#2はこちら

原点は梅田駅でのサイファー

ヒップホップをアートフォームの中心に据え活動する、ラッパーのR-指定とDJのDJ松永で構成される1MC1DJスタイルのユニット、Creepy Nuts。

アルバム「アンサンブル・プレイ」(2022年)をはじめとするコンスタントな作品リリースはもちろん、2022年12月8日にはさいたまスーパーアリーナでのワンマン公演も成功させ、名実ともに日本の音楽シーンのトップランナーとなった二人。またバラエティ番組への出演や俳優業など、その姿をメディアで見ない日はないほどだ。

彼らの人気を飛躍させたきっかけのひとつに、ニッポン放送「オールナイトニッポン」でのパーソナリティが挙げられるだろう。二人の軽妙なトークと掛け合いは、CreepyNutsに興味を持っていた音楽リスナーだけではなく、初めて彼らに触れるラジオリスナーからも強い支持を集め、惜しまれつつも今年3月で終了してしまうが、現在は月曜一部という「オールナイトニッポンの顔役」として活躍している。

その番組において、第一回からレギュラーコーナーとして毎週放送されている「日本語ラップ紹介コーナー」は、R-指定が影響を受けたアーティストや、目下注目している楽曲を紹介する、番組には欠かせないプログラムだ。

それとは別に、R-指定が日本語ラップ作品やアーティストを深掘りし、解説する不定期開催のトークイベント「Rの異常な愛情」も2018年から行われ、その模様は2019年に「Rの異常な愛情 或る男の日本語ラップについての妄想」、2022年に「2022年日本語ラップの旅 -Rの異常な愛情 vol.2」として単行本化された(ともに白夜書房刊)。

「俺は中1ぐらいからヒップホップを聴き始めて、中3で自分でもラップするようになったんですが、『地元の友だち以外ともラップしてみたい』『自分のラップがどれだけ通用するのか知りたい』と思って、梅田駅の歩道橋で行われてた「梅田サイファー」(注1)に飛び込んだんですね。それが高校生のとき。

そこで本格的にラップをするようになったんですが、そこに集まった連中と『この曲はこういうことを言ってるんちゃうかな』『このアーティストの韻はこういう部分がすごくて』みたいに、ヒップホップの話をしてたんですよ」

(注1:サイファー=路上で輪になって、主にフリースタイルでラップをする集団のこと)

「俺の分析は、あくまでも想像や妄想です」。R-指定(Creepy Nuts)が「日本語ラップ」を読み解き始めた本当の理由_1
すべての画像を見る