緊急避妊薬は「絶対に妊娠させない薬」ではない

――最近、フランスでは緊急避妊薬が全ての女性に対して処方箋なしの無料提供となりましたね。日本での現状について教えてください。

「現在、緊急避妊薬は世界で約90カ国が処方箋なしに薬局で購入することができますが、日本では医師の診察と処方箋が必要です。

当院でも、緊急避妊薬を求めて来た女性が置かれている状況、その後の生活スタイルを聞き取った上で、処置方法や薬の処方の可否を判断しています」

――具体的にはどのように判断をするのですか?

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緊急避妊法選択のアルゴリズム(北村氏提供)
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「性行為後、避妊の失敗を訴えて来院される方の中には、緊急避妊の必要がない方もいます。性行為後に明らかに月経が来ている場合などですね。

緊急避妊をする必要がある方でも、緊急避妊薬なのか、銅付加子宮内避妊具(銅イオンを放出する用具を子宮に挿入し、受精及び着床を防ぐ)か、もしくはレボノルゲストレル放出子宮内避妊システム(ミレーナ)を挿入するのか、などいくつか選択肢があります。銅付加子宮内避妊具やミレーナの場合、緊急避妊の措置の後、5年間避妊できるというメリットがあります。

その中で緊急避妊薬を処方する場合、当院では来院した女性に『次の月経まで性行為をするのを待てるか』ということも確認します」

――次の性行為の時期が緊急避妊と関係があるのですか?

「排卵前に緊急避妊薬を服用することで、『排卵を抑制する』働きと、『排卵を遅らせる』働きがあります。排卵を抑制あるいは遅らせることによって、膣内の精子が受精する能力を失うのです。

しかし、緊急避妊薬を服用した直後に再び避妊しなかったり、避妊に失敗した性行為をしたりすると、排卵を遅らせたことが逆効果となり、むしろ妊娠の可能性が高まってしまうことがあるのです」

――服用前に医師に説明をしてもらわなければ、知らずに再び無防備な性行為に及んでしまう可能性がありますね。

「そのリスクを避けるため、当院では問診で次の月経が来るまでの間、性行為の可能性があるか否かを聞き、さらに面前服用(医師の前で薬を飲んでもらうこと)を徹底しています」