
「本当の喧嘩ってのは、誰もいない山奥に連れて行って10秒間でケリつけて、あとは平れ伏させるんだよ」バン仲村、過去の因縁を清算するため、裏から表へ。『BreakingDown 5』オーディションの裏側
格闘家・朝倉未来がアドバイザーを務める、「1分1ラウンド」の総合格闘技イベント『BreakingDown』。その第5回大会のオーディションで、赤いスーツに身を包んだバン仲村の言動が、とてつもない反響を呼んだ。彼はなぜ、わざわざこの表舞台に出てきたのか。その胸の内を本人に聞いた。
バン仲村 インタビュー♯3
「あの舞台で戦えば、ケリをつけられる」
――『BreakingDown』出場までの経緯を聞かせてもらえますか?
瓜田純士との一件以来(※インタビュー♯2)、僕は経営だけに専念していたんですけど、純士もしばらく潜ったんですよね。ブログもやらなくなったし、表にあんまり出なくなって。
たしか、朝倉未来君と純士が二人で路上喫煙を注意する動画がYouTubeでバズっていて、久しぶりに彼の顔を見たんです。その時は恨む気持ちというよりも、「あれ、元気でやってんじゃん。奥さんもできたんだ。なんか前と雰囲気が変わったな」と率直に感じて。
初期の『BreakingDown』は入れ墨が入っている人は出られなくて、第3回大会から入れ墨も解禁、あの瓜田純士が登場、みたいになっていて。「相変わらず呑気に中2みたいなことやってんな」なんて思いながら見ていた。
そんな姿を見ながら、純士との因縁についていろいろと考えました。でも、たとえば僕が歌舞伎町に行って、アイツを見つけ出して、いきなり「お前あん時は」ってやっちゃうと、また捕まっちゃうじゃないですか。
むしろ頑張っている純士の姿を見ていたら、「俺があの舞台に上がれば、アイツとケリをつけられる。モヤモヤする気持ちを晴らせるかも」と、ふと思ったんです。
――前向きな意味での清算をしようと。
あの逮捕で、いっぱい迷惑をかけた訳ですよ。家族や嫁、子供、従業員にも。勾留された20日間近くの間で、僕以外のみんなも地獄を味わった。その落とし前をつける、という想いで『BreakingDown 4』に応募したんです。そしたら、書類で落ちた(笑)。
「その位置まで行ってやるよ」

――1回落とされているのですね。
『BreakingDown 4』の応募方法が、「1000文字以内でPRしろ」という、昭和みたいな応募方法で。僕は大学院まで出ていて作文能力は高いんで、1000文字ぴったりで、「瓜田をボコボコにして、傷害・恐喝・器物損壊で逮捕された。アイツがどう思っているかは知らない。でも、他の誰よりもアイツとのストーリー性はあるよ」という話を書いて。
朝倉未来君は「ストーリー性が大切」ってよく言うくせに、こんなに濃いストーリーがある俺が落とされた。絶対に選ばれるという変な自信だけはあったから、「舐めた大会だな、絶対に次は出てやるぞ」って思うのと同時に、「このダサい応募方法、すぐ変わるな」と予測して。
――すぐに切り替えたのですね。
冷静に分析したら、“ストーリー性・数字・視聴数・チャンネル登録者数”とあれだけ言っている運営が、この応募方法は続けないだろうと。そういう逆算の元で、「数字を出せっていうなら、俺もステージに上がって、その位置まで行ってやるよ」と、落ちてからすぐにYouTubeを始めたんです。他にもInstagram、Twitter、TikTokを全部同時に。
そしたら案の定、『BreakingDown 5』から、「3分のPR動画と1分のシャドー動画」という応募方法に変わった。「はい来た」と思って、応募が始まったその日に提出。多分誰よりも早かったですよ。
PR動画の中で、純士との因縁を改めて話して、「お前らストーリー性が大切って言っているのに、俺を呼ばなかったな」と、朝倉君にもめっちゃ喧嘩を売って(笑)。
「純士、久しぶり」

――運営にも噛みついた(笑)。
そうしたら審査に通って、オーディションに呼ばれた。喋りだけは自信があったから「よし。ここまで来たら、あとは俺のステージだ」と。登場から全部がエンタメでパフォーマンスだと考えて、誰よりも目立つあの赤いスーツで登場した。
普段はあんなスーツは着ませんけど、「暴れるヤツは沢山いるだろう。でもこのジャンルをやれるのは俺しかいない」という考えで、僕はとにかく紳士な装いで、サングラスもかけて。
チャップリンじゃないですけど、行く途中の100均で杖を買って。ヤクザの組長みたいなフリをして、偉そうに出て行ったんです。
――“バン仲村”を自ら演出したのですね。
オーディションで僕の番が来た時に、「純士、久しぶり」と淡々と始めて。ただぶっちゃけると、唯一そこだけは一か八かだった。「お前なんか知らねえよ」ってアイツに言われたら、そこから「知っている」にひっくり返すのが大変だなと。でも結果的に純士から出たワードが「光だろ、あの時は悪かった」。
その返答はちょっと想定外で…というのも、僕の存在を認識してくれたとしても、謝られるまでは想像してなかったから。「オーディションの帰り道も恐れてた」って後で彼から聞いたから、「本当にやり返しに来た」と感じたんだと思う。
「本当の喧嘩なんてのは、表じゃやらねえんだよ」

――確かに、あのシーンはかなりの緊張感がありました。
その数分前まで椅子を投げたり、他の参加者を蹴ったりと暴れていた純士が、急に僕に謝っている。朝倉君が「仲村さんがやりたいって言ってるけど、瓜田君はどうですか?」って質問したら、「俺はもうコイツとは一生関わらないって思ってました」って純士は答えていて。戦うかどうかを聞いているのに、「関わらない」って、返事もおかしくなっている。
というのも、僕が来ることが純士には事前に伝わっていなかったらしく、ああいうリアクションになっちゃったと。本人は運営にかなり怒っていたみたい。
――かなり“ガチ”の雰囲気だったのですね。
「“本物”が来ちゃった」と、会場も凍りついていた(笑)。編集でカットされている部分も多くて、にっけん君の「ケンカ無敗ですか? ケンカとかしたことありますか?」に対して、「いい質問するね。本当の喧嘩なんてのは、表じゃやらねえんだよ」で映像では止まっているんですけど、実はその続きでもっと怖いことを言っていて。
「本当の喧嘩ってのは、誰もいない山奥の防犯カメラもないところに連れて行って、髪の毛1本、髭1本、DNAも一切残さずに、10秒間でケリをつけて、あとは平れ伏させるんだよ。俺はそんくらいやる人間だけど、それでもいいなら」という話をしたんですよ。
そうしたら、みんなシーンとしちゃって。オーディションが終わった後、他の参加者も「仲村さん、あれ言っちゃうと多分切られますよ」って。案の定カットされたんだけど(笑)。
――その啖呵は怖すぎます(笑)。
僕の登場前に純士の相手が決まってしまっていたから、「もうストーリーがなくなっちゃったけど、朝倉さんどうする?」って聞いたら、「でも仲村さんは面白いから、ぜひ試合はしてほしい」と。それで、オーディションで僕の隣に座っていたカンさんという韓国人との試合が決まった。
「まあ、試合ができればいいか。次あたりで純士とできるだろう」って思っていたら、運営から何の連絡もなくて。それが『BreakingDown 6』でのYUGOさんとの試合に繋がるわけです。
#4に続く
取材・文/佐藤麻水
撮影/浅井裕也
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