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教養・カルチャー 2022.12.26

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか

日本における少年犯罪は減少傾向にあるが、一方でひきこもりやゲーム依存の治療施設は増加の一途をたどっている。そして、非行をする少年のタイプが大きく変化していることもひとつの特徴となっている。

  • 石井光太
  • #虐待
  • #知的障がい
  • #少年犯罪
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少年犯罪は減少傾向にある一方で…

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか_1

少年による凶悪犯罪は、毎年のようにメディアに報じられている。

統計だけ見れば、日本における少年犯罪は減少傾向にある。背景には、「不良文化」がなくなったことで、社会で居場所を失った子供たちが非行ではなく、ゲーム依存やひきこもりといった方向へ流れていることがあるだろう。実際に、少年院の収容人数の減少に反比例し、ひきこもりやゲーム依存の治療施設は増加の一途をたどっている。

では、日本社会から非行をする子供がいなくなったのか。いや、そうではない。非行をする少年のタイプが大きく変化しているのだ。

現在、少年院等でよく見受けられるのが、虐待の体験を持つ、知能や発達の問題を抱えた子供たちだ。つまり、知的障がい児や発達障がい児が、親からの虐待によって多くの生きづらさを抱え、社会で問題を起こすということが起きているのである。

私が『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』(平凡社新書)でルポした殺人事件から、具体的な例を挙げたい。

金属製の工具で殴られ、半殺しにされることも…

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか_2

少年Aの実家は、建設・造園関係の事業を営んでいた。

この土地は、もともと知的障がいのある母親の家族の土地だった。ある日、父親が彼女と男女の関係になって家に転がり込んできて、そのまま乗っ取るような形で事業をはじめたのだ。
父親は暴力団さながらの非常に荒々しい性格だった。妻に対する家庭内暴力は日常茶飯事。生まれてきた長男である少年Aにも知的障がいがあったが、まったく構わずに虐待をしていた。

そうした家庭の中で少年Aの心がどんどん追いつめられていったことは想像に難くない。

一般的に知的障がい児は健常児より13.3倍も虐待を受けるリスクが高いとされているが、対人関係が苦手な分、傷つき体験も甚大になる傾向にある。同じ虐待を受けても、障がい児は大きなトラウマを抱えやすいのだ。

小学校の高学年になる頃には、少年Aの言動には大きなゆがみが見られ、人とぶつかることも多かった。中学の卒業を迎えると、父親はそんな息子の進学を許さず、自分の会社で働かせた。

この頃、父親は自社で障がい者を雇い、その手当の上前をはねていた。いわゆる、貧困ビジネスである。おそらく息子に障がいがあるのをいいことに、金儲けに利用しようとしたのだろう。

会社でも、少年Aは父親からくり返し虐待を受けていた。金属製の工具で散々殴られ、息も絶え絶えの半殺しにされたこともあったらしい。少年Aはそんな家から逃れようと、度々家出をしたが、障がいゆえに計画がずさんで、すぐに捕らえられてしまった。その都度、父親からは筆舌に尽くしがたい体罰を受けたという。

そんな中で、事件が起こる。

「父から逃げるために、誰でもいいから殺そう」

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか_3

ある日、少年Aは仕事の上で些細なミスした。この時、彼はこのままでは父親に殺されると思った。それまでの虐待がフラッシュバックし、パニック状態に陥ったのだろう。

そして彼は誰かを車ではねて警察に捕まれば、父親に殺されずに済むと考えた。そして彼は会社のトラックで、仕事帰りの若いビジネスマンをはねて殺害したのである――。

なぜ、彼はこのような突拍子もない行動に出たのだろう。

第一に、少年Aは父親から虐待を受け続けたことで人間形成に大きなゆがみが生じていた。医学の世界では、虐待を受けた子供が脳の発達を妨げられ、思いやりを持ったり、感情を抑制したり、コミュニケーションをとったりすることが不得意になることが明らかになっている。ここに生まれつきの障がいが加われば、子供たちの生きづらさが増すのはいうまでもない。

第二に、親の支配から逃れられないことで、少年Aは絶望感を膨らませていた。小さな頃、彼には学校という逃げ場があった。だが、中学卒業と同時に実家で働かされたことで、24時間、365日にわたって父親の暴力にさらされることになった。これが彼の希望を打ち砕いていたことはまちがいない。

事件当時、少年Aは19歳だった。中学を卒業してから4年が経ったことで彼の認知のゆがみと絶望感は爆発寸前だったのだろう。その時に、仕事のミスが起きた。

一般的な家庭で育った人なら、上手にミスを隠すなり、別の方法で父親の支配下から逃れる術を考えたはずだ。だが、少年Aの精神はもはやそれができない状態になっていた。そしてこう考えたのだ。

「父から逃げるために、誰でもいいから殺そう」

こうやって、彼は凶悪犯罪へと突っ走ったのである。

障がいや病気が凶悪事件に起因することはない

少年の重大事件を取材していると、こうしたケースにたびたび出くわす。

メディアが事件の犯人の支離滅裂な言動を報じると、ネットなどで「障がいがあるんだろう」とか「病気だ」などという意見が飛び交う。

当たり前のことだが、障がいや病気があるからといって、人が凶悪事件を起こすようなことはない。障がいや病気がそこまでのゆがみをもたらすことは一般的に言ってありえないのだ。
だが、そこに凄惨な虐待や劣悪な家庭環境が加わると話が違ってくる。彼らが持っていた小さな問題が雪だるま式にどんどん大きくなっていって、臨界点に達した時、凶悪犯罪が生まれるのである。

もちろん、犠牲者の側からすれば、犯人に障がいがあろうと、虐待を受けていようと、関係のない話だ。一人の尊い命が奪われたことは事実であり、そこに情状の余地はない。
しかし、考えなければならないのは、こうした犯罪を起こした少年たちが、その後どのように生きているのかということだ。

重大事件を起こすと、少年は少年院や少年刑務所に送られ、短くて1年、長い場合は10年以上そこで暮らすことになる。少年院は更生のための施設だが、少年刑務所は罰を与えることに重きが置かれるため、医療的ケアが十分に行われるとは言い難い。

彼らがそこを出たらどうなるのか。

障がいと問題行動が顕著な場合、各都道府県の地域生活定着支援センターを介して地域の障がい者支援施設に入れられることになる。そこで寝泊まりしながら、障がい者として自立するか、支援を受けながら生きていく道を模索するのである。

窃盗、性犯罪、暴力、依存症、虐待…

だが、先述のような重大犯罪を起こした者たちは、福祉のケアを受けてもなかなか問題行動がなくならない。施設で暴れる、他の入所者や職員に危害を加える、無意味な言動を繰り返すなどして、周囲の人々を疲弊させていく。

こうした者は、いくつかの障がい者支援施設をたらい回しにされた後、行き先がなくなると精神病院へ送られることになる。そして、いわゆる薬漬けにされて、廃人同然になって生きていくのである。

もしかしたら、これは仕方のないことだという意見もあるかもしれない。だが、本当にそうだろうか。

今回は殺人事件を例に、凶悪犯罪をする少年の内面について見てきたが、ここまで重大なケースでなくても、障がい児が虐待を受けることで認知が大きくゆがみ、後に非行や犯罪と呼ばれる逸脱行為に及ぶことはある。それは、窃盗、性犯罪、暴力、依存症、虐待といった問題として表出する。

こうした犯罪では、加害者が殺人ほど重く裁かれることはないし、福祉にもつながりにくい。そうなると、彼らは治療や支援をほとんど受けないまま、社会で同じような問題行動をくり返すことがある。それは私たち全員のリスクになる。

そのように考えた時、私たちはもっと障がい者への虐待が生み出す出来事の深刻さに意識を向けるべきだろう。やらなければならないのは、加害者を裁かざるを得なくなる前に、障がい者への虐待を止めることなのだ。

冒頭で知的障がい者の被虐待リスクが健常児の13.3倍だと紹介した。今後おそらくこれより高くなることはあっても、低くなることはないだろう。それをいかに減らすのか。

その議論が、日本の安心・安全を守るアプローチの1つであることはまちがいない。

取材・文/石井光太

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石井光太

いしい こうた

ノンフィクション作家

1977(昭和52)年、東京生れ。 国内外の文化、歴史、貧困問題などをテーマに取材、執筆活動を行っている。主な著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など。

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