“さくらももこ作品”として真っ先に思い浮かぶ人が多いであろう作品が、漫画『ちびまる子ちゃん』だろう。1990年代にりぼん編集部に所属し、『ちびまる子ちゃん』の担当編集となった集英社第1編集部の今井英(いまい・すぐる)部次長は語る。

――さくら先生の担当編集をされていたのはいつ頃でしょうか?

自分がやっていた仕事メモが残っているのですが、それによると1990年2月号からでした。ただ、担当編集になったといっても当時はもともとずっと担当されていた方と2人体制。ちょうどアニメ『ちびまる子ちゃん』の第1期が始まろうとするタイミングだったので、僕はアニメ情報など『ちびまる子ちゃん』の細々した記事の編集や、完成した原稿を受け取りに行って印刷所に入稿したりしていました。

――1990年というと入社何年目ですか?

入社2年目の終わりのほうでしたね。本当に急に担当することになったんですが、『ちびまる子ちゃん』はアニメ化が決まっているほどの人気作品。何もわからないままアニメ情報を集めて、原稿を受け取って…という感じでした。

――さくら先生から原稿を受け取った際に印象に残っているものはありますか?

アニメが放送されている間は、『りぼん』に掲載される『ちびまる子ちゃん』の扉絵はすべてカラーだったんです。そのカラーイラストがどれもすごく凝られているものばかり。毎月完成度が高くて受け取るのを楽しみにしていました。
特に衝撃的だったのは、その50『まる子 ノストラダムスの予言を気にする』の巻(単行本8巻に収録)のカラーイラストです。このイラストは着色した卵の殻でできたモザイクアートなんです。

《さくらももこ展 横浜会場開催スタート》【デビュー漫画公開】当時の担当編集が語る“さくらももこ”の魅力の真髄。受け取って衝撃的だった1枚の絵の正体とは…!?_1
『さくらももこ展』ではこの絵の実物が展示されている
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――立体物ということでしょうか?

そうです。いつも通り原稿をとりに行ったはずなのに、手渡されたのは分厚い板だったので、“なんだこれは!”ってかなり驚きましたね(笑)。