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教養・カルチャー 2022.12.21

〈和歌山カレー事件から24年〉林眞須美さんは本当に犯人なのか? ミス、不正、捏造だらけの鑑定結果にメディア人として思うこと

1998年7月、夏祭りで提供されたカレーライスに毒物が混入され、4人が死亡した「和歌山カレー事件」。容疑者として逮捕された林眞須美は無罪を訴えるも、2009年に死刑が確定した。だが、この事件の鑑定結果には不正も指摘されており、「冤罪ではないか」との声も少なくない。当時、映像編集者としてこの事件に携わった宮村浩高氏の悔恨の手記。

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映像編集者が見た関西の大事件簿③

連日、テレビで流された“悪女”のイメージ

〈和歌山カレー事件から24年〉林眞須美さんは本当に犯人なのか? ミス、不正、捏造だらけの鑑定結果にメディア人として思うこと_1

和歌山カレー事件で逮捕された林眞須美さん(右)と夫の林健治さん

1998年7月25日。和歌山県和歌山市園部地区で行われた夏祭りで、提供されたカレーライスを食べた67人が次々と倒れ、うち4人が死亡するという事件が発生しました。

当初私たちは、単なる食中毒として報道していました。しかし、死者が出てくるなどしていく中で、「これは単なる食中毒ではないぞ」という緊張感に変わっていきました。

その後、被害者の吐瀉物や容器に残っていたカレーを検査したところ、青酸化合物の反応が検出されたことにより、何者かが毒物を混入した無差別殺人事件ということになりました(実際は青酸ではなく亜ヒ酸だったのですが)。

わずか70世帯ほどの新興住宅地の道路を報道関係者が埋め尽くし、上空には何機ものヘリコプターが爆音を上げて旋回している――そんな異様な状態が2か月以上続いていたのでした。

のちにこの地区に住む林夫妻が逮捕されます。逮捕までの2か月あまり、マスコミはこの林夫妻を“疑惑の人物”として追いかけ回していました。

この事件でマスコミは、警察からは何も発表されていないにも関わらず、林夫妻をあたかも犯人かのように報道していたのです。

特に取材陣に向かってホースで水をかける林眞須美さんの姿は連日テレビで流され、いかにも“悪女”の印象をマスコミがばら撒いたのでした(もちろん私も映像編集者としてその一員です)。結局、林夫妻は逮捕され、妻の林眞須美被告には死刑という判決が下りました。

日毎に過熱していくマスコミの取材姿勢は、歯止めが利かない状態になっていきます。林さん宅を大勢のカメラマンが取り囲み、四六時中見張っていました。中には脚立を使い、家の中の様子を覗き見するものまで出てきました。

“犯人”と決めつけた人物に対しては、最低限の取材ルールやモラルなど必要ないというような姿勢です。さすがにこれら一連のメディア・スクラムは問題だとして、様々な人たちが批判の声を上げました。

この過熱する取材合戦も大きな問題ですが、ここで私が伝えたいことは、そのことではありません。「林真眞美さんは本当に犯人なのか…」という疑問です。

鑑定には不正があった

実は、当時私たちがよく報道していた内容に、事件に使用されたヒ素(亜ヒ酸)が鑑定の結果、林さん宅にあったヒ素と同一だったというものがあります。

このカレー事件の前年、1997年に兵庫県で1000億円をかけて「スプリング8」という最新鋭の大型放射光施設が完成していました。電子を光速とほぼ同じ速度まで加速させることができるという巨大な施設ですが、この施設で事件のヒ素が分析されたのです。

その結果、事件に使われたヒ素と林さん宅にあったヒ素が一致。林眞須美さん本人が一貫して容疑を否認している中で、このことは決定的とも言える証拠になります(最高裁判決でも、最も重要な物的証拠として採用されています)。

この鑑定結果が出た以上、犯人は林眞須美さんに間違いないと、私たちもあの巨大なスプリング8の空撮映像を編集して報道していました。

ところがその後、このスプリング8の鑑定結果には不自然な部分が多くあることが言われるようになります。この事件がテレビではほとんど報道されなくなってから、多くの書籍で疑問点が指摘されていったのです。

私自身、それらの本を読むにつれて、「噓やろ、もう死刑が確定してしまっているのに…。俺の編集は全部間違いで、一人の人間を死刑に追いやったのか…」と、焦りばかりが募ってきました。

『鑑定不正 カレーヒ素事件』 (河合潤著/日本評論社)という本があります。2021年8月に出版されたものですが、この本を読むと愕然とします。

著者である京都大学大学院の河合潤教授が、スプリング8で鑑定を行った東京理科大学の中井泉教授が出した鑑定書には鑑定ミスや捏造が数多くあることを指摘。あのスプリング8での鑑定データも捏造されていたとはっきりと証明しているのです。

また中井鑑定人のみならず、その他の鑑定人や科学警察研究所の嘘や捏造までを暴いているのです。

「検察側鑑定のほとんどが不正なものだったのみならず、中立なはずの裁判官職権命令による鑑定も不正なものだったことを示してきた。《中略》警察庁科学警察研究所(科警研)の鑑定書は、林真須美の夫健治がシロアリ駆除業に使っていた亜ヒ酸A~Eと、カレーに亜ヒ酸を投入したときに殺人犯が使った紙コップに付着した亜ヒ酸Gの不純物5元素(Se,Sn,Sb,Pb,Bi)のヒ素Asに対する濃度比を100万倍して対数を計算して比較していた。

濃度比や100万倍や対数計算は、紙コップの亜ヒ酸が林家由来の亜ヒ酸とは組成が違うことを知りながら、同じであるかのように見せかけるためのトリックだった。対数などの数値操作を取り除くと、亜ヒ酸は別物だとわかった。科警研は亜ヒ酸が違う事さえ知っていた。」(『鑑定不正 カレーヒ素事件』冒頭「はじめに」から)

河合教授はそれら発見したミスや捏造を、新事実としてその都度裁判所に提出しています。しかし裁判官はその間違いを認めた上で「鑑定は合理的であるという点はいささかも揺らぐことではない」としてはねつけているのです。その鑑定の結果によって一人の人間が殺されようとしているのにです。全く信じられないことです。

〈和歌山カレー事件から24年〉林眞須美さんは本当に犯人なのか? ミス、不正、捏造だらけの鑑定結果にメディア人として思うこと_2

2021年8月に発売された『鑑定不正――カレーヒ素事件』(河合潤・日本評論社)。分析化学の第一人者がカレーヒ素事件の鑑定不正を解明した驚愕の1冊

河合教授は判決文を見て「裁判官は統計を理解しないことがわかる。なにも大学の教養課程レベルの統計学を要求しているわけではない。高校レベルの統計さえ理解しないのだ。こんな文章を判決に書いているようでは専門家証言のほとんどを一審裁判官は理解できなかったはずだ」(『鑑定不正 カレーヒ素事件』P72) と、書籍の中で記しています。

隠された“無罪”の証拠

また更に重大なことに、実は林眞須美さんに決定的に有利となる証拠が存在していたというのです。林さん宅で押収された亜ヒ酸の缶。この缶の亜ヒ酸の分析結果は、カレーに混入されていた亜ヒ酸とは別物だとわかるものだったのです。

ということは、林家の人間は犯人ではないという証拠になります。この証拠の存在を中井鑑定人はもちろん、和歌山県警、科警研、和歌山地裁も把握した上で隠蔽していたというのです。

警察、検察、裁判所、鑑定人全ての人たちが無実の証拠を隠蔽し、共謀して一市民を絞首台に連れて行こうとしていたことがわかります。

これらの事実を知って、私は茫然としました。私たちも警察、検察、裁判所らと一緒に無実の人間を死刑判決に追い込んだ、いや、私たちマスコミが先頭に立ってミスリードしたのです。

そのせいで一人の人間が死刑囚となり、その娘と孫は命を落とすという悲劇を生んだのです(林夫妻の長女は、自分の子どもと共に飛び降り自殺をしました)。私たちマスコミは一体何を見ていたのだろうか。“冤罪”を作り出しているのは、私たちマスコミなのではないか。

大きな事件が起こると、マスコミは怒涛のように報道合戦を繰り広げるのですが、数か月すると別の事件に飛びついていきます。新たな興味をそそるような事件が起これば、視聴者もそれを求めているのですから当然なのかもしれません。

このことは私も内部にいて致し方ないと思っていました。しかし、数々の冤罪事件の構図を知っていくにつれ、そんな考えは大きな過ちであると気づきました。

テレビ報道はもっと事件後の経過を報道すべきです。たとえそれが、自らの報道の誤りを認めることになったとしても。そうしなければこの冤罪を起こす体質は決して変わることはありません。

マスコミが逮捕後の経過を報道しないから、裁判で虚偽が発覚しても検察も警察も反省することなく、冤罪作りを繰り返しているように思えるのです。

「不正鑑定」を著したこの河合教授は、この事件にかかわる前は、林眞須美さんを犯人だと思っていたといいます。しかし、事件の鑑定にかかわるようになってから虚偽や捏造ばかりを目の当たりにし、その結果として「カレーヒ素事件で林真須美は無実だ。冤罪だ。亜ヒ酸は別物だった」(『鑑定不正 カレーヒ素事件』 P205)と断言するようになったのです。

当時、和歌山カレー事件に少しでも関わったテレビマンには、この本をぜひ読んでいただきたい。いや、読まなくてはいけません。知ることで自らの過ちを認め、そして無実の人間を救い出すことに尽力することだけが、ミスリードした罪を償う唯一の方法だと思うのです。

冤罪が疑わしい同様の事件

1992年、福岡県飯塚市で小学1年生の女児2人が殺害される事件が起こりました。「飯塚事件」です。犯人として逮捕された久間三千年(くま・みちとし)さんには死刑判決が出されました。

このときの最大の決め手は当時、捜査に採用され始めたDNA鑑定です。DNA鑑定で「クロ」と出た以上、久間被告が犯人に間違いないと、マスコミはこぞって報道しました。

しかし、後年になってこの鑑定は、科警研がデータを加工していたことが判明します。その事実を突きとめた弁護士らは、裁判所に再審請求をしますが、裁判所は、DNA鑑定が覆されようともその他の証拠で犯行を証明できるとして却下しました。

これは和歌山カレー事件と全く同じパターンです。唯一違うのは、犯人とされた久間さんはすでに死刑を執行されているということだけです。

「林眞須美という存在は、司法・マスコミ・学会などの健全さを示すリトマス試験紙となっている」(『鑑定不正 カレーヒ素事件』 P208)。

河合教授のこの言葉を出すまでもなく、私たちマスコミは常に試されているのです。

※この和歌山カレー事件は、過去の冤罪事件と同じような経過をたどっていると筆者が感じているために、林真眞美さんは確定死刑囚ではありますが、ここでは「さん」を付けさせていただきました。

文/宮村浩高 

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宮村浩高

みやむら ひろたか

1961年生まれ、大阪在住。高校卒業以来、ニュースを中心とした映像編集に携わり、数々のドキュメンタリー番組の編集を担当する。映像編集グループ(株)フリー・フォーム・カンパニーを27歳の時に設立。現在は、後進の指導を中心に活動している。おもな著書は『葬り去られた真実 日航ジャンボ機墜落事故の疑惑』

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