こんにちは。ヨガ講師の仁平美香です。今回は女性やマイノリティへの差別と闘い続け、女性として史上2人目となるアメリカ最高裁判事になったルース・ベイダー・ギンズバーグのドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』を紹介します。

怒りをパワーに変えて闘った、偉大な女性の強さに学ぶ『RBG 最強の85才』
ヨガ講師として活躍する仁平美香さんが、女性の美と健康に効く映画をピックアップ。シリーズ2回目は、アメリカ最高裁判事になった偉大な女性ギンズバーグ氏の伝記映画を紹介。映画を見終わった後に実践したい、体をととのえるメソッドも必見。
ヨガの伝道師・仁平美香の“ととのう”映画②
女性やマイノリティの権利発展に努めてきたRBG

RBG (2018) U.S. Supreme Court Justice Ruth Bader Ginsburg *Filmstill - Editorial Use Only* CAP/MFS Image supplied by Capital Pictures <HEADLINE>RBG (2018) - filmstill
『RBG 最強の85才』(2018)RGB/上映時間:1時間38分/アメリカ
ルースはがんを患った夫の介護と子育てを両立させながら大学に通い、卓越した知性と精神力でハーバード大学とコロンビア大学を首席で卒業した人。ところが就職活動の際には、女性であること、ユダヤ系であること、子供がいることなどから非常に苦労し、弁護士として活動しはじめてからも困難にぶつかります。
映画では壁をひとつひとつ乗り越えて道を切り開き、85歳という高齢になっても全力で闘い続けるルースの姿が描かれます。
まだまだ日本では要職に男性が多く、日々の暮らしやニュース報道からも女性軽視の感覚が根強く残っていることに気づかされる世の中ですが、当時のルースの闘いがなかったら、男女平等社会推進の動きはあと100年は遅れていたのではないかと日本に居ながら感じます。女性が当たり前のように社会で働き、活躍できるようになるための扉を開いたルースの功績は計り知れません。

ロイター/アフロ
ルースの左後方にいるメガネの男性がマーティン
ルースの強さを支えたのが夫のマーティン。ルースが自分らしく仕事に邁進できたのも、マーティンという素晴らしいパートナーがいたからだなと思います。
“女性だから感情的だろう”“首席の女はきっと気が強く冷徹”と決めつけられ、差別的な扱いを受けるルースの知性や能力に気づき、そのことに嫉妬せずに心から応援して愛情を注ぎ続けた。マーティン自身もニューヨーク随一と言われた経済問題専門の弁護士でしたが、「今はルースが世の中のために大きな仕事をなすときだ!」と考え、すっとサポート役に回れるところが本当にすごい。自分が犠牲になるという次元の話ではなく、優先順位を冷静に判断できる視点の持ち主だと思いました。
怒りに振り回されずエネルギーに変えて闘った
『最強の85才』というタイトルだけ見ると、とにかく強いスーパーウーマンのように思えますが、実際のルースははにかむように笑うところがとてもチャーミング。料理はちょっと苦手というところがほほえましく、魅力あふれる人です。もともとは内気で控えめな人だったようですが、あのパワーはどこから湧いてきたのでしょうか。
ルースが母から繰り返し言われた教えのひとつに“淑女であれ”というものがあります。これは女性らしくしなさいという意味ではなく、怒りのような不毛な感情に流されてはいけないという教えで、ルースは怒りに流されそうなときは、いつも母の教えを思い出していたそう。

ロイター/アフロ
ルースは2020年9月に87歳で逝去した
弱者の気持ちが理解できる思慮深さと、譲れないことに対しては断固として闘う精神力、それを支える家族の愛。そして、怒りをエネルギーに変える冷静さを併せ持っているところが、ルースの強さに繋がっているのだなと感じました。
ヨガはポーズによって体力や集中力、柔軟性を高めることももちろん重要ですが、そもそもは怒りや不安、恐れなどの感情に振り回されずに生きるための“心の学問”です。優しさとは強さ。ルースのように怒りをエネルギーに変え、自分の役割に真摯に向き合っていきたいなと改めて思いました。
ルースがはじめて男女差別について戦った裁判を描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)では、若かりし頃のRBGの姿をフェリシティ・ジョーンズ主演で丁寧に描いています。こちらにもちらりと本人が出演していますので探してみてください。
怒りの感情をコントロールするセルフケアを紹介
ここからは映画を見たあとに実践してほしいヨガやセルフケアを紹介していきます。
東洋医学では肝経や胆経という経絡の流れが滞ると過剰に怒りの感情が湧きやすいとされています。今回はそれらの経絡の巡りをよくするセルフケアとポーズを紹介します。
1.両足の親指とくすり指の爪の付け根をかるく揉む
2.マットの上で膝立ちになり足指を立て、片脚を横に伸ばす(このとき骨盤を水平に)
3.膝をついている方の手を上に伸ばし、体側を伸ばして5呼吸程キープ
4.反対側も同様に行う。膝に痛みがある方は、椅子に浅めに座って行ってもOK
