――『99%はバイアス』の中では、「僕は、人間には『仲直りできる力』があると思っている。ほとんどの人間関係は修復できるからだ」と書いています。ひろゆきさんは、沖縄・辺野古の看板をめぐる件で、沖縄タイムスの阿部岳記者と論争がありました。阿部記者とも最終的には修復は可能と考えていますか。
みんな勘違いをするんですけど、修復するメリットがお互いにないとそれは成立しないんですよね。
例えば僕と堀江(貴文)さんは揉めているんですけど、いつか必ず仲直りできるだろうと思ってるから全然気にしてないんです。それは堀江さんは能力も高いし、優秀な人だってわかってるので、堀江さんもいつか怒りのゲージが下がって、冷静になって「ひろゆきと敵対しても別にメリットないよね」というタイミングが来るんじゃないかなと思ってるからです。
それもお互いに付き合ったら楽しいとかプラスが想像できるからなんですよね。でも殺人鬼と仲良くなっても、メリットゼロじゃないですか。メリットがない人と仲良くなる必要はない。
それでいくと阿部さんに果たして僕と仲良くなるメリットがあるのかっていうところになってしまうと思うんですけど、阿部さんも僕と仲良くない方が記事のPVとか稼げるんじゃないですかね。なので仲良くなるという選択肢を取らないっていう方が普通じゃないかなと思うんですけど。
辺野古基地の抗議団体をめぐる“ひろゆき離れ”の記事に本人は…「フォロワーはむしろ増え続けてます」
SNSの総フォロワー数は300万人を超え、今年もメディアで引っ張りだこだった「ひろゆき」こと西村博之氏。最新刊『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)が刊行された同氏に、辺野古ツイート騒動を発端とした沖縄基地問題を巡る騒動について訊いた。
ひろゆき@2022 #3

「ひろゆき離れ」と言われて逆にフォロワーが増える
――沖縄に関して、中止になってしまいましたが、「琉球新報」の取材をネット配信を条件に受ける話がありました。どういった思いから取材を受けようとしたのですか。
「琉球新報」がなにか話を聞きたいっていうのと、一応間に入った人曰く「別にイデオロギーがあるわけじゃなく、ちゃんと冷静に話をしたい」ということだったので、やりましょうって話だったんですけど。
リスケのお願いをしたら「その日は駄目です」って言われて、終わっちゃったっていう。ああ、それで終わるんだっていう謎な感じでした。
――「琉球新報」が改めてやりたいとオファーがあれば、ひろゆきさんは取材を受けるんですか。
はい。だいじょうぶです。
――辺野古の看板のツイートの後、週刊誌「FLASH』の記事では「ひろゆき離れ」とも書かれました。実際にフォロワーが離れたりしたんですか。
「この人が嫌い」って明言すること自体がその人のことを意識しているってことなので、本当に人が離れる時って、たぶん誰も覚えてない人なんですよね。そういう意味では何を意図しているのかがちょっとわからない記事だなと思いました。
Twitterのフォロワーはあれ以降ずっと増えっぱなしですね。今220万フォロワーぐらいになってると思うんですけど。昔は毎月2〜3万人くらいだったんですけど、今は毎月10万人以上増えるみたいなペースが続いてる感じです。
「沖縄基地問題」解決へ向けての自論
――騒動の中、10月9日にはニュース番組『ABEMA Prime』に出演し、沖縄の有識者と対峙しました。番組を見ましたが、最後まで話が噛み合ってなかった印象でした。
座り込みは1日3回で、1回10分でもいいんだって言うけれど、普通「座り込み」と言われたらずっと座っていると思うのが一般的な感覚というところがまずわかってないっていう。
「一般的な感覚でそうかもしれないんですけど、私たちはこのように考えます」とか、もしくは「座り込みっていう表現で齟齬が生まれるんだったら別の表現します」とか、一般の人の感覚に寄せることで理解者を増やすことを社会運動はやるべきだと思うんですよね。多くの人を巻き込んで、多くの人が賛成することで目標が実現できるので。
でもそれをやろうとしてないってなると「じゃあこの人たち何を目的にしてんの」と逆にわからなくなっちゃうっていう。わざと逆効果を狙ってやったのかなって、ちょっと不思議な感じがしちゃったんですよね。
基地反対運動の中で暴力があったとしても、非暴力活動の目的の中での暴力だから許されるんだみたいな表現(正確には「非暴力の運動の中で暴力を振るったこともあっただけで、非暴力の運動は嘘ではない」)を出演者の1人はしていたんですけど、いやいや暴力は暴力でしょって考える人が多いと思うんですよね。そこら辺のずれが可視化されたと思うんです。
なので、陰謀論になっちゃうんですけど、別の思惑でこの人たちは活動してるんじゃないのって思っちゃう人がやっぱり増えちゃうんですよね。本当に基地問題を解決したいのであれば、沖縄県知事ではもう無理で、日本政府をどう動かすか、もしくは裁判をどうやるかというところで戦わなきゃいけない。
日本政府を動かすためには沖縄県以外の99%の日本人にどう問題に参加してもらうかという視点にならなきゃいけないんですけど、そちら側で動いてないし、逆効果のことをしているとなると、解決が目的ではなくてやっているのかなと見えちゃうっていう。
99%の日本人に届けるために…
――では、沖縄の基地問題をひろゆきさんが解決するとしたら、どんなアプローチをしますか。
国会議員をいかに送り込むかですね。沖縄の問題としては解決しないので。
「東京が基地を押し付けている」「東京は優遇されている、だから沖縄を下に見てるんだ」みたいな価値観で話されてると思うんですけど「東京も被害者だよね。東京も日米地位協定を変えたらもっと楽になるよね」って話をして、東京を味方につけるべきなんですよね。東京には人口の10%以上の人たちが住んでるので。
横田空域のせいで、東京の人が大阪に行こうとするときにわざと太平洋側とか遠回りしなきゃいけなかったり、日米地位協定自体は日本とアメリカ全体の話なので、横田基地で犯罪を犯した米兵がいたとしても、日本としては裁判ができませんというのがあったりする。
「なので日米地位協定を変えた方がいいよね」とか「横田空域はなくした方がいいよね、それが日本人のためだよね」っていう形に持っていくべきだと思うんですよね。
「沖縄の歴史がわからない奴は口を出すんじゃない」と言われちゃうと、沖縄の人口は145万人くらいなので、日本の1%の人しか参加できないし、残りの99%側の人たちは「もう勝手にやってください」ってなっちゃうと思うんですよ。
だから99%側の人たちの問題であることをいかに意識してもらって、基地問題を解決する方が得だよねとどう思わせるか。そっちの方が目標実現の確率が上がるんじゃないですかね。
取材・文/徳重龍徳 撮影/榊智朗
『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)
ひろゆき

2022年9月7日
1650円(税込)
単行本(ソフトカバー) 320ページ
978-4-09-388893-6
空前の大ヒットを記録した『1%の努力』45万部突破の続編!
2021年、大ブレイクを果たした「ひろゆきブーム」の裏側を初めて語る。
「この本では、影響力の秘密を明かそうと思う。」
「権威づけ戦略」「1秒の反射神経」「承認欲求の解放」「有閑階級の生き方」「伏線回収の人生」……
影響力を生み出す戦略とは、いったい何か?
本書は、切り抜き動画が月間3億回再生を超え、SNSの総フォロワー数300万人にまで上り詰めたネット界の人気キャラクター「ひろゆき」のすべてを明かす。
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