて、憧れる作風もたくさんあるんですが、自分的には今後も男の子と女の子っていう二人のキャラクターがどういう恋愛をするのかをおだやかめな展開で描いていけたらいいなと思っています。
SNSで話題沸騰の最強胸キュンショートマンガ!
【漫画】『2歳差の幼なじみ』を読む(漫画を読むをクリック)

取材・文/吉川由希子
『2歳差の幼なじみ』 (ビームコミックス)
イトノコ

2023/2/10
1100円(税込)
154ページ
978-4047373945
あの頃も、今も……変わらない気持ち。
早く俺のこと意識して!
いつの間にこんなにかっこy……! いやいや、ないない!
ただの可愛い弟みたいな幼なじみだと思っていたけれど、6年後の今は……。
付き合う前から付き合った後も、気づけばずっと
ドキドキさせられています。
SNSで話題沸騰!
6年前とその後を描いた、大人気胸キュンショートマンガ、待望の書籍化!
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