【作者・中川学より】
私は陸上部を辞めて野球部に入りました。野球部は思っていた通り、陸上部と比べて練習が楽でした。しかし先輩が怖い。
私はすぐに辞めたくなりました。
とその時、相原先生の言葉を思い出しました。
「一度困難から逃げた人間は必ずまた逃げる」
ここで辞めてしまったら相原先生の思う壺・・・と、私は先輩の恐怖に耐え練習に出ました。
ある日の試合、代走として1塁に出た私に監督の無川先生から盗塁の指示。
盗塁。滑り込みセーフ。成功。しかし、左の太ももの付け根あたりに違和感が。
監督から3盗(3塁への盗塁)のサイン。
盗塁。滑り込みセーフ。成功。違和感は激烈な痛みに。
この試合ではその後、3回滑り込みをしました。
次の日になっても痛みが引かないので病院に行くと、「お尻の脂肪が裂けてます」と言われました。
どうもカチカチのグラウンドにスライディングパンツも穿かずに滑り込んだのがいけなかった模様。
次の日学校に行くと、友達に「まなぶちん大丈夫?尻が4つに割れたんだって?」と言われました。
放課後、無川先生に症状を説明しに行きました。
「そうかぁ、大変だったなぁ、無理させて悪かったなぁ」
「残念ですが、当分練習には出られそうもな……」
「ヘッドスライディングだったら患部に影響ないよなぁ、うん、よし、今日からそれでいこう」
「こんなクレイジーな監督のもとでやってられないよー」と思いましたが、次の瞬間、あの言葉を思い出しました。
「一度困難から逃げた人間は必ずまた逃げる」
辞めたい、耐えよう、辞めたい、耐えよう、を繰り返し、なんとか中学校の3年間弱、野球部部員を全うしたのでした。

エンタメ 2023.03.29
【逃げ人生】「ボク陸上部を辞めて、野球部に転部したいです」だが陸上部顧問のスパルタ熱血教師の衝撃の答えとは…!? (9)
数学教師として勤務していた中学校から失踪して15年。網走(北海道)から尾道(広島県)まで、記憶を呼び戻しながらかつて失踪した道のりを旅して過去にけじめをつける実録コミックエッセイ。現実からいつも逃げてしまう人、逃げたいのになかなか逃げられない人、逃げることなく頑張ってきた人、戦うあなたへ贈る。(2024年3月31日まで)
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「ボク陸上部を辞めて、野球部に転部したいです」
だが陸上部顧問のスパルタ熱血教師の衝撃の答えとは…!? (9)
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『探さないでください』漫画一覧はこちら
『探さないでください』(平凡社)
中川学

2016年12月19日
1100円
160ページ
ISBN:
978-4582287998
失踪する前、失踪したら、失踪した後どうなるか。
数学教師として勤務していた中学校を失踪して15年。網走(北海道)から尾道(広島県)まで、
記憶を呼び戻しながらかつて失踪した道のりを旅して過去にけじめをつける漫画。
『くも漫。』前夜を描いた実録コミックエッセイ。
現実からいつも逃げてしまう人も、逃げたいのになかなか逃げられない人も、逃げることなく頑張ってきた人も。
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