11月10日、帝京科学大学 教育人間科学部 学校教育学科にて、保健体育教員志望の学生(男子生徒28名、女子生徒9名、合計37名)に向けてセミナーが行われた。テーマは「学校教育における生理とスポーツを考える」。超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A〈ベア〉」を展開する株式会社Be-A Japanが主催した。
当日は体育教師を目指す37名の学生が参加し、生理に関する正しい知識や、教師として生理に向き合うための講義やワークショップが行われた。
本セミナーの発起人となった同大学の岩沼准教授によると、「体育・ スポーツ指導においては、個々の女性特有のコンディションの変動を理解し配慮することが求められる一方で、教員・指導者の理解は十分とは言いがたいのが現状」なのだという。
さらに、大学スポーツ協会(2022)の報告によると、女性の競技者が生理に関する情報を得る相手は、「教員」(56.7%)が最多であるにも関わらず、保健体育の教員養成課程の中では、保健分野の一つとして触れるのみであり、十分な知識を得られているとは言いがたい。
事実、Be-A Japanが行った生理に関するアンケートでも、学生はスポーツをするときに「生理が理由の困難さや気まずさを感じている」ことが分かった。
なぜ、女子サッカー日本代表ユニフォームのボトムスは白なのか【生理セミナーにて】
「生理が理由の体調不良は先生には言いにくい」という悩みは、昔も今も子どもたちには変わらずある。そんな子どもと教師の間の「生理のギャップ」を取り除くためのセミナーが、教師の卵たちに向けて行われた。その様子をレポートする。
先生は意外と「生理」について知らない


2022年11月にBe-A Japanが実施した「生理とスポーツの関係」についてのアンケート結果。※229名が回答(Be-A Japan提供)
そこで、今回のセミナーのような機会を設けることで、女性特有のコンディショニングに目を向ける力を養うことを目指した。
「生理への不安」の理解が、女性でも簡単ではないワケ
講義の冒頭では、Be-A Japan代表の髙橋くみ氏が、自身が問題意識をもつきっかけとなった「女子サッカー日本代表」の話をした。
サッカーはその競技柄、脚を中心とした下半身に注目がいくスポーツである。そうであるにも関わらず、なぜ女子サッカーのユニフォームのボトムスが白なのか、生理期間に起こりうるトラブルや不安が理解されていれば、もっと工夫されていたのでは、と髙橋氏は語った。

(Be-A Japan提供)
現在、生理について、月経痛やPMS、むくみなどの諸症状は世の中に徐々に理解されつつある。しかし、「漏れたらどうしよう」「長時間生理用品が変えられない」という心理的な不安は人によってかなり個人差があり、女性の間でも理解の差があるのが実情だ。
また、生理用品の不快感や「ズレ」などの違和感は、実際に使ったことのある人でなければ、共感することはなかなか難しいだろう。
髙橋氏は、それらの不安や不快感が生徒や選手のパフォーマンスにも直結することを伝えた上で、女性の体のメカニズムや生理の基礎知識など、身体と心に起こる変化について講義を行った。
「生理を冷やかす子がいたら?」場面別の対応を体験
次に、ナプキンやタンポンなどの生理用品を、実物を用いて紹介。特に男子学生にとっては触れたことのないものであり、戸惑いながらもその使い方や吸水力を学んだ。

(Be-A Japan提供)
セミナーの最後に行われたワークショップでは、学生が指導者(教師)としていつか直面するであろう3つの場面を想定し、それぞれの対応を考えて発表しあった。
想定された場面は次のとおり。
① 体育の授業中に、突然生理になってしまった生徒への対応
②「生理なので体育の授業を休みたい」と頻繁に申し出る生徒への対応
③生理でプールを休んでいる女子生徒に対し、男子生徒が冷やかす場面への対応
②の「生理を理由に体育を頻繁に休む生徒」に関しては、講義前半で「過多月経」について学んだことから、ただの体調不良で済ませずに、なんらかの病気の可能性を踏まえて病院や保健室に行くことを勧めるという意見が出た。
また、③の生理を冷やかす男子がいるという場面では、そもそも生徒全体の生理に対する知識が十分にあるかというところから問題提起をする意見も。
男性だからあまり深く触れてはいけない、という雰囲気をつくるのではなく、「生理は生物として当然の仕組みであり、知識として知っておく必要がある」という学生の意識がうかがえた。
生理のときの対応を知り、子どもに寄り添える先生を目指して
セミナー後、学生からは「生理が小学校高学年から来ることに驚いた。約40年間生理と付き合うのは大変だなと思うと同時に、生理について何も知らないなと感じた」「男女共習で行う体育の授業では(生理中の子に対して)授業中にどのように対応していくか(もっと勉強したい)、また、日頃から生理についての教育が必要だと感じた」といった感想が寄せられた。

(Be-A Japan提供)
教師として、子どもの心身の健康についてどのように向き合うかという課題の中には、当然生理の問題も含まれる。
岩沼准教授が「保健体育教員の卵として、生理にとどまらず、相手を理解することの大切さや、周囲のかかわり方や環境を工夫することの大切さを考えるきっかけになった」と述べているように、子ども一人ひとりの問題にしっかり向き合い対応をすることが、今の学校教育には求められているのだ。
本セミナーのような学びが広がっていくことで、未来の学校教育では現在よりも生理がポジティブかつ、よい意味で「当たり前のこと」として捉えられ、子どもたちが快適に過ごせる場所となることを期待したい。
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