#2 「来月どうなるかもわからない漫画家の世界ですから…」重版がかかってもこづかいは上がらない!?

限られたこづかいをフル活用する“こづかい超人”たち

――なぜ、「こづかい」をテーマに漫画を描こうと思ったのでしょうか?

「モーニング」(講談社)から自由に読み切りを書きませんかと言われたのがきっかけです。その打ち合わせで、僕が夜中にお菓子をコソコソ買いに行っている話をしたら「その話、面白そうですね!」と、軽い感じで決まりました。

ちょうど、人間ドッグで血糖値が高いと出たばかりで、ただの世間話だったんですけど、その読み切りの反響が割とあったみたいなんです。それで、2019年から連載となったという流れですね。

――もともとは、こづかいではなくお菓子の漫画だったんですね。

そうなんです。僕としては、こづかいの部分はなんとも思ってなかったんですが、“月額2万千円のうち、1万円がお菓子代”みたいな、こづかいの内訳グラフに食いつきがあったみたいで、こづかいにスポットあてた漫画がいいんじゃないかとこの形になりました

【漫画あり】月額2万千円のこづかいは「デフレ日本の絶望の象徴」なのか? 毎月限られた金額をやりくりする「こづかい超人」たちを描く漫画家・吉本浩二_1
『定額制夫の「こづかい万歳」~月額2万千円の金欠ライフ~』
漫画を読む

――吉本さん以外にも、限られたこづかいの中で工夫されている「こづかい超人」 の方々がとても魅力的です。

1話、2話と自分のことを描いて、こんな感じで行くのかなと思ってたんですけど、漫画を読んだ妻のママ友が「うちの旦那も2万円だよ」って言うんで、3話でその方の話を書いたんです。そしたら、意外とウチもウチもって身近なところがから広がっていったんですよね。

場所柄か、僕の住んでいる埼玉のご近所さんたちは、家のローンがあって、子供もまだ小さいので、こづかい制の人が多くいみたいで…。ライフスタイルが似ていたのかもしれません。

――逆に、ご自身の話だけではここまでできなかったかもしれないですね

それはありますね。あとは「旦那に2万千円しかこづかいをあげない悪い妻」みたいな感想もあったので、妻のこともしっかり書かないと公平じゃないと思いまして、4話で妻を出しました。それがここまで続いている感じですかね。