ベビーフェイスのルックスと大胆な露出に加え、18禁の成人漫画が大好きというぶっちゃけ発言で、一躍人気者になった葉月つばささん。
今はフリーランスで活動し、写真集やファンクラブの売上が上々だというが、出たくもないセクシービデオに出されそうになったり全く聞かされていなかった演出があったりと、「本当に大丈夫?」というエピソードを持っている。その波瀾万丈な半生に迫ってみた。

「え、こんなに小さい水着なの?」合意無しで撮影された過激なファーストDVDが売れてしまいズルズルとーー。底辺グラドルだった葉月つばさが幸せなフリーランスになれるまで
端正なルックスと、天性のオタクキャラで人気の葉月つばささん。今は順風満帆に見える彼女も、上京してからはトラブルの連続で、悪い大人たちに搾取されていた過去を持つという。
グラビアアイドル葉月つばさの上京物語
「ねぇ、セクシー女優にならない?」
「やりません」
――葉月さんは現在24歳ですが、上京後なかなかハードな6年間だったと聞いています。
結構痛い思いもいっぱいしているので、失敗したくない、悪い大人に騙されたくないという人は、反面教師として参考にしてもらえると嬉しいです(笑)。
――まずそもそもの話ですが、就職のために青森から東京に出て来られた?
そうです。田舎は選択肢が限られているので、まずは東京に行こう! と決めて。高校に届いていた求人募集をいくつか受けて、たまたま受かった某飲食チェーン店で働くために、段ボール5個に必要なものだけを詰めて東京に出てきました。
――仕事は楽しくなかった?
めっちゃキツかったです。ぎゅうぎゅう詰めの超満員電車に揺られ、ときには痴漢にお尻を触られながら出勤してクタクタになるまでで働き、なおかつサービス残業を強要もありました。退職もなかなかさせてもらえず、何とか一年でやめましたが、思い出したくないくらいキツかったです。
――新宿のゲームセンターでスカウトに声をかけられたのは?
東京に出てきて半年くらい経った頃です。網タイツにショートパンツ。猫耳パーカーにライト付きの猫耳ヘッドフォンという格好でゲーセンにいたら、「セクシー女優やらない?」って声をかけられ、「やりません」って答えたら、「じゃあ、グラビアはどう?」と返されて。田舎の子ですから大人を疑うということを知らないし、まぁ1回くらいならやってもいいかなぁとついつい思ってしまいまして。それが全ての始まりでした。
――AVとグラビア、2つを運営しているマネージメント会社?
メインはAVでグラビアはおまけというか、いずれ私をAVに出演させる気満々だったので、それまでの腰掛けのような場所だったんだと思います。19歳の時に最初に宣材用の写真を撮ったんですけど、バストトップまで撮られちゃいましたから。
――本当ですか?
今ならそれがどれくらい問題なことかわかるんですけどね。当時はただの田舎娘ですから、「はい次ブラジャーを外して」と、フツーの顔でフツーの声で言われちゃうと、グラビアというのはそういうものなのかと思ってしまって。ほんと極めつけのアホでしたね(苦笑)。無知って本当に怖いなって今は思っています。
――まさかとは思いますが、下も脱いじゃった?
さすがにそれはないです。そこは死守しました(笑)。
――グラビアアイドルとして、はじめての仕事は?
撮影会です。1回に8人前後の女の子が水着で登場して、制限時間内にバシャバシャ撮られて。それが1日に5回。ギャラは1日3万円で半分は事務所のものなので、私がもらえるのは1万5千円。そこから交通費と水着代…5回あるので5枚買って。つまりトータルするとマイナスです。

趣味は18禁漫画!?
――撮影会の次は?
DVDです。いつか結婚して子供が大きくなったときに、「お母さんこんなのやってたんだよ」と言えたらいいなぐらいの気持ちだったんですけど、「はいこれ!」と手渡されたのが、思いのほか小さな布の切れ端のような水着で。
えっこれを着るの? 思っていたのとちょっと違うぞというのが最初の印象でした。
――恥ずかしかった?
でも本当に恥ずかしかったのは、その後カメラのレンズが、めちゃめちゃ股間に近寄ってきた瞬間です。これはやばい。恥ずかしいころの騒ぎじゃない、どーしようと。
でも結局どうにもできず言われるがままにポーズを取り、お尻をマッサージされ、セクシービデオではないですが、かなり過激な内容のDVDになりました…。
――それでもやめようとは思わなかった?
いや正直思いました。ギャラも印税も入ってくると思っていたのに、3万円しか貰えなくて。あとは事務所に対してやめます宣言をいつするか、のタイミングだけのはずだったんですが……。
――思わぬ展開が待っていた?
過激だったから売れたのか、たまたま売れたのが過激だったのか。答えはよくわからないんですけど、思いの外その過激な1st DVDが売れてしまって。周りは、「よし、じゃあ次だ!」と異様なくらい盛り上がり、やめるにやめられなくなっちゃいました(苦笑)。
――さらに転機となったのが、「第3次ブームの主役に食い込むグラドル」として出演。「18禁のエロ漫画が好きです」という発言で、名前を一気に認知させた『ゴッドタン』(テレビ東京系2019年8月放送)です。
収録前にDVDが売れたことで調子に乗っていた事務所のスタッフに、「このあとアイドル路線で行くから過激な発言はしないように」って、クギを刺されていたんですけど。まぁいいか、この際だから全部ぶっちゃけちゃおうと思いまして(笑)。
――えっ!? アイドル…ですか?
……はい。レコーディング…といっても、普通の家の防音材を貼り付けただけの押し入れですけど、そこでレコーディングしたオリジナルの歌も1曲だけあって。ライブもやらされましたから。
――聴いてみたいです。
いやです。ゼッタイに、イヤです!! 本当に黒歴史なので。
――ライブで歌ったのは、その曲だけですか?
全部で3曲。他の2曲は、『キューティハニー』となぜか『黒猫のタンゴ』でした。
――すごい選曲!!(笑) 笑うのは失礼ですけど…笑っちゃいますね。
ですよね、笑いますよね。私も笑いました。私のキャラ的には『キューティハニー』の方が違和感がありますよね。抵抗できなかったことが悔やまれます…!

悩める若手タレントへ
――事務所をやめて、フリー宣言をしたのはそれが理由ですか?
いえ。最初に所属した事務所は、大人の事情というやつで解散することになり、私は担当してくれていたマネージャーについていくことになったんですが、そこからいきなり5人で会社を作るという話になりまして。最初に言われたのが、「月100万円稼ごう」ということでした。
――1人100万?
だと思いますよね? でもそうじゃなくて、他の4人(マネージャーの地元の友人)は仕事を取ってくるのが仕事で、現場は私1人。で、給料は均等割ということで1人20万円ずつにしようと決まってしまいまして。
――納得できるような、できないような話ですね。
いや、それでも仕事をとって来てくれれば、それはそれでしょうがないかとなるんですけど。現実は何も仕事を取って来なかったですし、やりたくないYouTubeをやらされそうになったり…。私はただ普通の芸能活動がしたかっただけなんですけどね。何度か方向性について話し合いをしましたが、結局理解し合えることはなく。
運よく、最初に講談社さんから、写真集を出しませんかというお話をいただいていたので、数ヶ月はそれでもなんとかなったんですが、ある日いきなり会社にお金がないから給料を半分の10万円にすると言われちゃいまして。
――堪忍袋の尾が切れた?
私一人が稼いでいるのに減給されて、『やってられるかよ!』と、バックれるくらいの気持ちでしたが、きちんと話し合って「やめます!」と宣言をして。で、今に至るという感じです。
――講談社から出した第2弾の写真集『水蜜』は、フリーになってからですよね。
そうです。まさかフリーになってから、写真集のお話をいただけると思っていなかったので、驚きましたし嬉しかったです。もう本当に講談社さんのお世話になっています(泣)。
――初めてのヌードでした。抵抗はありませんでした?
脱ぐこと自体には、そこまでの抵抗はなかったです。ただ出来上がった写真集を見て、「ちょっと脱ぎすぎちゃったかなぁ」とは思いました。予想以上にスケスケ感が強くてちょっとだけ反省しました(笑)。
――これも脱ぎすぎたから売れたのか、売れたものがたまたま露出が多めだったのか…。そこはビミョーですが(笑)、大事なのはこれからです。
そこです! グラビアは好きだし続けたい。脱ぐのはいまよりちょっとだけ控え目で(笑)。バラエティ等の仕事にも興味があるので、出られるものなら出たい。グラビアが3で、バラエティが2。残りの5は執筆やドット絵など、クリエイーター的な仕事をやりたいと思っています。
性格的にはひきこもりで集団生活が苦手。家でひとり作業をしているのが好きなので、執筆やイラスト制作などの仕事にも力を入れていきたい!
仕事の幅を広げる為に、ちゃんとしてる(笑)事務所さんと業務提携したり、今年はたくさん活動報告をできそうでワクワクしています。
――最後に、東京を目指している女の子たちに伝える言葉があるとしたら?
そうですねぇ、まずサービス残業はしない。
知らない大人の言葉は、簡単に信用しない。
違和感を感じたら、ちゃんと離れる。
イヤなことは、はっきりイヤと伝える。
ギャラは、ちゃんと貰う。
金額が安すぎないか、疑いの気持ちを持つ。
それともうひとつ、小さな水着に要注意。
……ですかね。
――ハードな経験を乗り越え、幸せにタレント業をやられているのはすごいです!
今悩んでるタレントさんや、この春上京を考えている10代の子たちは、反面教師にしてほしいですね。でも、茨の道のようでもやり続けていればいつか光が見えてくる。それが今の私ですと伝えたいです。
取材・文/工藤晋 ヘア&メイク/野中美希 写真/栗山秀作
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