少年犯罪は減少傾向にある一方で…

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか_1
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少年による凶悪犯罪は、毎年のようにメディアに報じられている。

統計だけ見れば、日本における少年犯罪は減少傾向にある。背景には、「不良文化」がなくなったことで、社会で居場所を失った子供たちが非行ではなく、ゲーム依存やひきこもりといった方向へ流れていることがあるだろう。実際に、少年院の収容人数の減少に反比例し、ひきこもりやゲーム依存の治療施設は増加の一途をたどっている。

では、日本社会から非行をする子供がいなくなったのか。いや、そうではない。非行をする少年のタイプが大きく変化しているのだ。

現在、少年院等でよく見受けられるのが、虐待の体験を持つ、知能や発達の問題を抱えた子供たちだ。つまり、知的障がい児や発達障がい児が、親からの虐待によって多くの生きづらさを抱え、社会で問題を起こすということが起きているのである。

私が『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』(平凡社新書)でルポした殺人事件から、具体的な例を挙げたい。